尾形修一の紫陽花(あじさい)通信

教員免許更新制に反対して2011年3月、都立高教員を退職。教育や政治、映画や本を中心に思うことを発信していきます。

山崎正和、内海桂子、ピート・ハミル他ー2020年8月の訃報

2020年09月06日 22時37分58秒 | 追悼
 2020年8月の訃報特集。渡哲也を別に書いたので、山崎正和から。8月19日没、86歳。「劇作家」という肩書きが出ていたが、何十年も前には確かに劇作家として有名だった。「世阿弥」で岸田賞を取って、その後もいくつか書いている。僕は「新潮書き下ろし劇場」で刊行された「実朝出帆」を読んだ記憶がある。しかし、1970年代以後は「文芸評論家」「社会評論家」だった。高校時代に新聞の書評で気になった「鴎外 闘う家長」を読んで深刻な影響を受けた。評論という分野に限れば、「保守」の立場に立つ評論家の方が面白いことが多かった。
(山崎正和)
 1980年代には「柔らかい個人主義の誕生」を唱えたが、これは今となっては全くの間違いだったと思う。そういうものもあっただろうが、結局は日本社会に「個人主義」は定着しなかった。21世紀になると、中教審会長などを務め文化勲章を得ることになった。日本的な「知識人」の一つの典型例だろう。僕はもうずいぶん長いこと読んでいない。

 漫才師の内海桂子が8月22日に97歳で死去。相方の内海好江は1997年に61歳で死去したため、その後は一人で活動していた。二人には血縁関係はなく、14歳下の好江を預かる形でコンビを組んだという。1958年にNHK新人漫才コンクールで優勝し、60年代以後のテレビにはよく出ていたと思う。長く演芸活動を続け、晩年にもツイッターを始めるなど老いを感じさせない活躍を続けていた。漫才協会名誉会長(4代目会長)で、ウッチャンナンチャンナイツの師匠。
(内海桂子)
 政治家で、元衆議院副議長の渡部恒三(わたなべ・こうぞう)が8月22日死去、88歳。1969年に初当選して以来、当選14回。自民党田中派、竹下派で厚生相、通産相などを歴任、「竹下派七奉行」の一人とされた。93年に小沢一郎らと離党して細川・羽田政権樹立に参加。「自社さ」連立の村山政権ができると、野党の「新進党」に所属した。1996年に新進党を代表して衆議院副議長に就任。2000年には与党側に押される形で再任され、歴代最長の副議長となった。この経緯には疑問が多い。その後は民主党に所属し国対委員長などを務め2012年に引退した。独特の風貌、方言で率直な発言を繰り返し、「平成の黄門様」と呼ばれて親しまれた。結局、小沢一郎との関係がつきまとう政界人生だが、矛盾も多かったと思う。
(渡部恒三)
 野球選手だった福嶋一雄が27日死去、89歳。僕はこの人の名前を知らなかった。結局プロにならず、高校、大学、社会人で活躍した選手だが、野球殿堂特別表彰を受けている。1947年に小倉中で甲子園に出場、優勝した。翌1948年には新制小倉高校として出場、全5試合完封という記録で連続優勝した。その後、早稲田大学で優勝、八幡製鉄でも都市対抗で優勝した。1949年に3連覇を掛けて破れたときに無意識で土をポケットに入れた。これが「初めて甲子園の土を持ち帰った選手」と言われている。
 (福嶋一雄)
立石涼子、2日死去、68歳。俳優、声優。多くの舞台で活躍した。2004年に紀伊國屋演劇賞。
宮井勝成(かつなり)、7日死去、94歳。1957年に早実監督として王貞治投手で優勝。その後中大監督として東都リーグ優勝8回に輝いた。
須藤甚一郎、11日死去、81歳。芸能リポーター、目黒区議。
桂千穂、13日死去、90歳。脚本家。名前から女性と思われることが多く、僕も最初はそう思っていた。日活ロマンポルノや大林監督「HOUSE」「廃市」「ふたり」など多くの映画、テレビの脚本を書いた。
豊竹嶋太夫、20日死去、88歳。文楽太夫、人間国宝。
沖至、25日パリで死去、78歳。ジャズ・トランペッター。羽仁進「午前中の時間割」に出演。
梅野泰靖(やすきよ)、俳優。25日死去、87歳。民藝で活躍、1979年紀伊國屋演劇賞。
東海林勤、25日死去、88歳。日本基督教団牧師で、70年代の韓国民主化運動の支援者として活躍した。その後、高麗博物館設立に尽力して初代館長を務めた。
益子修(ますこ・おさむ)、31日死去、71歳。三菱自動車前会長。
河原崎次郎、79歳。7月死去だが日は未公表。俳優。テレビの「水戸黄門」などで活躍した。

 外国ではピート・ハミルの訃報があったが、案外小さくて忘れられているのが残念だ。作家、ジャーナリスト、コラムニストで、ニューヨークを舞台に多くの文章を書いた。「幸せの黄色いハンカチ」の原作と言われるコラムの作者だが、それ以上に多くの業績がある。ミステリーも書いて創元文庫から出ていた。「ブルックリン物語」「ボクサー」「ニューヨーク・スケッチブック」「愛しい女」など、昔は河出文庫から出てずいぶん読まれていた。妻が日本人の青木冨美子(731部隊等の著作がある)で、「東京スケッチブック」という本もあった。
(ピート・ハミル)
 「ブラックパンサー」の主演俳優、チャドウィック・ボーズマンが28日、43歳で亡くなった。大腸ガンということで衝撃を与えている。
(チャドウィック・ボーズマン)
ベン・クロス、18日死去、72歳。「炎のランナー」の主演俳優。
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