作家の高橋たか子さんが、7月12日にお亡くなりになったことを
朝刊で知りました。81歳、心不全だったそうです。
私が作家高橋たか子という名を知ったのは、高校の図書室の閲覧棚だったと
思います。国語便欄にも載っている作家高橋和巳氏の奥さんであること‥
へえ夫婦で作家なんだ‥という驚きと、大変失礼ながら、作家にしては
平凡な名前だなと感じたことをなんとなく覚えています。
たしか最初に借りて読んだ本は『ロンリー・ウーマン』で、『空の果てまで』
『誘惑者』と読み進め、今、他の著作を検索してみて出てきたタイトルを
とても懐かしく思ったので、きっと『彼方の水音』、『骨の城』、『天の湖』など、70年代に
出版された本は次々に読んでいったのだと思います。
手元に何冊著作を持っているのかも思いだせず、最後に読んだのはいつで、
なんという題名の本だったのかもうろ覚えですが(たぶん92年発売の『土地の子』?)、
それでも高橋たか子さんは、忘れることのできない作家です。
18歳の私の内面に、「暗くてよどんでいる奥底」や、「誰にも見せたことがない裏側」
があることを、もし彼女の本に出会っていなかったなら、私はいつどのような形で
知ることになったのだろう、と思います。
大学卒業時に、卒業論文を書きますが、私の選んでいた創作コースは
卒業制作としての小説と、それに対しての副論文がセットでの提出でした。
小説のタイトルは『朱色の部分』、副論文は「わたしの中の『高橋たか子』」だったんです。
あまりにベタですが、22歳の、当時の自分の精一杯がそこにはあったと思います。
私が大学生の時に、すでに春樹氏はデビューしてましたから、『羊をめぐる冒険』なんかを
読みつつも、たか子氏の本も読んでいたのでしょうね‥。それからしばらくして
結婚した頃にはもうあまり読まなくなったのは、環境と心境の変化もあったと思いますが
たか子氏の作品にカトリック色が強く(パリの修道院で生活していた時期もあったようです)
なってきて、信者でない自分にはわからない点があると感じたことはたしかだったと思います。
なんかコジツケかもしれませんが、今年は高校生だった頃の自分に「向き合う」年、
みたいです。
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