ひろの映画見たまま

映画にワクワク

「ファーナス 訣別の朝」、鉄鋼の街で起こった復讐劇

2014-10-21 17:31:35 | アメリカ映画
おススメ度 ☆☆☆

クライムサスペンス好き、クリスチャンベイル好き、男くさい映画好き ☆☆☆☆

ファーナスは、金属の溶鉱炉。

ペンシルベニア州ブラドック、鉄鋼の町だけあって、工場とそこから立ち上る白い煙。でも、中国のせいで閉鎖に追い込まれる雰囲気。

そんな街に住む、下流労働者の兄弟。

ランナウエイに続いて兄弟映画を見せられるとは。

兄はいたって真面目、病床の父の面倒を見ながら鉄鋼で働き、恋人ともルンルンの仲。

だが、弟は、軍隊を往復しながら、ばくちで掏っては借金まみれの生活。兄がそっとカバーしてやる優しさにほっとする。


そんな中、兄が飲酒運転で少年を車で事故死させ、刑務所に。そこでの行為で、日ごろおとなしい彼が、鬱屈したものをのぞかせる。

出所後、恋人は警官に横取りされ、呼び出して恋心を告げるも、妊娠したと告白される。このシーンは非常に痛いシーンで、ドーンと胸を打つ。

父は死亡、弟は素手の拳闘家として働いていた。

隣の州に麻薬や賭けボクシングをする、とてつもない暴力男がいる。その男の下でのボクシングに出て、一獲千金を得ようと弟が決意。

そこへ出かけて、ボクシングの後、金を要求して殺されてしまう。

そこは、昔からの無法地帯で警察権力が及びにくいところ、それではと、兄が復讐に出向く。

とまあ、筋書きは淡々としているが、役者の演技と演出によって、兄の心情が切々と伝わってくるので、復讐に至る過程が痛いほど同情される。

アメリカの恥部をえぐったといっても過言ではない作風に圧倒される。

最後は、すっとする割に、あっけにとられる展開。

それにしても役者をそろえたもんだ。
 
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「マリアの乳房」、佐々木心音のヌードが見られます

2014-10-20 17:34:02 | 日本映画
おススメ度 ☆☆  R15+

愛をテーマに6人の監督が作品を発表するシリーズの第1弾、『ヘヴンズ ストーリー』『アントキノイノチ』の瀬々敬久監督がメガホンをとるラブストーリー。

スプーン曲げの天才少女が、肌をふれることで相手の死期がわかるという特殊能力を生かして売春婦に。

そんな、彼女を、彼女により妻の死期を早められた男が現れ、付きまとう。

死期がわかることで、自殺してしまう事故が起こり、彼女を問いつめる。

まあ、死とセックスがテーマの映画だが、低予算映画のゆえか、瀬々監督も、持て余し気味。

当然、主演の佐々木心音のセックスシーンもふんだんだが、成人映画の限界でおとなし目。

愛とは何かを語るには、拙速。

なお、シリーズには、今月公開される宮地真緒の「妻が恋した夏」があります。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「ランナウェイブルース」、少年を車ではねて殺した兄と逃避行をともにする弟の物語

2014-10-20 15:58:11 | アメリカ映画
おススメ度 ☆☆☆

ローマ映画祭、観客賞ほか4部門受賞

舞台は、アメリカネブラスカ州、リノ。リノはラスベガスに次ぐカジノの本場。当然、バーとかストリップショーとか。一方、シェラネバダの山麓にあり、雪に覆われる。

そんな街で、幼いころから二人暮らしだった兄弟。兄弟は、町を出ようとして列車に飛び乗ろうとするが兄は落下。おかげで片足が損傷。

そんな兄が、自動車で少年をひき殺し、そのまま逃走、車は焼却するも、警察に追われる。自暴自棄で自殺するつもりが足を撃ってしまい重傷に。

そんな兄を抱えて、弟と二人逃避行。それが、ランナウェイブルース。

お互いが必要とする兄弟愛。逃避行の描写と、それまでの二人(幼いころ、列車での逃亡、女性との関係など)、弟が空想しそれを絵にする兄(その絵が結構シュールで、父が出てきたり女が出てきたり、そこではいつも兄は勇ましい)。

