尾形修一の紫陽花(あじさい)通信

教員免許更新制に反対して2011年3月、都立高教員を退職。教育や政治、映画や本を中心に思うことを発信していきます。

「渡辺喜美」に叙勲ってあり?ー「みんなの党」余聞①

2023年11月10日 22時22分28秒 | 政治
 2回ほど「みんなの党」関連の記事を書きたい。そんな大した話じゃないと思うけど、他の人が触れてないようなので。まず、11月3日の新聞を見て目を疑った。この日(文化の日)は秋の叙勲が発表される日である。人間に等級を付ける勲章制度には反対だが、そのことを書きたいわけじゃじゃない。どうせくれるわけじゃないし、反対運動をするなら他に優先的に無くすべきものはいろいろとある。だが日本国が授ける以上、説明責任というか、この人ならまあいいか的な納得感はいるんだろうと思う。

 受章者に特に関心はないが、今の新聞は活字が大きいから名前が飛び込んで来る。一番最初にあるのが「旭日大綬章」(きょくじつ・だいじゅしょう)で、14人が受章。その次は「瑞宝大綬章」(2人)、その次が「旭日重光章」である。どうやら政治家が貰うのは「旭日」というものらしい。そして「大綬章」を受ける政治家は皆大臣経験者である。一方、「重光章」を見ると、経歴が「副大臣」止まりである。大臣になったら、勲章のレベルが一段上がる。これが大臣になりたい理由なのか。

 さて、「旭日大綬章」受賞者を見てみる。経済界の人は知らないけど政治家には知ってる人もいる。片山虎之助鉢呂吉雄などである。片山氏は落選後に「日本維新の会」に移って、参院に復活した。病気だったはずだが、まだ存命である。鉢呂氏は民主党政権で経産相になったのに、失言のため数日で棒に振ってしまった。元文科相で「立ちあがれ日本」に移った右派の中山成彬氏も受賞者である。だから離党しようが、民主党政権だろうが、ちょっとでも大臣をやってれば旭日大綬章をくれるのである。

 だが、その中に西川公也渡辺喜美も含まれていて、大いに疑問を覚えたのである。西川公也元農水相はWikipediaを見るとずいぶん不祥事が多い人だ。栃木県職員だった若き日には、汚職の容疑で逮捕されたこともあった。その時は金額が少額で起訴猶予だったという。最近では吉川貴盛農水相がアキタフーズから賄賂を受けた「鶏卵汚職事件」で西川氏も名前が出た。落選して内閣参与だったときに、接待を受けてリゾートホテルに宿泊したという。現金も受け取っていて、2020年までの総額は1500万円を超えるとアキタフーズ元会長が供述しているという。しかし、立件されなければ勲章を貰えるのである。
(渡辺喜美氏に勲章)
 さて、前置きが長くなりすぎたが、今回渡辺喜美氏も旭日大綬章を受けた。ということは完全に政界引退である。渡辺美智雄元外相の長男で、第一次安倍内閣(改造)、福田康夫内閣で、行政改革担当相を務めた。西川氏が栃木2区で、渡辺氏は隣の栃木3区だった。しかし、2009年1月に自民党を離党し、8月に「みんなの党」を結成して衆院選に臨んだ。2009年衆院選は民主党に押されて当選5人だったが、翌2010年参院選では比例区で公明党を上回る得票を得て、7議席を獲得。選挙区の3議席と合わせて、一挙に10議席を得た。ここらが短い絶頂期で、その後内紛とスキャンダルに揺れ、2014年に解党することになった。
(みんなの党ポスター)
 解党に至るきっかけは、渡辺喜美氏にまつわる金銭スキャンダルだった。化粧品会社DHCの吉田嘉明会長から、2010年参院選、12年衆院選前に計8億円を借りたというのである。そのうち5億円が返金されていないという吉田手記が、「週刊新潮」に掲載された。国会議員は資産を報告する義務があるが、そこでは借入金は2億5千万となっていて違いがある。それ以上に問題なのは、これは選挙用の政治資金だったのではないかということだ。吉田会長もそう認識していて、選挙前に「あと5億円必要です」とメールしていたと明かしている。渡辺氏は借り入れは認めたうえで、「個人的な借り入れ」だとしている。
 
 だが政治家が選挙直前に「個人的に借金する」こと自体あり得ないだろう。だから政治資金規正法違反で告発されたのも当然だが、東京地検は嫌疑不十分で不起訴となった。検察審査会で審査され「不起訴不当」を議決したものの、再度不起訴となった。僕の見るところ、法的に立証出来なかっただけで限りなく疑わしいと思う。だが要するに立件されなければ、いずれ勲章が貰えるのである。そりゃまあ、起訴もされていない以上、それは「無実」と扱うべきだろう。だけど、何も勲章を贈らなくても良いし、本人だって辞退するべきものじゃないか。僕はそう思うけれど。
(旭日大綬章)
 ところで、DHCの吉田嘉明会長という人物は、様々な差別発言でよく知られた人物である。在日韓国・朝鮮人に対する粗雑な差別的発言はたびたび問題になってきた。そういう人から多額の借り入れを行うに至った事情はどんなものか。そして、それを週刊誌に暴露されたんだから、関係が悪化したんだろうけれど、それはどんな理由からだろうか。この問題は「一件落着」で、勲章貰って良かったねで済まない問題が残っているように思う。それにしても失言してもスキャンダルがあっても受勲出来るんだから、やがて麻生太郎や甘利明といった人物もきっとスゴい勲章を貰うんだろうな。そういう国なのである。
コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 李克強、パイパー・ローリー... | トップ | ただいま入院中 »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

政治」カテゴリの最新記事