

今日から夫の白鳥撮影記録から綺麗な写真を少しずつご紹介します。
標題は、おなじみ、近藤 誠医師の本です。
「がん」に関する情報・解説は今まで散々ご紹介したので、
今回は「終末期の治療について」をメモします。
具合が悪くなって、入院すると、「点滴治療は当たり前」のようですが、
こんな状況も有り得るらしい、ということをメモしておきます。
P.54 転移がある「がん」は、放置した場合も、治療した場合でも、やがて
終末期を迎えます。このとき、水分補給・栄養補給という名目で点滴注射が
行われますが、それで患者はかえって苦しくなります。
これに対し、自然の成り行きに任せた場合には、諸臓器の機能が衰え、
食事がとれなくなり、痩せていき、尿量は少なく、呼吸は浅く、脈は弱くなり、
やがてロウソクの火が消えるように亡くなります。
人体は死期に向って、食事や水分を控えることにより、体がひからびて
ラクに死ぬことができるよう、自己調節しているわけです。
P.55 これに対し、水分が強制的に体内に入れられたらどうなるでしょうか。
尿や汗として排泄できなかった水分が体に溜まり、手足がむくみだします。
やがてその影響は肺にも及び、水が肺の中にしみだします。
すると人体は反射的に肺内の水分を痰として外に出そうとする。
しかし末期患者は、筋力も衰えているので(強い咳をして)痰を排出することが
できない。それで肺に水がますます溜まり、
酸素を体内に取り込むための肺スペースがいよいよ限られてきて、
いわば海でおぼれて水が気道から肺に入ったような状態になります。
これでは苦しい。じっと寝ていても、苦しくなるのです。
それで患者は、鎮静剤等で早く意識をなくしてくれと願うようになる
(実行すると、お迎えが早くなります)。
だから、末期患者が呼吸困難になったら、
点滴のせいではないかと疑ってみることが必要です。
点滴はまた、感染症の源にもなります。
点滴のため血管内に留置したカテーテル(管)の周囲に細菌が繁殖し、
敗血症や肺炎へつながっていくのです。これでは病人は苦しくなるばかりですし、
命も縮めます。日本の年間(すべての死因による)死亡数は125万人。
そのうち数万人は、死因ががんや脳卒中となっていても、
直接の死亡原因はカテーテルによる感染症と見られます。