単純なストーリーだが、雪景色の街の風景とか、兄弟の切っても切れない愛情とかが、こまやかに描写され、切ない。

ラスト近く、兄の病床でこぼす弟の涙には思わずもらい泣きする。

最期かすかな光は見えるが、兄の諦観的な生きざまと、弟を諭す親がわりの言葉がしみじみと人生を浮き彫りにする。

地味な映画だが、それだけに情感が深い。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「リディック ギャラクシーバトル」、辺境の惑星で苦戦するリディック

2014-10-19 17:17:45 | アメリカ映画
ススメ度 ☆☆

リディックとモンスターの争いに興味ある方 ☆☆☆

ビン・ディーゼルがダークヒーロー、リディックに扮するSFアクション。今回は三作目だが、前作から10年が経過(前作は未見)

辺境の惑星に一人取り残されたリディック。灼熱(しゃくねつ)の大地がどこまでも広がり、凶暴な水棲(すいせい)エイリアンが牙をむく中、サバイバルしていく。

夜行性のためサングラスの離せないリディック。それでもその強さは抜群で、次々と敵をなぎ倒していき、一匹のハイエナもどきと放浪することになる。

この惑星から脱出するためには宇宙船が必要で、自己をPR,おかげで賞金稼ぎがやってくる、それも二組だ。

そして彼らとのゲリラ戦が繰り広げられ、それにモンスターたちも加わって三つ巴、四つどもえのバトルに。

追撃班には女性もいて、少し色気をのぞかせる。

だが、基本はバトルでB級映画の真骨頂。24時間という時間制約もあって、いやがうえにも盛り上がる。

縛られながら、敵の大将をやっつける仕掛けなど、てんこ盛りのバトル。


ビン・ディーゼルが、最強のリディックを難なくこなしている。

まあ、SFモンスターファンには、欠かせない一作だろう。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「7番房の奇跡」、罪を着せられ服役する知的障害者と娘のハートフルな物語

2014-10-18 20:00:58 | 韓国映画
おススメ度 ☆☆☆

韓国コメディ映画好き ☆☆☆☆

韓国で大好評(動員記録歴代3位、2013年大鐘賞4部門に輝く)。

内容的に、日本ではありえない設定が多いが、韓国映画のおはこの設定で見事泣き笑いをもたらすハートフルな映画だ。

娘にランドセルを買ってやろうと必死のヨング(知的年齢6歳)が、警察庁長官の娘の死に出くわしたがために殺人の疑いをかけられ、刑務所に入れられる。

はじめ、同室のメンバーにいじめられるが、部屋の主を救ったことから、みんなに気にいられ、みんなはヨングが殺人などする人ではないと味方し、一計を案じて、娘を刑務所に入れて、みんなで育てることに。

一方、はじめ怖かった刑務所長も、火事で助けられたため、やはり、無実を信じることに。

そして、裁判を有利にするため工作するが、本人が娘の身を案じて嘘の自白をしてしまい、死刑が確定。

刑務所で、娘を囲うという、奇想天外な物語。

主演のリュ・スンリョンは見事に知的障碍者を演じ、娘を演じた可愛いカル・ソウォンとともに、絶妙の演技で、涙を誘う。

特にラスト近く、部屋を後にするヨングの助けてくださいの懇願は涙なくしては見れない。

これぞ韓国映画の真骨頂。

刑務所の仲間たちも、役者揃いで、その駆け引きが笑いを誘う。

ラスト近く、気球を飛ばすシーンがあるが、あわや成功かと見れた脱獄シーンだが、これこそファンタジー。

最初と最後に、娘の成長した姿が見れるが、セーラームーンがモチーフに。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「レッドファミリー」、北工作員の悲劇

