小さな記事だったから、気付いてない人も多いだろうと思って書いておく問題。7月28日に自民党の「性的マイノリティに関する特命委員会」が開かれ、有識者ヒヤリングとして麗澤大の八木秀次教授を招いて意見交換を行った。自民党にそんな委員会が作られていたとは知らなかった。委員長は高階恵美子(たかがい・えみこ)衆議院議員である。
あれっ、高階議員って参議院じゃなかったっけ。看護連盟の組織内候補として参院比例区に出ていた人である。どういう理由があったのか知らないが、参院で2期当選した後、任期途中の2021年秋の衆院選に、中国ブロックの比例単独候補として18位に登載され当選していた。19位が杉田水脈議員で、高階氏はその上。中国地方はほとんど自民候補が当選するから、比例単独で3人が当選したのである。これは気付かなかった。高階氏のブログに当日の写真が載っていた。
(自民党の会合)
「八木秀次」と言われても、知らない人もいるだろう。詳しくは後述するが、当日はこんなことを語ったようだ。「ヒヤリングは非公開で行われ、終了後、八木氏は記者団に発言内容を問われ、説明した。」(朝日新聞29日付記事)「(性的指向について)先天的という意見もあるし、最近の学説では後天的という意見もだんだん有力になってきている」「社会制度を設計するにあたっては、新しい学問的な科学的な見解に基づいてすべきで、かつての見解をそのまま使って制度設計をしたとしたら、多くの人にとって幸せな結果にならないのではないか。」 これは一体何なんだろう。
(八木秀次氏)
一体全体「先天的という意見もあるし、最近の学説では後天的という意見もだんだん有力になってきている」なんていう認識の「憲法学者」を呼んできて、何の勉強になるんだろう。八木氏が早稲田大学法学部大学院で学んだのは間違いないから、内容的には偏っているとしても「憲法改正」問題で意見を聞くというなら判らないではない。しかし、性的マイノリティの問題に関して「科学的な見解」を述べるには専門分野が違っている。これでは「性的マイノリティ問題を理解しないための委員会」ではないか。
八木秀次氏は20世紀末ころから右派論客として知られるようになった。「新しい歴史教科書をつくる会」で活動していたので、八木氏の名前を知った。2006年の「つくる会」分裂において、同会を脱退して新たに「日本教育再生機構」を結成して理事長に就任した。また「教科書改善の会」を発足させ、新しい教科書を育鵬社(産経新聞の子会社である扶桑社から作られた教科書専門の孫会社)から出版した。同年に発足した第1次安倍政権をブレーンとして支えたことでも知られる。
八木氏が入れ込んだ安倍政権は1年で退陣し、さらに2009年には民主党政権が誕生し自民党は野党に転落した。この「悪夢のような民主党政権」時代に、失意の安倍氏を支えたのが、八木氏と「(国政進出前の)大阪維新の会」だった。2012年2月に「日本再生機構」主催の「教育再生民間タウンミーティングin大阪」が開かれたのである。安倍晋三元首相と松井一郎大阪府知事(当時)がパネリストとなり、進行役を八木氏が務めたのである。これは総裁選出馬の約半年前、民主党政権時代に安倍氏が活動を再開した日となった。写真が小さいが、八木、安倍、松井氏が写っている。
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そんな八木氏のことだから、当然「統一協会」関連団体とは深い「友好関係」にあるに違いないと思って、画像検索してみた。そうしたら、案の定「世界日報」にはよく招かれて講演している。「世界日報」は国際勝共連合が関わっている日刊紙。「世日クラブ」という読者向け講演会があって、八木氏だけでなく右派系の論客として知られる評論家や学者は大体招かれているようだ。八木氏は何度も招かれているようだが、まさに「世界日報」を背景にしている写真があった。
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こうやって、旧「統一協会」系の関連団体は、日本の右派系論客に深いつながりを有している。そして、そのような人々を自民党が招いて「勉強」している。そして、その勉強の「成果」として、例えば性的マイノリティに関する間違った理解を世に広める活動をしているわけである。このように「両論」を持ち出して本質をあいまいにする策略は歴史認識問題と同じである。一人でも「トンデモ学説」を唱える「自称学者」を見つけてくると、「最近の学説では両論ある」と無理やり主張するのである。性的マイノリティの問題に口をはさみ始めたのも、保守政界に「家庭連合」の影響力が強まっている現れなのかもしれない。
