昨日に引き続き、今日も吹奏楽の演奏を聴きにいきました。
今日のは、いつもいっているスポーツクラブ内のイベントで、地元の
吹奏楽団の方々の演奏です。
始まって間もなく、車いすのお年寄りの方が固まって入ってこられて、
ああ、近くのホームの方たちなんだなーと思いました。
曲名を紹介する声に反応して、大きな声を出してしまう方がひとり居て
介護士さんがすぐに優しく説明をしてあげている声などが、背中から
聞こえてきていたのですが、それよりも気になったのは、独り言で、何度も
「わたしにはもう何もわからないから、音楽がなんとかとかわからないから」と
しきりにつぶやいている声でした。
「知っている曲があると思うから、聴いていてね」
介護士さんが何度か言いに来ていましたが、そのたびにその方は、
「なんにもわからないから、いいの」の一点張り。
2、3度、それが繰り返されるのを聞いているうちに、そうだ、これは
ベンジャミン・バトンなんだ、と気がつきました。
人間の成長とは、体が大きくなっていくとともに、他者との繋がりや、
外界との繋がりを広く大きくしていくことですが、ある時点でのピークが
過ぎると、あとは、それまでとは反対に、自分のセカイが小さくなっていき、
興味の幅もだんだんしぼんでいって、自分自身のこと以外には関心が
持てなくなっていくのです、きっと。
そして最後には、生まれた時と同じように、暖かいとか、明るいとかの
皮膚感覚だけになっていくのでは、と思いました。
それがよいとかわるいとかではなくて、ベンジャミンバトンを読んで思ったことが
自分の感覚の中で、腑に落ちていったのです。
ブラッド・ピット主演の映画もおもしろかったけど、原作も短いながら
とてもよくできていると思いました。特に、こちらの装丁版をお勧めします。
絵がとてもいいのです。(前に書いたログは★)