2014-10-17 19:24:37 | 韓国映画
おススメ度 ☆☆☆

東京国際映画祭で、観客賞受賞映画です。

韓国映画の奇才キムギドクの作品ですが、監督は弟子のイ・ジュヒョンです。従って、ギドクほどの毒はありません。ギドクは、製作と脚本を担当しています。

北朝鮮の疑似家族(スパイ)の隣に、韓国家族が住んでいて、夫婦はいつも喧嘩ばかり。

だがいつしか二家族は仲好くなるのだが。

北朝鮮の疑似家族は、ぞれぞれ国に家族を残し、その安否を気遣う熾烈な環境。それゆえ上からの命令は絶対で、殺人をいとわない。

特に、妻役が班長で取り仕切るところが味噌で、後半に大きな間違いを起こし、それがとんでもない悲劇を招くことに。

実際この映画は、その過酷なスパイたちの命運を描いた映画だが、のどかな韓国ファミリーと対比しながら、根底で家族を守れない哀しさが漂う。

韓国ファミリーは、いがみ合っていてもお互いの尊敬の情で解決するが、北の場合はそうもいかない。

良かれと思って決行した事件が、結局疑似家族一家を奈落の底に落とす。その残酷さに涙さえ催す。

韓国が描いた北朝鮮だけに、真実味がある。

ただ、コメディのような宣伝に違和感を覚える、この映画は辛辣な映画だ。
コメント (1)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

野口久光ってご存知ですか?

2014-10-17 15:10:59 | 日記
野口久光さんは、ジャズ評論家であり、映画評論家です。

さらに、図案家、今でいえばデザイナーです。

彼の展示会が京都で開かれています。

京都文化博物館で、12月7日まで開かれています。

彼は、1909年生まれで、東京美術学校(現東京芸術大学)卒業後東和商事(現在の東宝東和)に入社。

第二次世界大戦中、東和は閉鎖。最近亡くなった山口淑子と共に収容所に入れられるが、戦後1951年に新しく発足した東和株式会社に入社。

主にヨーロッパ映画を輸入していた同社の宣伝ポスターを製作。

ルネクレマンの「禁じられた遊び」、フランソワトリュフォの「大人は判ってくれない」など名画のポスターを描き、独特の作風で読者を魅了したものでした。

改めて、彼の作品に接すると、往年の名画が思い返されて懐かしいものです
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「銀の匙 Silber Spoon」、北海道農業高校のてんやわんや

2014-10-16 17:34:06 | 日本映画
おススメ度 ☆☆☆

進学校でありながら、普通高校に合格しなかった八軒君。寮があるという理由で農業高校酪農科学科に入学。

そこで、始まる学校生活。

週刊少年サンデーに連載された荒川弘の原作を、「麦子さんと」の吉田恵輔が映画化。

帯広農業高校や帯広畜産大学に協力を得て、実録的学校生活が描かれます。

八軒君は、都会育ちなので、最初は全然ついていけませんでしたが、

同級の御影アキに惹かれるものがあり、夏休みに彼女の実家でアルバイトするなど、いい雰囲気。

この映画には、二つのクライマックスがあり、八軒君が奮闘して、自分の育てた豚肉を燻製にしてベーコンを作る話。

もう一つは、御影アキが出場する馬場レース。八軒君が提案し、草馬場を整理してレースを成功させるが、実際に、草刈から、撮影スタッフらが作り上げたというから気合が入っている。おかげで、大勢のエキストラを動員しての盛り上がりだったらしい。

主演の八軒君には、ジャニーズの中島健人君が、メガネをかけ地味目に好演している。

中島君とアキ役の広瀬アリスさんは、乗馬やばんえい馬の特訓を受け、無難にこなしている。

ほかに、豚の解体シーンや、牛の出産シーンなど、見せ難いシーンを巧みに挿入している。

無目的の都会の青年が、畜産に目覚めていく成長物語であり、その点では成功している。

一方で、畜産経営のむつかしさなども挿入されるが、駆け足的で中途半端。

原作に比べて他の生徒たちの描写が少ないらしいが、映画作りの観点からは難しいのだろう。

でも、この映画や、「ウッドジョブ」のように、畜産や林業に光を当てて、若者を勇気づけるのはいいことだ。
コメント (1)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「不思議な岬の物語」、喫茶店店主を巡る人生

