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「しんぶん赤旗」の記事を中心に、政治・経済・労働問題などを個人的に発信。
日本共産党兵庫県委員会で働いています。

立憲主義考⑥ 憲法壊す詭弁の論理~砂川事件 最高裁判決

2016-01-17 12:44:23 | 平和・憲法・歴史問題について
立憲主義考⑥ 憲法壊す詭弁の論理~砂川事件 最高裁判決

安倍晋三首相が集団的自衛権行使容認の「根拠」として持ち出し、戦争法強行後も繰り返しているのが、1959年12月16日の最高裁砂川事件判決です。同事件で問われたのは、旧日米安保条約とその下での在日米軍が憲法9条に違反するかどうかでした。集団的自衛権行使の可否など問題になっていませんでした。
この最高裁判決に立憲主義破壊の根本問題が潜んでいました。

■違憲の根源
判決は述べます―。憲法9条2項の戦力不保持規定による「防衛力の不足を補う」ため、国連の措置だけでなく「国際情勢の実情に即応して適当と認められるものを選ぶことができる」とし、「他国に安全保障を求めることを、何ら禁ずるものではない」。そのうえで「同条項が保持を禁じた戦力とは、わが国がその主体となってこれに指揮権、管理権を行使しうる戦力をいう」とし、外国軍隊の駐留は憲法違反にならないというのです。
「防衛力の不足を補う」ため日本政府の「要請と同意」に基づき米軍が駐留しても、日本政府のコントロールが及ばないから9条2項に反しない―。「憲法が禁じた戦力」でないから、いくらでも巨大な外国軍を駐留させられる―。全く形式的な詭弁(きべん)です。
そもそも米軍の駐留目的は、「日本防衛」を超える「極東の平和と安全」です。その活動に基地を提供することは、憲法の平和主義に明らかに矛盾します。
米軍は60年代に「極東」外のベトナム侵略で日本を出撃拠点とし、21世紀には沖縄の基地を主な拠点にアフガニスタン、イラクを侵攻しました。他国の侵略への基地提供は、国際法上も侵略の一形態と理解されています(「侵略の定義」国連総会決議3314)。自衛隊は「専守防衛」といわれますが、米軍駐留を前提にすれば通りません。
「外国軍は憲法の埒外(らちがい)」という判決の「論理」は、米軍の存在を無限に許す憲法破壊の根源の一つです。



米軍立川基地拡張に反対した砂川闘争=1956年

■米の圧力で
砂川事件の一審判決(東京地裁59年3月30日)は、米軍駐留を違憲と断じました。驚いたマッカーサー米駐日大使は翌31日、藤山愛一郎外相を呼び出し、最高裁への跳躍上告を要求。また田中耕太郎最高裁長官とも密談し、翌60年の安保改定調印に最高裁判決を間に合わせるようにさせました。最高裁判決は一審判決を覆すためのものでした。
最高裁判決(同12月16日)直後、マッカーサー大使は米国務長官あての秘密電報で、判決について「いま進めている安保条約改定に関してだけでなく、日本の防衛力の引き続く発展にとっても極めて重要」としました。(つづく)

砂川事件
1957年7月8日、東京都砂川町(現・立川市)で米軍基地拡張工事に抗議した地元住民らが基地に立ち入ったとして、日米安保条約に基づく刑事特別法違反で逮捕・起訴された事件。条約と法律の合憲性が争われました。

「しんぶん赤旗」日刊紙 2016年1月15日付掲載


砂川判決が集団的自衛権行使容認を認めたものではないことは明らかですが、その事をもって砂川判決を良しとするわけにはいかないんですね。
外国軍隊(米軍)の駐留は日本の主権が及ばないから、9条2項に反しない。とんでもない詭弁が隠されていたのですね。