「見上げてごらん夜の星を」と言う曲は、多くの人が知っていると思う。だけど、この曲の由来を知っているだろうか?
今、アトリエ・フォンテーヌ(麻布十番)で公演中のミュージカルを見たので、この機会に書いておきたい。公演は31日まで。(前売り券完売)
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「ミュージカル」というものが当たり前になった現在だけど、半世紀くらい前はアメリカ映画の一ジャンルとしては知られていたけど、日本語でミュージカルをやるなんていうことはなかった。日本の大衆演劇や映画の中には、歌入り芝居はたくさんあったけど、セリフを洋楽に乗せるということはできないと思われていたのだ。オペラやミュージカルやロックが日本語でできるかということは、マジメな論争になるような問題だった。
だから「和製ミュージカル」という言葉があった。その最初期の作品が「見上げてごらん夜の星を」で、1960年7月に大阪で上演された。作・演出が永六輔、音楽がいずみたく、美術がやなせたかし。永六輔といずみたくは、20代だった。その後、1963年に坂本九主演で再演され、映画化もされた。だから歌も坂本九で記憶され、坂本九が初演だったと思い込んでいたが、今回のプログラムで最初は伊藤素道とリリオ・リズム・エアーズ出演と知った。そのミュージカルの主題歌がタイトルソングの「見上げてごらん夜の星を」で、日本のミュージカルが生んだ唯一のスタンダード・ナンバーである。今回は30年ぶりの上演で、いずみたくが作った劇団「イッツ・フォーリーズ」の公演。最後に「いずみたくメドレー」があるが、コマーシャルを含めて知られている歌がいかに多いか。「夜明けのスキャット」もそうだったんだ。
ということもあまり知られてなく、単に坂本九のヒット曲と思ってる人が多いだろうけど、このミュージカルの内容こそ、多くの人に知っておいて欲しいところである。1960年、安保闘争の年。岸内閣が退陣し池田内閣の「所得倍増政策」が始まる。高度経済成長の始まりである。そんな中で、日本はまだ貧しく、働きながら夜に定時制高校で学ぶ若者が一番多かった時代である。その定時制高校を舞台にした物語が、「見上げてごらん夜の星を」なのである。だから、恋人たちの歌かなんかだと思って歌っていた人が多いと思うけど、これは夜に苦学する若者たちを励ますための歌なのである。
映画版も見たことがあるが、今からすると、あまりにも素朴な全定の生徒間交流がちょっとついていけないかも。それはそれとして、60年代の若者群像の記憶として貴重だと思う。なお、映画では東京スタジアム(荒川区南千住にあった大毎オリオンズの本拠球場。大毎というのは映画会社の大映と毎日新聞社のことで、69年にロッテとなった。)がいっぱい写されているという貴重なフィルムである。
現在の夜間定時制高校は、不登校経験者、障がい生徒、ニューカマー外国生徒などが多くなり、昔と様変わりしているが、教育の「セーフティ・ネット」としての重要性が高まっている。映画では、2010年に公開されて評判となった記録映画「月あかりの下で」がある。各地で上映があり、東京では2.24に板橋、2.25に新宿で上映会がある。ホームページ参照。なお、「見上げてごらん夜の星を」のプログラムの中に、定時制高校に関して、六本木高校T先生のインタビューが掲載されているので、是非ご一読を。
今、アトリエ・フォンテーヌ(麻布十番)で公演中のミュージカルを見たので、この機会に書いておきたい。公演は31日まで。(前売り券完売)
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「ミュージカル」というものが当たり前になった現在だけど、半世紀くらい前はアメリカ映画の一ジャンルとしては知られていたけど、日本語でミュージカルをやるなんていうことはなかった。日本の大衆演劇や映画の中には、歌入り芝居はたくさんあったけど、セリフを洋楽に乗せるということはできないと思われていたのだ。オペラやミュージカルやロックが日本語でできるかということは、マジメな論争になるような問題だった。
だから「和製ミュージカル」という言葉があった。その最初期の作品が「見上げてごらん夜の星を」で、1960年7月に大阪で上演された。作・演出が永六輔、音楽がいずみたく、美術がやなせたかし。永六輔といずみたくは、20代だった。その後、1963年に坂本九主演で再演され、映画化もされた。だから歌も坂本九で記憶され、坂本九が初演だったと思い込んでいたが、今回のプログラムで最初は伊藤素道とリリオ・リズム・エアーズ出演と知った。そのミュージカルの主題歌がタイトルソングの「見上げてごらん夜の星を」で、日本のミュージカルが生んだ唯一のスタンダード・ナンバーである。今回は30年ぶりの上演で、いずみたくが作った劇団「イッツ・フォーリーズ」の公演。最後に「いずみたくメドレー」があるが、コマーシャルを含めて知られている歌がいかに多いか。「夜明けのスキャット」もそうだったんだ。
ということもあまり知られてなく、単に坂本九のヒット曲と思ってる人が多いだろうけど、このミュージカルの内容こそ、多くの人に知っておいて欲しいところである。1960年、安保闘争の年。岸内閣が退陣し池田内閣の「所得倍増政策」が始まる。高度経済成長の始まりである。そんな中で、日本はまだ貧しく、働きながら夜に定時制高校で学ぶ若者が一番多かった時代である。その定時制高校を舞台にした物語が、「見上げてごらん夜の星を」なのである。だから、恋人たちの歌かなんかだと思って歌っていた人が多いと思うけど、これは夜に苦学する若者たちを励ますための歌なのである。
映画版も見たことがあるが、今からすると、あまりにも素朴な全定の生徒間交流がちょっとついていけないかも。それはそれとして、60年代の若者群像の記憶として貴重だと思う。なお、映画では東京スタジアム(荒川区南千住にあった大毎オリオンズの本拠球場。大毎というのは映画会社の大映と毎日新聞社のことで、69年にロッテとなった。)がいっぱい写されているという貴重なフィルムである。
現在の夜間定時制高校は、不登校経験者、障がい生徒、ニューカマー外国生徒などが多くなり、昔と様変わりしているが、教育の「セーフティ・ネット」としての重要性が高まっている。映画では、2010年に公開されて評判となった記録映画「月あかりの下で」がある。各地で上映があり、東京では2.24に板橋、2.25に新宿で上映会がある。ホームページ参照。なお、「見上げてごらん夜の星を」のプログラムの中に、定時制高校に関して、六本木高校T先生のインタビューが掲載されているので、是非ご一読を。