2014-10-15 17:38:16 | 日本映画
おススメ度 ☆☆☆

千葉県鋸南町・明鐘岬に実在する喫茶店。そこにセットを建てて撮影。

その喫茶店を訪れ、癒された原作者が、小説にした。

吉永小百合が、その話に惚れ、成島監督に頼んで映画化。

モントリオール映画祭でダブル受賞。

富士山の見えるお花畑のある岬。何ともロマンチック。

私のよくいく喫茶店も女主人の店だが、常連客が寄り集まり和やかだ。

今では、コンビニでコーヒーが飲める時代に、何ともレトロ。

その女主人(吉永小百合)を巡るエピソードの数々。

日本らしく、女主人に気を寄せてもはっきりといわないところがミソ。

その岬で虹の絵をかいた夫が、女主人にプレゼントしたのがきっかけでここに店を持ったという。夫は他界。

吉永小百合のファンなら、やはり見なくてはと思うのだろうが、

役者がそろっている。

主人公の近くに住み、見守っているという、ちょっと風変わりな荒くれ男(プロレスに出たりする)を阿部寛が演じ、「テルマエ」の向こうを張って、全裸で風呂にはいる絵は笑わせる。

主人公に、ひそかな恋心を抱く不動産屋を鶴瓶が演じ、転勤で未練たらたら、大阪へ船で行く。別れのシーンは定番。

常連客の漁師を笹野高史が演じ、その娘で東京からの出戻りを竹内結子。父の死に際に和解する二人。

そしてクライマックスは、喫茶店の火事。そこからの再生がこの映画のテーマかも。


吉永小百合は吉永小百合らしく、いつまでも若い姿で観客を楽しませている
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「アルゲリッチ 私こそ音楽」、アルゲリッチの娘が撮ったファミリーヒストリー

2014-10-14 16:56:52 | ヨーロッパ映画
おススメ度 ☆☆☆

アルゲリッチの素顔を知りたい方 ☆☆☆☆

例によって予備知識のないまま見た私にとっては、非常に興味ある映画だった。

アルゲリッチは、知る人ぞ知る世界的にトップを行くピアニスト。

日本でも、別府にアルゲリッチ音楽祭を催すなど有名だが、音楽音痴の私には初耳。

ただ、演奏される音楽は、ショパンだったり、モーツアルトだったり、シューベルトだったり、ベートーベンだったりとかで、耳慣れた曲がほとんど。

アルゲリッチのもう一つの特徴は、恋多き女であることだ。もともと芸術家肌であり、情熱をうかがわせるが、音楽生活が主体となると、実生活は難しいものだ。

本映画は、映像関係の仕事を望む三女が監督を務めており、もともと映像露出の嫌いなアルゲリッチの素の部分に迫った貴重な映画となっている。

三人の娘が、違った環境にあり、それが語られるのも、天才の娘の不思議な家族ということで実に興味深い。

中国人指揮者との間に生まれた、長女。22歳の子ゆえ、育てられず、乳幼児園で育つことになる。だが、天才の血をひき、音楽家として活躍。

スイス人指揮者との間に生まれた次女。アメリカ生まれのピアニストとの間に生まれた三女。二人は、アルゲリッチの元で暮らすが、演奏旅行で忙しい母には、学校に行かせてもらえず、普通の子供とは違った環境で育つ。次女は、文化面で活躍、大学の教授だ。三女は本作品が長編初監督。

そんな三人とアルゲリッチ、父親との関係などが紹介されていく。また、ユダヤ人の血を引く彼女のダンスシーンでは、アラブの踊りを踊る。

国際的な、天才の素顔は、やはり独特なものがあった。それでも演奏前の苦悩が明らかに映される現実。それなりに、恐怖を抱えているのだった。

日本のシーンも多く親しみが感じられる。

音楽は、沢山挿入されるが、力強い情熱的な音楽だが、これが、全編を覆うものではない。音楽面では少し寂しかも。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする