きんちゃんのぷらっとドライブ&写真撮影

「しんぶん赤旗」の記事を中心に、政治・経済・労働問題などを個人的に発信。
日本共産党兵庫県委員会で働いています。

“浄化”汚染水の基準値越え放置 福島第一原発 問われる東電・国の責任

2018-11-20 13:08:20 | 原子力発電・放射能汚染・自然エネルギー
“浄化”汚染水の基準値越え放置 福島第一原発 問われる東電・国の責任
東京電力福島第1原発の高濃度の放射能汚染水を処理設備で“浄化”したはずの水の約8割に、トリチウム(3重水素)以外の放射性物質が国の放出基準(告示濃度限度)を超えて残っていることが明らかになりました。処理済み水の処分方法をめぐる公聴会では海洋放出に反対する声が多数を占め、国の会議でも東電への批判が相次ぎました。国と東電の倫理観が問われています。(唐沢俊治)

「思ったより、告示濃度を超えているものが多い」「詳細な説明は初めてだ」
10月、処理水の取り扱いを議論している経済産業省の小委員会で、タンク内の処理水の放射性物質濃度について説明する東電の担当者に対し、厳しい指摘がありました。



増え続ける放射能汚染水をためるため、敷地に林立するタンク=東京電力福島第1原発

トリチウムとは
トリチウム(3重水素)は、水素の放射性同位体で、半減期は約12.3年。汚染水中の水分子の水素がトリチウムと置き換わった状態で存在し、除去は困難です。
トリチウムは、通常の原子力施設でも発生し、福島第1原発では事故前、年間約2兆ベクレルを放出していました。経済産業省のまとめによると、現在タンクで保管する汚染水に含まれるトリチウム量は、約1000兆ベクレル。事故前の年間放出の約500倍に相当します。

増え続ける汚染水
福島第1原発の汚染水は1日当たり百数十~二百数十トン増え続けています。建屋地下の滞留水やタンクにためている汚染水は10月時点で合計約117万トン(うちアルプス処理水は96万トン)。タンクを増設する敷地の確保が困難になっているとして、東電はタンク建設計画を2020年末(総容量約137万トン)までしか示していません。
国の汚染水処理対策委員会の作業部会は2016年、汚染水の処分をめぐり、①地層注入②海洋放出③水蒸気放出④水素放出⑤地下埋設―の各方法について、技術・コスト面から評価。現在、小委員会で、風評被害などの観点から処分方法を議論しています。


都合良いデータを列挙
2万倍タンクも

発生し続けている汚染水は、多核種除去設備(アルプス)で処理しタンクにためています。アルプスは、トリチウム以外のセシウム137やストロンチウム90など計62種の放射性物質を基準未満まで除去できると、東電は説明してきました。
小委員会は当然、処理水に含まれるのはトリチウムだけであることを前提に処分方法を議論していました。
ところが小委員会で東電は、タンク群約89万トン(8月時点)のうち約75万トンの処理水で、トリチウム以外の放射性物質が基準を上回るという推定結果を明らかにしたのです。ストロンチウム90が基準の約2万倍となる、1リットル当たり約60万ベクレル含まれているタンク群もありました。
基準超えの原因について東電は、アルプス稼働初期の不具合、処理を急いで放射性物質の吸着材を交換しなかったことによる性能低下をあげました。
東電は、基準超えの処理水があると当初から知りながら説明せず、国も事態を放置してきました。それどころか2016年11月の小委員会の初会議で示した説明資料では、セシウム137、ストロンチウム90、ヨウ素129などの放射性物質は「ND」(検出限界値以下)などと、実態とかけ離れた都合の良いデータを並べていたのです。
実際には東電が10月に公開したデータで、基準の25万倍以上になる1リットル当たり約756万ベクレルのストロンチウム90を検出した処理水があったことが分かりました。
東電は、基準超えを説明しなかった理由を「東電と委員との関心、問題意識の差」と述べるなど、あまりにも当事者意識のない態度を見せました。委員の関谷直也東京大学准教授は「国民への説明として、倫理的に問題はなかったと考えているのか」と厳しく批判しました。




