一口に東京都とは言っても、相当に広い地域だ。日本の「最南端」(沖ノ鳥島)や「最東端」(南鳥島)は東京都である。もっともこれらは自由に行けるところではない。観光で行けるところは、やはり最南端は沖縄県(波照間島)、最東端は北海道(納沙布岬)になるということだが。それにしても、国会議事堂や官庁街がある千代田区と、秩父多摩甲斐国立公園が広がる奥多摩地方、世界遺産指定の小笠原諸島まで、実に幅広い地域を含んでいるのが東京都である。
東京都を大まかに分けると、「東京23区」と「多磨地区」、「島嶼部」(とうしょぶ)になる。今全部見るのは大変だし、多磨地区の細かな違いは僕もよく判らない。そこで「23区」に絞るが、その内部でも地域性の違いは大きい。一般的に言って、住民の所得は中央部が一番高く、周辺部は「西高東低」になる。そのことを示すデータがないか調べたら、下記の画像が見つかった。「東京23区の平均年収ランキング」という記事である。(データは総務省「課税標準額段階別平成30年度分所得割額等に関する調」より「課税対象所得÷納税義務者数」にて算出と出ている。)

これを見ると、第1位の港区の平均所得1126万と、第23位の足立区の341万とでは3倍以上の差がある。都心部の方が地価が高いわけだから、当然お金持ちしか住めないのである。①港区②千代田区③渋谷区の3区が突出して高く、800万円以上。続いて④中央区⑤目黒区⑥文京区⑦世田谷区⑧新宿区までが、平均500万円以上。400万台に⑨品川区⑩杉並区⑪豊島区⑫江東区⑬大田区⑭台東区⑮練馬区⑯中野区が並んでいる。300万円台は⑰墨田区⑱荒川区⑲北区⑳江戸川区㉑板橋区㉒葛飾区㉓足立区と、東部、北部の周辺に位置する7区が並んでいる。東京以外の人には細かな話になったかもしれないけど。
今回の都知事選では当選した現職の小池百合子以外に、50万票以上を獲得した候補者が3人いた。投票率が思ったより高くなって、供託金没収ライン(有効投票の10分の1)は約62万票となった。得票率10.72%の山本太郎はかろうじて到達したが、実は61万2千票(得票率9.99%)の小野泰輔(日本維新の会推薦、前熊本県副知事)は、わずかに及ばず供託金没収となった。前に書いた「泡沫候補」の記事で、有力4候補の中でも一人ぐらい没収がいるかもしれないと書いておいたが、ここまでギリギリの結果も珍しい。
23区のどの区を見ても最多得票は小池だが、2位以下はいくつかのパターンがある。2位だった宇都宮健児と3位の山本太郎、4位の小野泰輔の中で、84万余を獲得した宇都宮票は、どの区でも3位以内には入っている。しかし、小野と山本の票争いはかなりし烈なものがあった。小野が山本に勝った区が結構多いのである。それどころか、小野が3人のトップになった区が3つある。それは千代田区、中央区、港区で、区民の平均所得が1位、2位、4位の区である。
2位は宇都宮だったけど、差は少ない場合もあるけれど、とにかく小野票が山本票を上回ったのは、9区ある。それは新宿区、文京区、台東区、江東区、品川区、目黒区、大田区、世田谷区、渋谷区で、これは先の平均所得ランキングで、3位から14位までを占めている。つまり23区の中で上位14区を見ると、10位杉並区、11位豊島区を除き、ずらっと平均所得が高い区が並ぶわけである。15位以下は、江戸川区を除き、宇都宮、山本、小野の順番になる。江戸川区だけは山本太郎が3人の中で一番多い。投票行動と平均所得に相関関係があるのだろうか。
(小野泰輔)
山本太郎は「全都民に10万円給付」などを掲げたので、所得の低い層にアピールする部分はあるだろう。では小野泰輔の政策はどうなんだろうか。小野は東京出身で、目黒区生まれ。私立海城高校から東大に進学し、外資系コンサルティング会社などを経て、大学の恩師である蒲島郁夫・熊本県知事の下で副知事を務めた。選挙前の知名度はほぼゼロだっただろうが、選挙は健闘したと言える。選挙公報を見る限り、「民営化とIR誘致」「学校外教育バウチャー」など確かに富裕層受けする政策が掲げられている。「同姓パートナーシップ条例導入」など他候補にはない政策もあるが、有力候補の中でカジノ誘致をはっきり打ち出した唯一の候補でもある。
小野候補がどうして「富裕区」で受けたのか、僕には今ひとつ判らないけど、数字的には確かに相関関係がありそうだ。「都内格差」の問題は微妙なので、気付いているとは思うが大手マスコミも触れない。もちろん、どの区にも様々な人が住んでいるわけで、日本でははっきりと所得別に住み分けているわけではない。あえて書いてみたが、今後「維新」が「富裕層のホンネ」路線に焦点を当てて伸びてゆく可能性がある。大阪の票の出方はよく判らないけど、東京では「富裕層のための改革」路線を主張するのではないか。
東京都を大まかに分けると、「東京23区」と「多磨地区」、「島嶼部」(とうしょぶ)になる。今全部見るのは大変だし、多磨地区の細かな違いは僕もよく判らない。そこで「23区」に絞るが、その内部でも地域性の違いは大きい。一般的に言って、住民の所得は中央部が一番高く、周辺部は「西高東低」になる。そのことを示すデータがないか調べたら、下記の画像が見つかった。「東京23区の平均年収ランキング」という記事である。(データは総務省「課税標準額段階別平成30年度分所得割額等に関する調」より「課税対象所得÷納税義務者数」にて算出と出ている。)

