9月4日のもうひとつのお楽しみは、日本橋のヒナタノオトさんで
この日より始った 宮本佳緒里さんの「ガマ口」展に行くことでした。
作者の宮本さんが在廊されているとのことだったので、とても
わくわく。
以前に、ヒナタノオト工芸帖で、こんな文章に出会っていたからです。
(4月18日のブログよりの抜粋です)
お店を持つまで、日本中、旅を続けてきた宮本さん。
お店を持ったら、旅ができませんね、といった私の言葉に、
「お店と旅って、おなじやったんや。」
と。
「毎日どんな人に会えるんかなぁ。ってほんとわくわくなんですー。」
((注)アクセント、大阪調でヨロシクです)
なんか、胸がすううっと広がりました。
そうか、お店は旅やったんや(私もすぐなりきる)
そう思ったら、ヒナタノオトを持てたことが一層ありがたく思えてきました。
旅と、お店を持つことは、正反対に思えるのに、それをイコールに
感じることができる人ってどんな方なのだろう、と思っていました。
それと、5冊の本を選んで、それに合わせた「ガマ口×コトバ」展
という企画もとても魅力的でした。
午前中から、代官山で、すでにテンションは上がっていて‥
ふわふわした感じのままに階段下からお店を覗くと、なんか店内は
いつにも増して、ひとがたくさん‥
お店に入り、最初に目に飛び込んできたちびガマ口を手にする前に
「あーそれはね、ラオスからきた布なんですよ」と声がして、
他のお客様に説明している話の輪に勝手に参加。
その後も何度そういうことがあったでしょう。
自分がこれ、と思うものを手にとりながらも、他の方が選ぶものが
気になって気になって。
宮本さんが、誰かの選んだガマ口の布についてのお話をすると
それがとっても欲しくなってきて。
私たちいったいどれくらいの時間、そういうことを繰り返して
いたでしょう。(いつもいつも長居してしまって、ヒナタノオトさん
すいません。)
で。
やっとやっと決めた私のガマ口は、「こんな子」です。
すごく素敵でしょ?
左側の白い布は、タイのホワイトモン族の古布ですって。
(山岳民族のモン族の中でも白い衣装しか着ないからホワイトモン族って
言われていて‥そこのスカートだった布とのこと)
アクセントとなっている赤は、ラオスシルク。
真ん中あたりには味噌のこうじ袋が使われています。
そういう布についての説明が、鈴と一緒についているタグに
細かく書かれているんです。(さらさらっと宮本さんがその場で
書いてくれるのです)
小さい方のガマ口は、タイ・中国の麻中心、ミャンマーの布
日本古布と書いてありますが、ほんとうに小さい、5ミリ角の
布でも、これはベンガラ染めとか、これはどこそこの誰々が
染めた柿渋とか、宮本さん、全部わかるんです。
(教えていただいたのに、もうほとんど思いで出せない私です)
ほんとうに楽しい時間でした。
ああいう楽しさって、大人になってから味わうのって難しいなという
種類の、とっても懐かしい感じの。
(うちの12歳の娘が、友達と笑い転げているときに似てるかも)
ご一緒した、はらぺこさん、まつかぜさん。そしてお店で会えたひなこさんが、
選んだものを、テーブルに乗せると、みんなでそれを囲み、ああそれもいいねえ、
そういう組み合わせもあったのねー、なんて・笑。
細かく繋ぎあわされた布を、最初にみたときはクレーの絵のよう、と
思いました。
だから、絵を描くような気持で布を繋ぐのかなと思い、お尋ねしたら
「日記を書くような感じに似てる」っておっしゃって。
そしてミシンを使うのは、もちろん強度のこともあるけれど、
自分の(気持ちの)はやさと合っているから、という言葉が印象的でした。
パチン。パチンと何度開けたり閉めたりしたでしょう。
ガマ口を開ける、また閉める。その繰り返しの中に、
遠い国や、遠い昔からやってきた布にまつわるおはなしがつまっていて、
宮本さんが、こめた気持ちと時間がつまっていて、ヒナタノオトで
過ごした私たちの楽しかった時間がつまっています。
そうそう、うしろ側はこうなってるんです。
宮本佳緒里展は、9月15日(月)までです。
本日6日(土)も宮本さんは、いらっしゃるとのことなので、
今からお出かけになれば、たっぷりお話聞けますよー。