事実上の隠蔽に
東電福島第1廃炉推進カンパニーの小野明プレジデントは10月25日の記者会見で「隠蔽(いんぺい)というより、情報の出し方、伝え方に大きな問題があった」と述べましたが、事実上の隠蔽だとの批判は免れません。
野口邦和・元日本大学准教授(放射線防護学)は「何十年も続く廃炉作業では、地元住民や国民との信頼関係が非常に重要だ。東電は、やれることをやらずに、信頼関係を損なうことを自ら招いた」と批判。処理水の扱いについても「とても処分できる状況ではない。当面はタンクで保管するしかない」と言います。
基準超えが表面化した直後の8月に、小委員会が福島と東京で開いた一般の人の意見を聞くための公聴会は「議論の前提が崩れた」として紛糾しました。発言した市民らの圧倒的多数は、海洋放出反対や安全性に疑問があり慎重に対応すべきだとの意見でした。石油備蓄用の大型タンクでの長期保管も選択肢に加えることを求める意見が出ました。

漁業の打撃心配
福島県漁連の野崎哲会長は、「風評の払拭(ふっしょく)には想像を絶する精神的、物理的な労苦を伴うことを経験した」と強調。海洋放出されれば「福島県漁業に致命的な打撃を与える」と訴えました。
汚染水について「状況はコントロールされている」という安倍晋三首相の主張もむなしく、政府はタンク中の汚染水の放射性物質濃度さえも把握できていませんでした。事故を起こした東電は、柏崎刈羽原発(新潟県)の再稼働を進めるのではなく、被害賠償や廃炉作業に向き合うべきです。

「しんぶん赤旗」日刊紙 2018年11月19日付掲載


トリチウムの半減期は短いとはいえ12.3年。海洋放出など許されません。
しかも、取り除かれていたとされる核種・ストロンチウムなどが残っていたのですから…

日本共産党 文化後援会 秋の講演と文化の集いに参加

2018-11-18 10:41:09 | 政治・社会問題について
日本共産党 文化後援会 秋の講演と文化の集いに参加
11月17日(土)お昼から、生田文化会館で開催されました。

司会 朝倉えつ子
司会 朝倉えつ子 posted by (C)きんちゃん
神戸市会議員の朝倉えつ子さんが司会。

開会あいさつ 段野太一
開会あいさつ 段野太一 posted by (C)きんちゃん
文化後援会会長の段野太一さんが開会あいさつ。

日本共産党あいさつ 金田峰生
日本共産党あいさつ 金田峰生 posted by (C)きんちゃん
党国会議員団兵庫事務所長の金田峰生さんがあいさつ。来年の参議院選挙では兵庫選挙区で何としても勝つと決意表明。

講演 今井直子_01
講演 今井直子_01 posted by (C)きんちゃん
党中央委員会 学術・文化委員会の今井直子さんが、「豊かで文化的な生活のために―いま、日本の文化行政は…」と題して講演。
【今井さんの講演を再生】
昨年、16年ぶりに改訂された「文化芸術基本法」に「文化芸術の礎たる表現の自由の重要性を深く認識し」という文言が入った事を紹介。その意義を語りました。
また、実際は「表現の自由」に行政が介入してきている実態も詳しく報告。芸術・文化の活動が「稼ぐ」対象にされている事も指摘しました。
文化予算の規模がお隣の韓国と比べても貧弱なことも指摘。国民が芸術・文化を楽しめるためにも、経済的にも、時間的にも余裕が必要だと訴えました。


講演 今井直子_02
講演 今井直子_02 posted by (C)きんちゃん

ヴィオラとピアノの演奏_01
ヴィオラとピアノの演奏_01 posted by (C)きんちゃん
休憩をはさんで、ヴィオラとピアノの演奏を楽しみました。
ヴィオラは待谷翠さん、ピアノは大山宮和湖さん。


