トランプ政権の人事がだんだん決まっていく中で、これはあまりにひどすぎるだろうという感じになってきた。ついには長女の夫であるクシュナー氏が大統領上級顧問になるという。当初は国務長官に、前回の共和党大統領候補ロムニー氏という声が高かった。それが実現していれば、「オール共和党」で出発するんだという形は取れたかもしれない。しかし、陣営内部にロムニー氏の大統領選挙時の対応を批判する声が高くてつぶれたという。「根に持つタイプ」なのである。
結局、今のところ候補の多くがウォール街や軍人出身になってしまっている。国務長官や国防長官も、政治的能力が不明な人物ばかりである。今後、上院で承認が必要になるが、公聴会で失言やスキャンダルが出ないとは言えない。共和党が多数を占めているとはいえ、52議席だから数人が造反すれば承認されない。アメリカは党議拘束が緩いから、最初の最初からもめる可能性も高い。
ぼくは昨年11月の当選直後に「トランプ大統領はどうなるか」を書き、「お友だち政権」になるだろうと書いた。今のところ、それどころではない「側近政治」になりつつある。かつてのラテンアメリカや東南アジアみたいな感じを思い浮かべると近いのではないか。その時に、石原や橋下がいた日本だからわかることがあるとも書いた。つまり、いずれ「暴言」が連発するだろうと思ったんだけど、どうせなら「維新」のようにツイッターで問題を起こすだろうと書けば大当たりだった。でも、さすがにそれは当選後は控えるだろうと思っていたのである。ちょっと甘かった。
ところで、大統領選挙の最終得票だけど、ヒラリー・クリントン=65,844,610票(48.1%)、ドナルド・トランプ=62,979,636票(46.0%)になっている。286万票以上の差である。選挙制度の問題で結果は違ったが、ここまでの大差がついていると、米国民の多数によって選ばれたという正統性に明らかに疑問がある。トランプがツイッターで居丈高に批判を繰り返すのも、自分が米国民の多数によって選ばれていないという不安や自信のなさが背景にあるのではないか。
例えば、ゴールデングローブ賞の授賞式でメリル・ストリープがトランプ(の名前は出していないが)を批判したという出来事がある。それに対して、トランプは「メリル・ストリープはハリウッドで最も過大評価されている女優の一人だ。(略)彼女は大負けしたヒラリーの取り巻きだ」などと「反撃」した。この「大負けしたヒラリー」などという言い方に、自分が300万票近く負けていることを意識している感じがうかがわれる。それにメリル・ストリープを「過大評価」などというのも、口が滑ったでは済まない人間性のレベルが露呈している。(批判のもとになった障害がある記者のモノマネも品がない。)
なんでもトランプは、批判されると「倍返し」するタイプなんだそうだ。いま世界中のリーダーは、これらのやり取りを注意深く見つめて分析しているだろう。小国はいかにトランプを怒らせないかを探るために。一方、いくつかの大国は「いかにトランプを怒らせて、自分の方が冷静な指導者だと内外に見せつけられるか」を探るために。特に、ロシアや中国はどう対応するか。この問題は別に考えたいが、ロシアが米大統領選を左右した可能性は、どこまで信じられるかは別にして今後考慮しておいた方がいいだろう。一説にはロシアは共和党陣営もハッキングしたがリークしなかったという。そうなると、ロシアはトランプに(表立っては言えないけれど)大きな貸しがあることになる。
僕は当初は「トランポノミクス」が注目されるかもしれないが、いずれ外交上の混乱に加え、親族や側近などの内紛、それに伴ってビジネスなどの利益相反、利益誘導などが問題視されることは予測できる。そうなると、トランプは一期で終わるか、それどころか韓国のように弾劾問題が浮上する可能性さえ考えておいたほうがいい。単に、右派や保守派が政権に就いたという「政策上の問題」に留まらない混乱を予想しておく方がいい。だから、世界も日本も、今後はトランプだなどとついていかずに、嵐が過ぎ去るのを待つ方は賢明だと思う。
結局、今のところ候補の多くがウォール街や軍人出身になってしまっている。国務長官や国防長官も、政治的能力が不明な人物ばかりである。今後、上院で承認が必要になるが、公聴会で失言やスキャンダルが出ないとは言えない。共和党が多数を占めているとはいえ、52議席だから数人が造反すれば承認されない。アメリカは党議拘束が緩いから、最初の最初からもめる可能性も高い。
ぼくは昨年11月の当選直後に「トランプ大統領はどうなるか」を書き、「お友だち政権」になるだろうと書いた。今のところ、それどころではない「側近政治」になりつつある。かつてのラテンアメリカや東南アジアみたいな感じを思い浮かべると近いのではないか。その時に、石原や橋下がいた日本だからわかることがあるとも書いた。つまり、いずれ「暴言」が連発するだろうと思ったんだけど、どうせなら「維新」のようにツイッターで問題を起こすだろうと書けば大当たりだった。でも、さすがにそれは当選後は控えるだろうと思っていたのである。ちょっと甘かった。
ところで、大統領選挙の最終得票だけど、ヒラリー・クリントン=65,844,610票(48.1%)、ドナルド・トランプ=62,979,636票(46.0%)になっている。286万票以上の差である。選挙制度の問題で結果は違ったが、ここまでの大差がついていると、米国民の多数によって選ばれたという正統性に明らかに疑問がある。トランプがツイッターで居丈高に批判を繰り返すのも、自分が米国民の多数によって選ばれていないという不安や自信のなさが背景にあるのではないか。
例えば、ゴールデングローブ賞の授賞式でメリル・ストリープがトランプ(の名前は出していないが)を批判したという出来事がある。それに対して、トランプは「メリル・ストリープはハリウッドで最も過大評価されている女優の一人だ。(略)彼女は大負けしたヒラリーの取り巻きだ」などと「反撃」した。この「大負けしたヒラリー」などという言い方に、自分が300万票近く負けていることを意識している感じがうかがわれる。それにメリル・ストリープを「過大評価」などというのも、口が滑ったでは済まない人間性のレベルが露呈している。(批判のもとになった障害がある記者のモノマネも品がない。)
なんでもトランプは、批判されると「倍返し」するタイプなんだそうだ。いま世界中のリーダーは、これらのやり取りを注意深く見つめて分析しているだろう。小国はいかにトランプを怒らせないかを探るために。一方、いくつかの大国は「いかにトランプを怒らせて、自分の方が冷静な指導者だと内外に見せつけられるか」を探るために。特に、ロシアや中国はどう対応するか。この問題は別に考えたいが、ロシアが米大統領選を左右した可能性は、どこまで信じられるかは別にして今後考慮しておいた方がいいだろう。一説にはロシアは共和党陣営もハッキングしたがリークしなかったという。そうなると、ロシアはトランプに(表立っては言えないけれど)大きな貸しがあることになる。
僕は当初は「トランポノミクス」が注目されるかもしれないが、いずれ外交上の混乱に加え、親族や側近などの内紛、それに伴ってビジネスなどの利益相反、利益誘導などが問題視されることは予測できる。そうなると、トランプは一期で終わるか、それどころか韓国のように弾劾問題が浮上する可能性さえ考えておいたほうがいい。単に、右派や保守派が政権に就いたという「政策上の問題」に留まらない混乱を予想しておく方がいい。だから、世界も日本も、今後はトランプだなどとついていかずに、嵐が過ぎ去るのを待つ方は賢明だと思う。