これを見ると、第1位の港区の平均所得1126万と、第23位の足立区の341万とでは3倍以上の差がある。都心部の方が地価が高いわけだから、当然お金持ちしか住めないのである。①港区②千代田区③渋谷区の3区が突出して高く、800万円以上。続いて④中央区⑤目黒区⑥文京区⑦世田谷区⑧新宿区までが、平均500万円以上。400万台に⑨品川区⑩杉並区⑪豊島区⑫江東区⑬大田区⑭台東区⑮練馬区⑯中野区が並んでいる。300万円台は⑰墨田区⑱荒川区⑲北区⑳江戸川区㉑板橋区㉒葛飾区㉓足立区と、東部、北部の周辺に位置する7区が並んでいる。東京以外の人には細かな話になったかもしれないけど。
今回の都知事選では当選した現職の小池百合子以外に、50万票以上を獲得した候補者が3人いた。投票率が思ったより高くなって、供託金没収ライン(有効投票の10分の1)は約62万票となった。得票率10.72%の山本太郎はかろうじて到達したが、実は61万2千票(得票率9.99%)の小野泰輔(日本維新の会推薦、前熊本県副知事)は、わずかに及ばず供託金没収となった。前に書いた「泡沫候補」の記事で、有力4候補の中でも一人ぐらい没収がいるかもしれないと書いておいたが、ここまでギリギリの結果も珍しい。
23区のどの区を見ても最多得票は小池だが、2位以下はいくつかのパターンがある。2位だった宇都宮健児と3位の山本太郎、4位の小野泰輔の中で、84万余を獲得した宇都宮票は、どの区でも3位以内には入っている。しかし、小野と山本の票争いはかなりし烈なものがあった。小野が山本に勝った区が結構多いのである。それどころか、小野が3人のトップになった区が3つある。それは千代田区、中央区、港区で、区民の平均所得が1位、2位、4位の区である。
2位は宇都宮だったけど、差は少ない場合もあるけれど、とにかく小野票が山本票を上回ったのは、9区ある。それは新宿区、文京区、台東区、江東区、品川区、目黒区、大田区、世田谷区、渋谷区で、これは先の平均所得ランキングで、3位から14位までを占めている。つまり23区の中で上位14区を見ると、10位杉並区、11位豊島区を除き、ずらっと平均所得が高い区が並ぶわけである。15位以下は、江戸川区を除き、宇都宮、山本、小野の順番になる。江戸川区だけは山本太郎が3人の中で一番多い。投票行動と平均所得に相関関係があるのだろうか。

山本太郎は「全都民に10万円給付」などを掲げたので、所得の低い層にアピールする部分はあるだろう。では小野泰輔の政策はどうなんだろうか。小野は東京出身で、目黒区生まれ。私立海城高校から東大に進学し、外資系コンサルティング会社などを経て、大学の恩師である蒲島郁夫・熊本県知事の下で副知事を務めた。選挙前の知名度はほぼゼロだっただろうが、選挙は健闘したと言える。選挙公報を見る限り、「民営化とIR誘致」「学校外教育バウチャー」など確かに富裕層受けする政策が掲げられている。「同姓パートナーシップ条例導入」など他候補にはない政策もあるが、有力候補の中でカジノ誘致をはっきり打ち出した唯一の候補でもある。
小野候補がどうして「富裕区」で受けたのか、僕には今ひとつ判らないけど、数字的には確かに相関関係がありそうだ。「都内格差」の問題は微妙なので、気付いているとは思うが大手マスコミも触れない。もちろん、どの区にも様々な人が住んでいるわけで、日本でははっきりと所得別に住み分けているわけではない。あえて書いてみたが、今後「維新」が「富裕層のホンネ」路線に焦点を当てて伸びてゆく可能性がある。大阪の票の出方はよく判らないけど、東京では「富裕層のための改革」路線を主張するのではないか。