2016年度予算案の焦点④ 雇用 ルール壊す政策を推進
厚生労働省の2016年度予算案・社会保障関係費のうち、雇用関連は前年度比25億円増の1704億円。同省の社会保障費のわずか0・6%です。大半は労働保険特別会計の雇用勘定への繰入金1524億円です。うち失業給付のために1462億円、求職者支援向けが62億円です。
16年度の事業では、安倍晋三政権が進める「GDP(国内総生産)600兆円」や「1億総活躍」に向けた予算案であることをうたいます。非正規雇用の急増や長時間労働に対する労働者・国民の批判を受けて、正社員転換や過労死防止を掲げる一方、雇用のルールを破壊しています。
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朝、職場へ向かう労働者=東京都内
改悪派遣法で非正規増やす
「非正規雇用労働者の正社員転換・待遇改善」に452億円を計上しました。内容はハローワークによる正社員就職の促進やキャリアアップ助成金(事業主助成)の拡充です。
その一方、安倍政権は非正規雇用を増やす施策を進めています。昨年の国会では労働者派遣法の改悪を強行しました。企業が労働者をいつまでも派遣のまま使い続けられる仕組みです。予算案では「労働者派遣制度の見直しの着実な実施」に13億円を充てます。
安倍政権は「多様な正社員」と銘打って、地域や職種が限定され、待遇が悪い「限定正社員」を拡大しようとしています。正社員とは名ばかりの非正規雇用です。その導入促進に7500万円を計上しました。
過労死防止対策は74億円です。しかし、安倍政権は、残業代を払わずに長時間働かせることができるよう労働基準法の改悪を狙っています。
最低賃金や賃金の引き上げを支援する予算として中小企業向けに61億円を計上しました。きわめて少ない金額です。しかも、支援するのは企業の「生産性向上」です。最賃引き上げには中小企業に対する思い切った支援が欠かせません。
「生涯現役社会」をめざし、「シルバー人材センターの機能強化」に121億円を計上しました。現行法では、シルバー人材センターが扱う業務は臨時的、短期的、軽易なものに限られ、働ける時間、日数に制限があります。厚労省の労働政策審議会で、この規制を緩和・撤廃することが検討されています。
雇用助成金は13年度以降減
解雇を防ぐために事業主を支援する雇用調整助成金は15年度予算から110億円減額して83億円です。景気の悪化などで事業を縮小せざるをえなくなった際、従業員を解雇せず、休業や教育訓練、出向など一時的な調整によって雇用を維持した場合、事業主に助成金を支給する制度です。安倍政権は13年度以降、減額してきました。
代わって増やしてきたのが労働移動支援助成金です。リストラで労働者を転職させる場合に要する費用を事業主に助成します。16年度は前年度予算比217億円減の132億円。雇用調整助成金は15年度から労働移動支援金を下回っています。(つづく)
「しんぶん赤旗」日刊紙 2016年1月22日付掲載
「一億総活躍社会」と言いながら、労働法制は非正規労働者を増やす方向。
労働条件が悪くなって、賃金が下がって、どうして活躍できるのか。
厚生労働省の2016年度予算案・社会保障関係費のうち、雇用関連は前年度比25億円増の1704億円。同省の社会保障費のわずか0・6%です。大半は労働保険特別会計の雇用勘定への繰入金1524億円です。うち失業給付のために1462億円、求職者支援向けが62億円です。
16年度の事業では、安倍晋三政権が進める「GDP(国内総生産)600兆円」や「1億総活躍」に向けた予算案であることをうたいます。非正規雇用の急増や長時間労働に対する労働者・国民の批判を受けて、正社員転換や過労死防止を掲げる一方、雇用のルールを破壊しています。
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朝、職場へ向かう労働者=東京都内
改悪派遣法で非正規増やす
「非正規雇用労働者の正社員転換・待遇改善」に452億円を計上しました。内容はハローワークによる正社員就職の促進やキャリアアップ助成金(事業主助成)の拡充です。
その一方、安倍政権は非正規雇用を増やす施策を進めています。昨年の国会では労働者派遣法の改悪を強行しました。企業が労働者をいつまでも派遣のまま使い続けられる仕組みです。予算案では「労働者派遣制度の見直しの着実な実施」に13億円を充てます。
安倍政権は「多様な正社員」と銘打って、地域や職種が限定され、待遇が悪い「限定正社員」を拡大しようとしています。正社員とは名ばかりの非正規雇用です。その導入促進に7500万円を計上しました。
過労死防止対策は74億円です。しかし、安倍政権は、残業代を払わずに長時間働かせることができるよう労働基準法の改悪を狙っています。
最低賃金や賃金の引き上げを支援する予算として中小企業向けに61億円を計上しました。きわめて少ない金額です。しかも、支援するのは企業の「生産性向上」です。最賃引き上げには中小企業に対する思い切った支援が欠かせません。
「生涯現役社会」をめざし、「シルバー人材センターの機能強化」に121億円を計上しました。現行法では、シルバー人材センターが扱う業務は臨時的、短期的、軽易なものに限られ、働ける時間、日数に制限があります。厚労省の労働政策審議会で、この規制を緩和・撤廃することが検討されています。
雇用助成金は13年度以降減
解雇を防ぐために事業主を支援する雇用調整助成金は15年度予算から110億円減額して83億円です。景気の悪化などで事業を縮小せざるをえなくなった際、従業員を解雇せず、休業や教育訓練、出向など一時的な調整によって雇用を維持した場合、事業主に助成金を支給する制度です。安倍政権は13年度以降、減額してきました。
代わって増やしてきたのが労働移動支援助成金です。リストラで労働者を転職させる場合に要する費用を事業主に助成します。16年度は前年度予算比217億円減の132億円。雇用調整助成金は15年度から労働移動支援金を下回っています。(つづく)
「しんぶん赤旗」日刊紙 2016年1月22日付掲載
「一億総活躍社会」と言いながら、労働法制は非正規労働者を増やす方向。
労働条件が悪くなって、賃金が下がって、どうして活躍できるのか。