尾形修一の紫陽花(あじさい)通信

教員免許更新制に反対して2011年3月、都立高教員を退職。教育や政治、映画や本を中心に思うことを発信していきます。

2025衆参同日選はあるか?ー石破内閣の今後を考える

2025年01月14日 22時13分01秒 | 政治

 2024年10月27日の衆議院選挙が終わった後で、『しばらくは石破「少数与党内閣」で、2025衆参同日選挙か?』を書いた。2ヶ月ちょっと経って、2025年を迎えたので今年の政局を考えてみたい。2025年は何といっても「7月の参議院選挙」である。今のところ、7月20日が有力と言われている。その前の7月上旬に都議選がある予定だが、期日はまだ未定。都議選は次にある参院選の結果に影響することが多いが、今のところどうなるか全く想定できない。従って参院選の結果も現時点では予測不能である。

 石破内閣の命運もこの参議院選挙に掛かっている。衆院は与党がすでに過半数を割り、さらに参院選もボロ負けして与党過半数割れとなったら、さすがに石破首相も直ちに辞意表明に追い込まれるだろう。それを防ぐにはどうしたら良いか。政策的な問題はちょっと置いて、政局的な判断としては「衆参同日選に持ち込む」というのが一つある。支持率が落ちたといっても、自民党が第一党であるのは間違いない。衆院選、参院選両方を一緒にやれば、候補者数も不足しがちな小党には厳しいからだ。

(衆参同日選はあるか?)

 しかし、僕の見るところでは石破首相は「ホンネでは同日選を考えていない」と判断している。それは昨秋から、時々同日選を匂わす発言をしているからだ。もし本当に同日選を想定しているなら、深く秘して人には語らないだろう。衆参同日選をやれば、もしかしたら衆参とも自公で過半数を獲得できるかも知れない。しかし、未だに裏金問題への批判も強く、保守系新党も出馬するわけで、自民党が大勝利することは難しいと思う。もし自民党が大勝したら、功労者の石破総裁は安泰になる。しかし、そういう可能性がほぼないのなら、まだしも「衆院で少数与党の方がマシ」だと思っているのではないか。

 石破内閣の支持率もパッとせず、首相への批判も強い。しかし、自民党内で「石破おろし」は起きない。その理由は、仮に誰がなっても「少数与党」という現実は変わらず、石破首相に代わって自分が苦労するだけのために「石破おろし」をする意味がないからだ。つまり、「少数与党」が石破内閣存続の理由にもなっている。無理して衆参同日選をやっても、負けたらオシマイ。勝っても「少数与党」じゃなくなったら、かえって反石破運動を誘発しかねないのである。

 また都議選に集中したい公明党は、衆参同日選を忌避している。(支援組織の創価学会が東京都知事から宗教法人の認可を受けているため、都議会で一定の勢力を維持することを重視していると言われる。)そのことも衆参同日選を避けたい理由だろう。もっとも野党がもし一致結束して内閣不信任案を可決した場合は、石破首相は総辞職ではなく解散を選択するのは確実だ。だから野党が衆参同日選を求めているかどうかという問題になる。一般論としては、参院選を前に各党は「独自色の発揮」を考えるはずで、安易に政権にすり寄るよりは内閣追及を強めることが多い。

 だから内閣不信任案を国会会期末に出すというのが普通のパターン。野党が全部賛成すれば不信任案が通っちゃう。そこの神経戦がギリギリの判断のしどころで、「ひょんなことから衆参同日選」になる可能性もある。ただ、その場合一年もしないうちに衆院選をまたやるわけで、世論は野党側に厳しい反応を示すかも知れない。じゃあ、どうなる。「立憲民主党との間で大きな妥協をする国民民主党の要望を受け容れて不信任案反対に回ってもらう」というのは、どっちも参院選に連合の組織内候補を多く抱える両党にはなかなか難しいのではないか。(連合は建前上、両党の協力を求めているわけだから。)

 そうなると、様々な可能性を模索しながら、「日本維新の会が不信任案反対に回る」可能性がもっとも高いように思う。3月に大阪万博が始まり、「やってみれば大評判、大盛況」となれば別だ。そうなれば万博会期中に衆参同日選をやってみたいかもしれない。だけど、今のところ前売券販売もパッとせず、盛り上がりも今ひとつ。正直「維新」は万博中に衆院選をやりたくないんじゃないか。その場合、何か少し維新の求めに応じて、維新が不信任案反対に回る。そういう可能性は考えられると思う。こういうことは後数ヶ月すると当たり外れがはっきりするので、書かない方が利口かと思うが一応予測してみた次第。

(参議院の勢力)

 なお、参議院選挙の結果だが、今の段階では全く予測できない。毎回「一人区」の結果が参院選を左右してきた。だから、野党の選挙協力があるかないかで大きく変わる。前回2022年選挙では、自民党63公明党13と与党が勝利した。その後岩手県選出の広瀬めぐみ議員が辞職し、補選で立憲民主党が勝利した。だから今の時点では、与党が75議席持っている。参議院全体は248議席で、124が改選になる。(蓮舫が都知事選出馬で失職した議席が今回欠員補充となるので、実際は125議席が争われる。)

 ということは自公で50議席取れば何とか過半数になる。公明党が同じぐらい取ると仮定すれば、自民党はおよそ半減するぐらいの大敗でも「3年前の貯金」で過半数になる。野党側が全部まとまっても一挙に与党を過半数割れに追い込むのは難しい情勢。まあ自民党は大きく減らすだろう。だから問題は2028年参院選になるのかも。なお、東京都選挙区は、6人+蓮舫分を加えた定数7になる。(7番目の当選者は任期3年。)6年前当選の丸川珠代、音喜多駿は衆院選に出て失職。公明党の山口那津男元代表は引退だから、知らない人がいっぱい出て来る選挙になりそうだ。)


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