文化後援会 ヴィオラとピアノの演奏


ヴィオラとピアノの演奏_02
ヴィオラとピアノの演奏_02 posted by (C)きんちゃん

ヴィオラとピアノの演奏_03
ヴィオラとピアノの演奏_03 posted by (C)きんちゃん


閉会あいさつ 濱本鶴男
閉会あいさつ 濱本鶴男 posted by (C)きんちゃん
最後に、文化後援会副会長の濱本鶴男さんが行動提起。


大破たんの原発再稼働路線から自然エネルギー拡大へ

2018-11-16 16:09:27 | 原子力発電・放射能汚染・自然エネルギー
大破たんの原発再稼働路線から自然エネルギー拡大へ

各地で相次いだ台風や地震が原発の脆弱性を浮き彫りにしました。しかし、安倍政権は国民世論を無視して原発再稼働、増設をねらっています。原発の危険性や国民生活に与える影響、自然エネルギーの普及に向けて何が必要かを考えます。日本共産党原発・エネルギー問題対策委員会の鈴木剛さんにインタビューしました。

災害で被害拡大 行き詰まる原発
災害多発国である日本ではこの間、大阪北部地震、西日本豪雨、台風21号による大規模な自然災害が頻発し、多くの人命が失われました。
9月6日に発生した、北海道胆振(いぶり)東部地震(最大震度7)では、震源地に近い厚真(あつま)町の北海道電力苫東(とうま)厚真火力発電所が緊急停止し、日本の電力会社で初めて全域停電(ブラックアウト)が起こりました。同発電所3基の総出力は165万キロワットで、地震発生時の道内の電力需要の半分を担っていました。停電によって道民の日常生活と本州の食料を支える農水産(加工)業などに甚大な被害を与えました。
泊原子力発電所は2011年の東京電力福島第一原発事故の翌年から停止しており、事実上、苫東厚真火発に「一極集中」する状況になっていました。
泊原発は敷地内にある断層や埋め立て地の液状化対策を迫られ、動かす見通しが立っていません。しかし、北電は泊原発再稼働にこだわり、この5年で発電所への投資額の5割以上に当たる1887億円を、「安全対策」として停止中の泊原発に投じてきました。他の発電所の建設・建て替えなどの遅れ、安定供給体制の整備よりも泊原発の再稼働を優先した責任は重大です。エネルギーを安定供給するという社会的責任を負った北電の姿勢が問われます。

制御できない原発の「異質の危険」
東日本大震災から7年8カ月がたちますが、いまだに5万7千人(政府把握)の被災者が避難生活を強いられています。その多くは福島原発事故によるものです。
福島原発事故は原因究明が尽くされず、事故収束の見通しも不透明です。多くの人が原発事故でふるさとを追われたまま、帰れる見通しも立っていません。原発事故には、他の事故にない「異質の危険性」があるのです。
原発事故によって放射性物質が外部に放出された場合に、完全に抑える手段は存在していません。「空間的」被害は、どこまでも広がる危険があり、日本だけでなく海外にまで拡散されます。「時間的」被害は、将来にわたる危険があり、放射性物質が人体に悪影響を与えない量になるまでに何万年もかかることもあります。「社会的」被害は、地域社会を壊し、住民は避難を余儀なくされます。
原発事故が起これば、被害を「空間的」「時間的」「社会的」とそれぞれに限定することが不可能です。他の産業事故では考えられない、まさに「異質の危険」です。
福島原発事故によって、原発の危険性と事故被害の深刻さが明らかとなり、原発の「安全神話」は崩れました。また、2年近く(13年9月~15年8月)「稼働原発ゼロ」を経験し、日本社会が原発なしでやっていけることが明らかとなりました。国民的経験を経て、国民の75%が「原発ゼロ」「将来的にはゼロ」を求めています。




