きんちゃんのぷらっとドライブ&写真撮影

「しんぶん赤旗」の記事を中心に、政治・経済・労働問題などを個人的に発信。
日本共産党兵庫県委員会で働いています。

初の絵本『「じぶん」のはなし』 人間も自然の一部 足元見て生きる

2022-08-26 07:12:21 | 赤旗記事特集
初の絵本『「じぶん」のはなし』 人間も自然の一部 足元見て生きる
ベストセラー『バカの壁』で知られる解剖学者の養老孟司さんが、初めての絵本『「じぶん」のはなし』(絵・よこやまかんた)を刊行しました。鎌倉の自宅を訪ねました。
金子徹記者



撮影:野間あきら記者

解剖学者 養老孟司さん
ようろう・たけし=1937年鎌倉市生まれ。東京大学名誉教授。89年、『からだの見方』でサントリー学芸賞、2003年、『バカの壁』で毎日出版文化賞


ロシアの侵略懸念 国も自然も腕力で思い通りにはならない
『「じぶん」のはなし』は、自然や生き物と人間のかかわりを考えるヒントが盛り込まれた絵本です。
「この題材は出版社が選びました。私が書きたかったことというわけじゃない。でも、私は抵抗しないものですから(笑)」




過度な都市化
詩のようでもある言葉が並びます。
〈まわりのしぜんと、じぶん。なにがちがうんだろう。じぶんはしぜんでできている。そうでしょ?〉
「昔は当たり前だった感覚でしょう。いまさら言うことじゃなかった。
いまは都市化で“自然なんて関係ない”というばかりです。でも、誰だって死ななくてはならないから自然にかえる。意識では死ぬつもりはなくても、いつの間にか死んでいる。イヤでも自然にかえります。こんな話をすると、お坊さんのようだけど(笑)」
行き過ぎた都市化を懸念します。
「ある文化会館へ行ったら、中庭が舗装してありプランターが置いてあった。むき出しの地面の存在が許されないんですね。あれは現代病の“文化”の象徴でした。全国の田んぼの側溝のコンクリート化によって、メダカをはじめとする淡水の生物は絶滅に近い状態です」

若い人の自殺
近年は、子どもたちが心配だと発言しています。
「気になるのは、若い人の自殺が多いことです。10代、20代、30代の死因のトップは自殺です。高校生くらいの人に自殺はいけないと話すと、ムッとした顔をします。自分の命は自分のもの、死ぬ権利があるという感じです。モノが十分にあれば満足するという考え方は間違っていた。『じぶん』は自然の一部で自然とつながっているという感覚が切れてしまった」
ライフワークはゾウムシの分類研究です。
「いまも虫捕りをやっています。もう、いいかげん、やめなきゃいけないと思っているんだけど(笑)。虫捕りでスリランカなどの小乗仏教の国へ行くと、殺生だから嫌がられます。ラオスは虫を食べる文化があるので大丈夫だからよく行くんですが、虫捕りはぼちぼち引退しようかな」

防衛力強化より災害対策
戦中に育ち、いまも数多くの軍歌を覚えています。ロシアのウクライナ侵略には―。
「なんで腕力で人を思い通りにしようとするんだろう。アスファルトで地面を固める発想と同じだと思います。人も自然も、それぞれのいきさつがあっていまのようになっているのだから、思うようになるものではない。それが許せないというやり方は、私には理解できません」
『超バカの壁』(2006年)では「私が憲法九条改正に反対する理由」について「後ろめたさもなく軍隊を動かされてたまるかと思う」と記しました。
「後ろめたさを感じない人は怖いですから。岸田(文雄)首相が防衛力強化と言った時、すぐに思ったのは何を防衛するのかということです。近い将来、日本では東南海地震が予想されています。大地震への備えと復興の力はあるのか。足元の方がよっぽど危ないじゃないか。災害対策も環境問題の一環の重要な政治的課題です。脚下照顧(きゃっかしょうこ)、足元を見なさいと。そのためにも、若い人は自然に親しみ、自分たちで生き抜く力をつけてほしい」

「しんぶん赤旗」日曜版 2022年8月21日付掲載


『「じぶん」のはなし』は、自然や生き物と人間のかかわりを考えるヒントが盛り込まれた絵本。
〈まわりのしぜんと、じぶん。なにがちがうんだろう。じぶんはしぜんでできている。そうでしょ?〉
昔は当たり前だった感覚でしょう。いまさら言うことじゃなかった。
いまは都市化で“自然なんて関係ない”というばかりです。でも、誰だって死ななくてはならないから自然にかえる。意識では死ぬつもりはなくても、いつの間にか死んでいる。イヤでも自然にかえります。こんな話をすると、お坊さんのようだけど(笑)
岸田(文雄)首相が防衛力強化と言った時、すぐに思ったのは何を防衛するのかということです。近い将来、日本では東南海地震が予想されています。大地震への備えと復興の力はあるのか。足元の方がよっぽど危ないじゃないか。


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ウクライナ侵略半年 反戦・平和を訴え 国内外のロシア人ジャーナリスト

2022-08-25 07:13:58 | 国際政治
ウクライナ侵略半年 反戦・平和を訴え 国内外のロシア人ジャーナリスト
ロシアのプーチン政権によるウクライナ侵略戦争が2月24日に始まってから半年、ジャーナリズムも過酷な状況に追い込まれています。ロシア国内と外国一活動の場は違いますが、反戦と自由を訴えるロシア人ジャーナリストのたたかいは粘り強く続けられています。(田中健一)

プーチン政権はウクライナ戦争開戦直後の3月、ロシア軍や戦争を批判する「偽情報」を拡散した場合、軍の「信用を傷つける」とみなし、最高15年の懲役を科すことができる「法律」を制定しました。



2018年に開催された総会で、「ジャーナリスト・メディア労働組合」の横断幕を広げる参加者たち=2018年4月24日、モスクワ(同組合のフェイスブックから)

控訴したたかう
現地からの報道によると、マスコミ関係者やジャーナリストで作る「ジャーナリスト・メディア労働組合」(ジャーナリスト労組)は、この法律に違反したとして、7月11日、モスクワ検察庁から解散を命じられました。同市のタガンスキー地区裁判所は8月3日、同組合側に罰金50万ルーブル(約110万円)を科す判決を出しました。
判決に対し、同労組のアンドレイ・ジュビルブリス氏は8月5日の独立系インターネット・ニュース「スペクトル」で「ウクライナ戦争停戦を呼びかける文書、(欧州各国のジャーナリストが賛同する)ウクライナ支援の文書の二つに賛成しただけなのに、なぜ軍の活動を損ねたといえるのだろうか」と述べました。同組合は控訴したたかう意向です。
ジャーナリスト労組は、ロシア政府に批判的なマスコミの関係者やジャーナリストなど約600人で構成される組合で、2016年に設立されました。組合本来の労働問題などの活動に加え、戦争反対を訴え、政治的迫害を受けるメディア関係者の支援を行っており、当局は長年監視を強めてきました。

政権の圧力受け
一方で「殺すぞ」といった脅迫や当局の弾圧を受け、国外にやむなく逃れることになったジャーナリストもいます。特にロシア系住民が多く、言論や報道の自由度が高い欧州連合(EU)加盟国のバルト3国、ジョージアなどに移住する動きも見られます。
ウクライナ系ロシア人のガリーナ・ティムチェンコ氏は、ロシアで有力ニュースメディア「レンタ」の運営に長年携わってきました。ところが、2014年のロシアのクリミア侵攻を批判したため、プーチン政権の圧力を受け、「レンタ」から解雇されました。
ティムチェンコ氏は、ラトビアの首都リガで、移住した仲間のジャーナリストとともにオンラインニュースメディア「メドゥーザ」を立ち上げました。同氏は「ロシアで不可能となった報道の自由を手に入れた。私や同僚全員にとって人生の大きな転換点だった」(スイスニュース7月4日)と発言。メドゥーザは「真実のロシア」のサブタイトル(副題)の下、英語とロシア語で毎日、ロシアの状況を伝えています。

「しんぶん赤旗」日刊紙 2022年8月23日付掲載


判決に対し、同労組のアンドレイ・ジュビルブリス氏は8月5日の独立系インターネット・ニュース「スペクトル」で「ウクライナ戦争停戦を呼びかける文書、(欧州各国のジャーナリストが賛同する)ウクライナ支援の文書の二つに賛成しただけなのに、なぜ軍の活動を損ねたといえるのだろうか」と述べました。同組合は控訴したたかう意向。
ティムチェンコ氏は、ラトビアの首都リガで、移住した仲間のジャーナリストとともにオンラインニュースメディア「メドゥーザ」を立ち上げ。同氏は「ロシアで不可能となった報道の自由を手に入れた。私や同僚全員にとって人生の大きな転換点だった」(スイスニュース7月4日)と発言。メドゥーザは「真実のロシア」のサブタイトル(副題)の下、英語とロシア語で毎日、ロシアの状況を伝えている。
よく、「ロシアの国民やメディアはロシアの侵略を良しとしているのか」という人がいますが、決してそうではないこと、闘っている人たちがいるのです。
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白書が描く経済⑤ 食料危機 供給不安 いよいよ現実に

2022-08-24 07:10:25 | 経済・産業・中小企業対策など
白書が描く経済⑤ 食料危機 供給不安 いよいよ現実に
最新版の2021年度農業白書(食料・農業・農村の動向)は、「食料自給率の向上や食料安全保障の強化への関心が一層高まっています」と述べ、直近の食料価格の高騰や食料需給の動向などを取り上げています。新型コロナウイルス禍やロシアのウクライナ侵略などの影響で、世界的に食料供給への懸念が生じていることを受けたものです。供給不安がいよいよ現実のものになりつつあります。
白書は、「国内の農業生産の増大を図ることを基本とし、これに輸入および備蓄を適切に組み合わせる」ことで食料の安定供給を確保すると述べるものの、抜本的な増産の方向を示してはいません。




穀物価格高騰
人口増加に伴う食料需要の増加が進む一方、気候変動のほか、家畜の伝染病や植物の病虫害の発生などが食料生産を不安定にしており、白書も、「(食料需給が)中・長期的にはひっ迫が懸念され」ると指摘しています。特に21年以降、米国やカナダにおける高温・乾燥による不作、ロシアのウクライナ侵略の影響による供給不安で、小麦をはじめ穀物の国際価格が高騰しています。穀物価格の国際的指標とされるシカゴ商品取引所で3月8日、小麦の先物価格が14年ぶりに史上最高値を更新しました。トウモロコシ、大豆なども値上がりました。国連食糧農業機関(FAO)が公表している世界の食料価格指数は3月、1990年の統計開始以来の最高を2カ月連続で更新しました。その後、やや下がったものの、なお高水準にあります。








自給率向上を
穀物の国際価格の上昇を受け、政府は4月、輸入小麦の売り渡し価格を17・3%引き上げました。小麦の輸入は国家貿易で、政府が一手に輸入した後、製粉会社へ売り渡します。売り渡し価格は、国際相場の変動を受け、毎年4月と10月に改定されます。
国際的に、小麦のほか、食料全般が値上がりしています。進行する円安と相まって、輸入食料も値上がりし、国内の食料価格を高騰させています。
日本の食料自給率は20年度に史上最低の37%(37・15%=確定値)まで落ち込みました。そのうえ、主な食料の輸入元が偏っており、特に米国への依存が顕著です。農林水産省が5日発表した21年度の食料自給率が38%(37・99%=速報値)へ小幅上昇したとはいえ、食料自給率の向上は、もはや放置できない課題です。
しかし、政府の食料・農業・農村基本計画は、10年先を見据えて食料自給率の目標や農政の基本施策を定めるものでありながら、自給率目標を引き下げたうえ、達成年限も先送りして、食料自給率向上に本格的に取り組む姿勢を示していません。(おわり)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2022年8月20日付掲載


農業白書は、「国内の農業生産の増大を図ることを基本とし、これに輸入および備蓄を適切に組み合わせる」ことで食料の安定供給を確保すると述べるものの、抜本的な増産の方向を示してはいません。
小麦の輸入は国家貿易で、政府が一手に輸入した後、製粉会社へ売り渡します。売り渡し価格は、国際相場の変動を受け、毎年4月と10月に改定。
パンやめん類も値上げです。
主な食料の輸入元が偏っており、特に米国への依存が顕著。アメリカは食料輸出国ですが、食糧危機になった場合、国内の食料が優先ですので、いくら同盟国でも日本への食料の保証はできません。


