戦後、聖路加病院がアメリカ軍に接収され、日野原先生は
その図書室に出入りを許されます。
P.96 充分な医学書もない時代、アメリカの進歩的な医学に驚きながら学ぶ時間を
持ちました。当時の日本は
それまでのドイツ医学の模倣、講義を重んじ臨床を重視しない医学が進められていて、
それに強い疑問のあった私は、
臨床を重視するアメリカ医学に光明を見出しました。
その考えがオスラー博士にあることに、やがて気づきます。
このページを見て、私は溜息を禁じ得ません。
戦後生まれ、まさに団塊世代の私が今年65歳になるというのに、
医療の世界は、戦後の頃と全然変わっていないのではないでしょうか?
一度医師資格をとれば、死ぬまで診療資格をもち、何の試験もないせいか、
最新の進歩状況には興味を持たず、学会誌も読まないドクターたちのこと……
この状況が日本の何パーセントなのかは分りませんが、
私のごく身近にも二人ほど、その傾向を感じるお医者さんが居ます。
「患者は僕の出す薬をちゃんと飲んで、おとなしくしていりゃぁいいんだよ」という、
威圧的なお医者さん。
高齢者は遠くへ通院できませんから、そのお医者さんの態度が嫌でも、我慢が必要です。
ところで最近、インターネットには「あなたの近所の名医」「口コミ情報」があります。
ネットを読める環境の人は、結構選ぶことが可能です。
私もリタイア後、<目が痛い><耳に異物感><後頭部の皮膚に出来物が>など、
老人性○○△■といった「嬉しくない症状」が出て、たまに医療機関のお世話になります。
評判が良いところには、少々遠くても自転車または電車で出向き、
本当に良ければ、「次もこの先生に任せられるワ」と思えるので有り難いです。
でも、全国どこでも、誰でもが
先進国では定着している<人間・QOL重視の医療>が受けられるようになるべきです。
日野原先生の解決案は、
P.45 医師にとっての生きた情報は患者さんの言葉です。
自分の様子をはっきりと伝えてください。
渡された薬がどうだったか、体温や血圧、体重、身体の具合を要領よく。
そういう努力が医師を育てます。
それが叶うだけでも双方の成長となり、日本の医療はよくなります。
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私、個人的には、国民一人ひとりが、もっともっと健康のための勉強をし、
良かれ!ということを実践しなければダメだと思っています。
「トシをとったら、どっかこっか悪くなるのは当たり前だよね。
医者はそういう時に行くところなんだから、
薬をくれるか、注射をして治してもらうのが当たり前」という考えが蔓延しています。
団塊世代という、巨大な支え手がいる「現在の高齢者」は、ある意味、ラッキーでした。
でも団塊の世代には先細りの、税収入も健康も心もとない社会が待っています。
その時代に備えて、私たちは「本当の健康とは?」「自分にできることは?」を問いかけ、
しっかり実践していきたいものです。