前回の浦和の優勝(2006年)

今日はネタがないので、若いサポにはわからない方もいらっしゃるであろう、浦和レッズの前回の優勝(2006年)を取り上げたいと思います。今や、当時現役で今でも浦和に在籍する選手は平川ただ一人となった、昔の話です。

当時は浦和では伝説的存在のギド・ブッフバルト監督の3年目でした。ギドの戦術はあまり決まった形はなく、選手に自由に個人技を出してもいいという考え方でチームを作っていました。ギドはドイツサッカーに強いコネクションを持っていて、司令塔のポンテは代表歴こそないとはいえ、名門レバークーゼンでバラックの控えのトップ下だった経歴を持ちます。こんな選手を、格安の移籍金で引っ張り、その活躍を見たマスコミが「本物のトップ下」と絶賛したほどでした。

優勝の直前の試合は、アウェイのFC東京戦でした。優勝を目前にした浦和を見ようと、味の素スタジアムにたくさんのレッズサポが押し寄せてチケットは即日完売でした。しかし、その試合は0-0の引き分けに終わります。浦和は引き分けでも、G大阪が引き分け以下で優勝が決まる条件でしたが、2位G大阪がロスタイムの決勝ゴールで京都を2-1で破り、試合は最終節決着になりました。

最終節は、浦和とそのG大阪の直接対決でした。浦和は勝つか引き分けで文句なし、負けても2点差以内なら優勝決定という条件でした。G大阪の西野監督は「無理に3点差にこだわらない」と普段通りのサッカーで3点差勝利を目指す考えでした。事実、G大阪のスタメンは普段通りのメンバーでしたが、攻撃サッカーのG大阪だけに3点差もありえないとはいえないと、少し不安でした。

そんな不安を払拭するかのように、ホーム側ゴール裏から聞こえてきたのが「威風堂々」の大合唱でした。このときは、南側の一番遠い位置に立ち見していた私も、このコールに胸を打たれ、見知らぬ人と手をつないで歌うほどでした。今でも、威風堂々を聞くと当時を思い出して少し涙が出ることもあります。

3点差ということは、怖いのは0-3の場合だけだと思いました。G大阪のマグノ・アウベスの先制点が前半11分と早すぎたのも不安な理由でした。しかし、浦和が1点でも取れば3点差はないと確信があったので、ポンテの同点弾で弾けるように喜んだことを思い出します。この試合は3-2でレッズが勝ち、山田暢久が優勝皿を堂々と埼スタに掲げることになりました。

この皿は、伊勢丹浦和店に展示もされましたが、優勝はしてしまうとあっけなく、それを待って歌っていた「威風堂々」の方が印象的だった記憶です。もう一度、そんな思い、味わってみたいですね。