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白書が描く経済④ デジタル 構造的問題・脆弱性を指摘

2022-08-23 07:10:23 | 経済・産業・中小企業対策など
白書が描く経済④ デジタル 構造的問題・脆弱性を指摘
「通商白書」は、「世界規模でデジタル変革が急速に進展」しているといいます。ただ、そのなかでも構造的問題や脆弱(ぜいじゃく)性への指摘が出てきています。
「通商白書」は、国際的には「デジタル変革を実現する上では、国家間で公平かつ公正な競争環境が整備されていることが重要」だとして、各国・各地域の政府はグーグルやアマゾンなど「巨大化したプラットフォーマー企業に対して、適正な市場活動を行ってもらうべく、横断的なルール整備を進めている」としました。
「情報通信白書」も「経済分野でグローバル・プラットフォーマーの市場支配力は一層高まりをみせて」いると指摘。「膨大な経済的価値を有するデータの所有が一部のグローバル・プラットフォーマーに集中する」ことで、市民の「行動や嗜好(しこう)が特定の企業によって管理されるような状況への懸念」があると警告しました。
こうした状況に対し、同白書は欧州連合(EU)が産業データへのアクセスに関する域内統一ルールの整備を行って2月に「データ規則案」を公表したと紹介しています。
また、国際通信の99%は海底ケーブルを経由して行われています。「情報通信白書」は、ケーブル終端の陸揚局が、日本では千葉県房総半島に一極集中し、地震や「意図的な損壊」による通信途絶の「リスクが顕在化している」と指摘しました。





デジタル田園都市国家構想実現会議で発言する岸田首相(左から2人目)=6月1日、首相官邸(首相官邸ホームページから)

経済安保強調
「情報通信白書」では、「ハイテク分野を中心に経済活動と安全保障の関係が現実の政策テーマとして意識されるようになった」として、デジタル化に関する経済安保を強調しました。
同白書は、情報通信産業の生産額が2014年時点で1位が中国、2位が米国となり、米中の「技術覇権争いを背景」に、米国が「対米投資審査」や「輸出規制」を強化していると指摘。日本については米国の軍事・経済的な対中世界戦略に日本を組み込む「経済安全保障法の成立」を紹介し、総務省として先端技術に対する「国の集中投資による研究開発の加速化を図る」としました。
また、ロシアによるウクライナ侵略で「偽情報の拡散など攻撃手段としてもICT(情報通信技術)が悪用されて」いると指摘しました。

格差の拡大に
岸田文雄首相は目玉政策として、経済安保法に加え、「デジタル庁」「デジタル田園都市国家構想」「日本周回の海底ケーブルの敷設」などの政策を進めています。
「通商白書」は日本がデジタル化で「投資額等で他国に比べ劣後」「産業全体で競争力を喪失」などとして、さらなる国主導の推進強化を提唱。「情報通信白書」はデジタル化が「あらゆる社会経済活動を支える最も基幹的なインフラの一つ」になっているとして、教育分野で「GIGAスクール構想に基づき、全国ほぼ全ての小・中学校において1人1台端末及び校内通信ネットワーク環境が整って」いるなどと解説しました。
しかし、困窮家庭の学習や居場所支援を行うNPO団体からは、最新調査でネット接続できない家庭が調査対象の半数に上ったとして、格差・貧困の新たな拡大を警告。自治体や研究者からは、地方のデジタル化推進によって人的削減や住民サービスの低下が起きると批判が上がっています。

「しんぶん赤旗」日刊紙 2022年8月19日付掲載


「通商白書」は、国際的には「デジタル変革を実現する上では、国家間で公平かつ公正な競争環境が整備されていることが重要」。各国・各地域の政府はグーグルやアマゾンなど「巨大化したプラットフォーマー企業に対して、適正な市場活動を行ってもらうべく、横断的なルール整備を進めている」と。
「情報通信白書」も同様の指摘。
情報ネットワークの充実は必要ですが、それへのアクセスで経済的格差がが生まれないようにする必要があります。

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くま鉄の夏⑥ 力もらって

2022-08-22 07:10:26 | 公共交通・安全について
くま鉄の夏⑥ 力もらって

「プァーン」。夕闇迫る午後7時半、上りの最終列車が通り過ぎて行きました。(写真)
くま鉄の運行を担うのは約30人の社員たち。一人ひとりが多くの役割を果たします。



隈部恭平さん(33)は、熊本県あさぎり町の駅で列車の運用表作成や社員の勤務管理などをしていますが、運転士や駅員の業務もできます。水害では自宅が床上浸水しました。
昨年11月、部分復旧の試運転を担当した時、沿線から手を振る人々に力をもらいました。
「くま鉄が地域に必要とされていると感じてうれしかった。私もいろいろな業務を覚え、くま鉄をよりよい会社にしたい」(おわり)(写真・記事細川豊史)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2022年8月18日付掲載



くま鉄の運行を担うのは約30人の社員たち。一人ひとりが多くの役割を果たします。
列車の運区管理だけでなく、運転手も駅員も、一人が何役もこなす。
それでも、夜は午後7時半が最終列車。
錦川清流鉄道は午後10時まで走っています。

南桑駅にて_02
南桑駅にて_02 posted by (C)きんちゃん
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