高コストで処理不可能
安倍首相は所信表明演説で「責任あるエネルギー政策を構築していく」と述べました。原発をベースロード電源として安定供給していくという宣言ですが、福島原発事故による被害の甚大さを考えれば、原発ほど無責任な電源はありません。原発事故の処理費用は政府の見積もりで約21・5兆円に達し、今後もどれだけ膨らむか分かっていません。
欧米では安全対策のために原発の建設費が膨れ上がり、世界銀行の総裁は「原発への投資は行わない」と明言しています。自然エネルギーは普及が進めばコストは安くなりますが、原発は事故の被害が甚大になるため採算がとれず、コスト面でも破綻しています。
また、原発を再稼働すれば、わずか6年で原発の使用済み核燃料貯蔵プールが満杯になります。使用済み核燃料を再利用する核燃料サイクルは、完全に行き詰まり、高速増殖炉「もんじゅ」は、廃炉に追い込まれました。原発を稼働すればするほど、「核のゴミ」がたまっていき、行き場のないごみが増え続けます。原発には未来はありません。




原発にしがみつく安倍政権
安倍政権は電力業界と一体となって、原発の推進をねらっています。7月3日、新たな「エネルギー基本計画」を閣議決定しました。「基本計画」は、原発を将来にわたって「重要なベースロード電源」と位置付け、2030年度の電力の約2割を原発で賄うとしました。これは原発30基分に当たり、最大60年の運転延長などを視野に入れた目標です。また、全国で廃炉が決定、廃炉作業中、検討中の原発は11原発23基あり、目標を達成するには全ての原発の再稼働、新しい原発の増設を強行しなければならず、国民の願いに逆行しています。
しかも、安倍首相がこれまで述べていた「世界最高水準の安全基準で、安全が確認された原発は再稼働する」という方針はすでに破綻しています。安倍首相は国民からの厳しい批判を受けて、原発に「絶対安全はない」と認めざるを得ませんでした。「基本計画」は、「万が一事故が起きた場合には、国は関係法令に基づき、責任をもって対処する」としながら、避難対策は自治体任せであり、実効性の保障もありません。




電力業界が再エネを敵視
安倍政権が原発を推進する中、九州電力が太陽光発電を行っている事業者に発電を一時停止させる「出力制御」を4回にわたって実施しました。九電は出力制御を実施した理由について、需給バランスが崩れると大規模停電を起こす恐れがあり、それを回避するための措置だと主張しています。
しかし、九電は太陽光の発電量を抑える一方で、川内(せんだい)原発1、2号機(鹿児島県)、3月に佐賀県の玄海原発3号機、6月に同4号機の再稼働を強行してきました。稼働している原発4基は「出力制御」の対象外として、原発再稼働を最優先させた九電の姿勢が厳しく問われます。
日照条件に恵まれた九州では太陽光発電の導入が進み、8月末時点で約800万キロワット(原発約8基分に匹敵)の発電量があります。自然エネルギーの潜在能力を引き出すよう、転換すべきです。


自然エネルギーの本格的な普及へ
世界の流れは原発、石炭燃料による発電から自然エネルギーの大幅導入が主流となっています。今後の電力供給における自然エネルギーの割合について、スペインは2025年までに40%、ドイツは25年までに40~45%、フランスは30年までに40%、EU全体は30年までに45%など積極的な目標を立てています。
一方、日本政府や財界は、今ある原発を耐用年数ぎりぎりまで稼働させた方が「経済的」だとして自然工ネルギーの普及には消極的です。日本の電力供給に占める自然エネルギーの比率は15%(16年度)で、ドイツの30%(15年)を大きく下回っています。
日本のエネルギー資源量(エネルギー導入ポテンシャル)は、太陽光、中小水力、地熱、風力で20億キロワット以上と推定されています(環境省など)。日本に現存する発電設備の電力供給能力の約10倍、原発54基の発電能力の約40倍にもなります。それぞれの地域の条件に合った発電設備の開発・利用を拡大することで、原発がなくても十分に電力を供給することができます。
発電量を調整できない「融通の利かない」原発は、一極集中による大規模停電のリスクを伴います。日本は、世界の流れに合わせて自然エネルギーを軸にした地域分散型の電力供給への転換が必要です。自治体と連携し、自然環境に配慮した自然エネルギーの導入の拡大へ政治決断をする時です。



