ひろの映画見たまま

映画にワクワク

「そして父になる」、取り違え事件にヒントを得た是枝作品

2013-10-07 17:44:57 | 日本映画
おススメ度 ☆☆☆☆☆

本年のカンヌ国際映画祭審査員賞受賞作品。

是枝監督は、子供を描かせたら実にうまい。それは独特の子供操縦術にあるらしい。

子供取り違え事件、それは親にとっては大変なことだが、実は子供にとって大変なことなのだ。

すでに6歳になって、やっと人として成長してきて、これからますます羽ばたこうという年代。

ましてや、父がエリートで、エリートとして育てられてきた子供。

一方で、地方の電気屋の息子として、奔放に育てられてきた子供。

ある日突然、大人の事情で、別の夫婦が親でしたなんて、信じられるわけもなし、いい加減にしてくれと言いたくなる。

親の問題で悩んできた人にとって、この映画は、涙なくしては見ていられない。

一時は、血のつながりを重視して、子供を交換しようとした親たち、それは親たちのエゴに過ぎなかった。

予備テストとして、一日だけ交換しようとして、それが子供にどれだけ負担をかけたか、それで、見事親たちはしっぺ返しを受ける。

家庭を顧みず、仕事一筋で生きてきたエリート。息子に音楽の才能がないと気が付いて、血のつながりを求めるエゴ。それらを否定された時、やっと親としての生き方を自省する。

勿論映画は、親たちのそれぞれの苦悩もきちんと描いている。

同様な子供取り違え映画「もう一人の息子」のような、社会的に重いテーマの映画もあるが、この映画は、子供を通して家族とは何かを訴える、そんな映画だ。

両親のうち、真木よう子以外は、親の経験のない俳優により演じられているが、それがまたよかったのかもしれない。
コメント (3)
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