あれっ、高階議員って参議院じゃなかったっけ。看護連盟の組織内候補として参院比例区に出ていた人である。どういう理由があったのか知らないが、参院で2期当選した後、任期途中の2021年秋の衆院選に、中国ブロックの比例単独候補として18位に登載され当選していた。19位が杉田水脈議員で、高階氏はその上。中国地方はほとんど自民候補が当選するから、比例単独で3人が当選したのである。これは気付かなかった。高階氏のブログに当日の写真が載っていた。
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「八木秀次」と言われても、知らない人もいるだろう。詳しくは後述するが、当日はこんなことを語ったようだ。「ヒヤリングは非公開で行われ、終了後、八木氏は記者団に発言内容を問われ、説明した。」(朝日新聞29日付記事)「(性的指向について)先天的という意見もあるし、最近の学説では後天的という意見もだんだん有力になってきている」「社会制度を設計するにあたっては、新しい学問的な科学的な見解に基づいてすべきで、かつての見解をそのまま使って制度設計をしたとしたら、多くの人にとって幸せな結果にならないのではないか。」 これは一体何なんだろう。
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一体全体「先天的という意見もあるし、最近の学説では後天的という意見もだんだん有力になってきている」なんていう認識の「憲法学者」を呼んできて、何の勉強になるんだろう。八木氏が早稲田大学法学部大学院で学んだのは間違いないから、内容的には偏っているとしても「憲法改正」問題で意見を聞くというなら判らないではない。しかし、性的マイノリティの問題に関して「科学的な見解」を述べるには専門分野が違っている。これでは「性的マイノリティ問題を理解しないための委員会」ではないか。
八木秀次氏は20世紀末ころから右派論客として知られるようになった。「新しい歴史教科書をつくる会」で活動していたので、八木氏の名前を知った。2006年の「つくる会」分裂において、同会を脱退して新たに「日本教育再生機構」を結成して理事長に就任した。また「教科書改善の会」を発足させ、新しい教科書を育鵬社(産経新聞の子会社である扶桑社から作られた教科書専門の孫会社)から出版した。同年に発足した第1次安倍政権をブレーンとして支えたことでも知られる。
八木氏が入れ込んだ安倍政権は1年で退陣し、さらに2009年には民主党政権が誕生し自民党は野党に転落した。この「悪夢のような民主党政権」時代に、失意の安倍氏を支えたのが、八木氏と「(国政進出前の)大阪維新の会」だった。2012年2月に「日本再生機構」主催の「教育再生民間タウンミーティングin大阪」が開かれたのである。安倍晋三元首相と松井一郎大阪府知事(当時)がパネリストとなり、進行役を八木氏が務めたのである。これは総裁選出馬の約半年前、民主党政権時代に安倍氏が活動を再開した日となった。写真が小さいが、八木、安倍、松井氏が写っている。
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そんな八木氏のことだから、当然「統一協会」関連団体とは深い「友好関係」にあるに違いないと思って、画像検索してみた。そうしたら、案の定「世界日報」にはよく招かれて講演している。「世界日報」は国際勝共連合が関わっている日刊紙。「世日クラブ」という読者向け講演会があって、八木氏だけでなく右派系の論客として知られる評論家や学者は大体招かれているようだ。八木氏は何度も招かれているようだが、まさに「世界日報」を背景にしている写真があった。
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こうやって、旧「統一協会」系の関連団体は、日本の右派系論客に深いつながりを有している。そして、そのような人々を自民党が招いて「勉強」している。そして、その勉強の「成果」として、例えば性的マイノリティに関する間違った理解を世に広める活動をしているわけである。このように「両論」を持ち出して本質をあいまいにする策略は歴史認識問題と同じである。一人でも「トンデモ学説」を唱える「自称学者」を見つけてくると、「最近の学説では両論ある」と無理やり主張するのである。性的マイノリティの問題に口をはさみ始めたのも、保守政界に「家庭連合」の影響力が強まっている現れなのかもしれない。
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