5千人が参加した「原発ゼロ☆国会前大集合」では、市民と野党の共闘で「原発ゼロ」の社会を目指す決意を固めあった(3月11日、国会前)

野党政策を魅力的に
「3・11」以降続けられている首相官邸前の抗議行動、全国の「金曜日行動」、安倍政権を倒して、新しい政治をつくろうという市民と野党の共闘が発展する中で、野党(共産、立民、自由、社民)は3月9日、「原発ゼロ基本法案」を国会に提出しました。
「原発ゼロ」をうったえてきた全国の草の根のとりくみと、「原発ゼロ・自然エネルギー推進連盟」の即時原発ゼロの立法提案が合流して実を結んだものです。「原発ゼロ」をうったえてきた日本共産党はもちろん、「緊急の場合に原発を再稼働することもあるのでは」と考えていた政党も市民との対話の中で「再稼働はあり得ない」との立場が明確となり、原発問題では初めての野党合意、国会史上初の原発ゼロ基本法案となりました。
法案は、▼稼働している原発の停止▼再稼働は一切認めない▼2030年までに一年間における電力供給量に占める自然エネルギーの割合を4割以上にする―などが柱です。法案は現在、衆議院の経済産業委員会に付託されています。与党が応じるよう世論を広げ、制定を目指す運動を広げることが求められます。
野党の共通政策を魅力的な政策に練り上げて、市民と野党の共闘を発展させていくことが安倍政権を追い詰める力になります。来年の参院選挙、統一地方選挙に向けて世論を広げ、国民の声を届けて共闘を発展させましょう。

「民主青年新聞」2018年11月19日付掲載


福島の原発事故以来、限られた数の原発しか稼働していません。福島第1原発の廃炉の費用も膨らむばかり。
今こそ、危険でコストの高い原発から、再生可能エネルギーへの転換が求められます。

五日市憲法を歩く① 土蔵から発見された“源流”

2018-11-15 14:48:41 | 平和・憲法・歴史問題について
五日市憲法を歩く① 土蔵から発見された“源流”
ツルシ カズヒコ
1955年生まれ。編集者・ジャーナリスト。元『週刊SPA!』編集長。本紙旅欄で「ツルシのぶらり探訪」連載中。主著に『秩父事件再発見』ほか

都心から西へ50キロ。「しんぶん赤旗」旅記事の取材で東京都あきる野市を訪れたのは5月でした。東京経済大学の色川大吉教授とゼミ生の調査により、五日市町(現あきる野市)深沢の深澤家土蔵から、「五日市憲法草案」(1881年起草)が発見されたのは1968年8月。自由民権思想家・千葉卓三郎(1852~83年)らが起草し、現憲法の源流と評される、民主的先駆性を持った民間憲法草案のひとつです。今年はその発見50周年です。
色川ゼミの一員として、深澤家土蔵調査に参加したのが新井勝紘さん(元専修大学教授・日本近代史)です。当時大学4年生でした。新井さんの最近著『五日市憲法』(岩波新書)によれば、日本近現代史150年のなかで、憲法に国民の関心が高まった時代は3度ありました。1度めは幕末維新期から大日本帝国憲法発布までの20数年間。2度めはアジア・太平洋戦争終結から日本国憲法公布までの1年あまり。3度めは「安倍9条改憲」が進行中の現在です。
新井さんが顧問を務める「五日市憲法草案の会」の結成は2011年。略称は「護憲」にかけた「五憲の会」。事務局長・鈴木富雄さんの案内で五日市郷土館に向かいました。和紙24枚に毛筆で清書された、204条からなる五日市憲法草案の複製を展示しています。
抵抗権や婦人参政権の規定まである、土佐の自由民権思想家・植木枝盛(えもり)(1857~92年)の「東洋大日本国国憲按(あん)」(1881年起草)とならび、この憲法草案が現憲法の源流とされる理由を、鈴木さんはこう指摘します。



