尾形修一の紫陽花(あじさい)通信

教員免許更新制に反対して2011年3月、都立高教員を退職。教育や政治、映画や本を中心に思うことを発信していきます。

熊本の事情が知りたい-教員免許更新制

2011年05月05日 00時24分34秒 |  〃 (教員免許更新制)
 時間が遅いのだけど(その事情はまたいつか書きます)、一つ書いておいて、このブログも少し連休を取りたいと思います。

 さて、このブログはもともと「教員免許更新制への反対」のために始めたものでした。震災報道の中でこの問題がほとんど報道されていないのですが、少ない報道の中から4月2日付のブログで「今年の失効は27人」と報告しました。その時は朝日新聞には人数しかなく、読売のWEB版を見てもう少し詳しくしりました。それを引用すると、「国公私立の内訳は、公立12人、私立14人、国立1人。」で、文科省は「27人は保育士に転職する幼稚園教諭や、教員免許がなくても職務を続けられる校長らで、制度が廃止されると誤解して失効する例は聞いていない」としている、とあります。
 
 このブログへのコメントはほとんどが僕の生徒からと思われますが、全く知らない方からのコメントも少しあります。その一つが4.12にあった「熊本のらすかるパパ」さんで、そこには「私は不本意ながら免許状失効のため、失職した熊本県の公立高校教師でした。」という驚くべき内容が書かれています。つまり前述の「文科省見解」は全くの間違いだったわけです
 どうかして熊本の事情をもっと知りたいと思い、国会図書館で熊本日日新聞を調べましたが、熊本でも大きな問題となっている様子はないようでした。ただ、一応もう少し詳しい記事は出ていて、失効者の県別内訳が分かりました。熊本が9人と突出し(公立6人、私立3人)、高知が3人、群馬・大阪・宮崎が2人、青森・岩手・東京・三重・京都・広島・大分・鹿児島・沖縄が一人。 

 そして「27人のうち16人は教育委員会が臨時免許状を出すなどして教員を続けるという」ともあります。東京で報道された内容と全然違うじゃないですか。しかし、熊本でも続報はなく、僕が見つけたのは21日付の投書欄に掲載された投書だけでした。

 普通に働いていて、単に講習を受けていないだけで失職するという「制度の基本」は、いろいろ理由をつけても、どう考えても憲法、労働法に反するものと思います。そのような事態が本当に起こったのか。起こったとしてそれを大きく報道しないのか。僕は悩んだあげくに「退職」を選んだけど、失職という事態にどのように対処したらいいのか?これは単に教員免許更新にあたった人ばかりでなく、すべての働く人に大きな問題だと思っています。

 しかも熊本でどうしてこれほど失効が多いのか。今後の対応は?など気になる点が多々あります。もし事情をご存知の方は、是非お知らせ頂ければと思います。ケータイのメールアドレスは、前から公開済みでスパムメールが膨大なのですが、それをまた公開しておきます。
 bv-ogata@ezweb.ne.jp  是非情報をお寄せ下さい。
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福島原発人災記

2011年05月03日 00時46分38秒 |  〃 (原発)
 本を読んでいて時間が遅くなり、今日は書かないつもりだったのだけど、これは素早く紹介しておかなくてはと思い、すぐに書きます。その本のこと。読んでた本は、川村湊福島原発人災記』(現代書館)。出たばかり。
 川村湊氏は文芸評論家、法政大学教授。韓国・朝鮮問題や旧満州国などの文学、温泉文学論などを前から研究してるので、何冊か読んでるし話も聞いたことがあります。

 その川村氏(千葉県我孫子市在住)が、今回の震災にあい、当面の仕事ができなくなった中で、ネットは使えたので原発関連のサイトを見て回り、推進派の人々にしぼって今まで何を言ってきたかを追求した本。
 学生には「コピペ」をするなと言いつつ、自分で「コピペ」の本を作るのは矛盾だが、そうでもしなければ怒りがおさまらない、著作権の問題もあるが「著者たちがそんな、しゃらくさいことをいえるはずもない文章を使ったつもり」と自ら書きつける。ある意味、奇書であるが、まさに今必要な本。

 僕は前に「御用学者を許すな」と書いたけれど、その御用学者とは誰か一網打尽に名前が挙がっている。とにかく原子力関連の機構、団体の多いこと、多いこと。そこを渡り歩く「高級原発ジプシー」(原発ジプシーとは、もともと堀江邦夫氏のノンフィクションの書名で、原発を渡り歩く下請け作業員のことだが、ここでは「天下り」を繰り返す官僚、学者のこと)の一覧が暴かれる。

 驚いたのは、福島原発が2010年に2回も原子炉自動停止という「事象」が起きていたこと。2号機が6.17、5号機が11.2.2号機の「事象」は「ある原因」で発電機が停止して起きたという。「ある原因」とは何か。川村氏は「端的にいうと、原因不明」と書くが、要するにそういうことだろう。そういう原発だったという「人災」。

 そして、原子力研究開発機構のHPから、鈴木篤之理事長のあいさつを見つける。この人は、東大教授から原子力安全員会委員長を経て、現職という、原子力村の有力者で「御用学者の親玉」である。川村氏に言わせると「プルトニウムにフェティシズム的な愛着を持っている」「マッド・サイエンティスト」である。(130ページ)その人物が、なんと原発大事故中の、4月1日付で、「ごあいさつ」を載せている。興味のある人は自分で見てください。川村氏の言うとおり、「その神経と感性は、とてもまともなものとは思えない。」ここをクリック。
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