あきる野市の「五日市憲法草案之碑」前でガイド中の新井勝紘さん(左)と鈴木富雄さん(筆者撮影)

「36項目におよぶ具体的で精緻な国民権利規定は、現憲法と対照表ができるほど立憲的・民主的です。たとえば人権の条文で、政治犯への死刑宣告を禁じ、司法の条文でも禁じ、人権を二重に保護しています」
鈴木さんは1940年、福島県生まれ。東京の大学で学んだ後、67年に旧五日市町に移住し、71年に同町初の日本共産党町議に。合併(95年)後のあきる野市議をふくめ、議員を7期30年務めました。著書『ガイドブック五日市憲法草案』(日本機関紙出版センター)は、豊富な現地調査と郷土史家としての視点が盛りこまれ、入門書として秀逸です。コツコツと続けてきたガイド役も200回を超えました。こうして私の五日市憲法草案を知る小さな旅が始まりました。

「しんぶん赤旗」日刊紙 2018年11月14日付掲載


五日市憲法草案が起草された1881年(明治14年)といえば、自由民権運動が始まったとされる1874年から7年。10月には板垣退助の自由党が結成されている。
大日本国憲法が施行されたのが1890年。その過程で、今の日本国憲法に通ずる憲法草案が論議されていた。

孤独は万病のもと タバコや高血圧と同じくらい危険

2018-11-14 15:30:51 | 健康・病気について
孤独は万病のもと タバコや高血圧と同じくらい危険

全日本民主医療機関連合会(民医連)の地方組織、神戸市東部の東神戸病院を中心に組織されている東神戸医療互助組合。
そこが発行する新聞「健康ニュース」2018年11月号に、第14回全国共同組織交流集会での記念講演のもようが紹介されていました。興味深い内容。




記念講演はヘイムス・アーロンさん。民医連と共同組織の活動を研究する文化人類学者です。
「共同組織・健康へのつながり」についてお話をしてくれました。
すこくインパクトがあったのは、孤独はタバコや高血圧と同じくらい危険―というお話。いろいろな調査で孤独が病気の遠因と示されているのに、一般の病院は施設内で病を治すだけ。
健康教室をおこなったりすることはあるでしょうが、病気の原因である孤独は治してくれません。



孤独の社会的な「治療」
・班会や趣味のサークル
・友の会や組合員コーナー
・なんでも相談
・ボランティア活動
→人間関係を豊かにする
→孤独状態から社会参加へ
→社会的な問題を社会的に解決
→脱医療化した病院?

共同組織は孤独を治療する
共同組織をもっている病院は、班会やサークルの紹介、なんでも相談会やボランティア活動が人間関係を豊かにし、孤独という社会問題を解決できると話されました。
「共同組織は孤独を治療する」「共同の営みは医療機関と共同組織が共に支えあう」地域に頼られる医療機関・共同組織(東神戸医療互助組合)として、組合員と職員が一体となって地域での「駆け込み寺」となるよう信頼を高めて、推進することが求められているのではないでしょうか。今回の集会で強く感じ学びました。

【共同組織とは】
全日本民主医療機関連合会(略称「民医連」)に所属する医療法人などを、医療・福祉の改善を求める運動や、出資金を集める活動で支える組織の総称です。「○○病院友の会」や医療生活協同組合、私たちのような医療互助組合などの形で全国各地に存在しています。東神戸医療互助組合の組合員数は約2万人(世帯)で、全国の共同組織構成員数の合計は約370万人です。
2年に1度、全国の代表が集まって交流集会をひらいています。


孤独の社会的な「治療」。共同組織は孤独を治療する。
民医連などの取り組みもその一環ですね。
生田診療所でも、訪問診療や青空健康チェックなどをやっています。