MAKIKYUが今月上旬に九州を訪問した際は、福岡市内で9月下旬から走り始めた観光巡回バス「ぐりーん」に乗車する機会がありましたので、今日はこのバスに関して取り上げたいと思います。
「ぐりーん」は博多駅(博多駅交通センター)を起終点に、天神地区や福岡タワー周辺(ヤフードームなどがあるエリアです)をはじめ、中心部の観光スポットなどを1周約80分で循環運行する観光巡回バスで、運行は福岡市内の大半の路線バスを運行している西日本鉄道(西鉄)が行っています。
観光向けに特化して運行しているバスである事に加え、福岡が異国に近い土地である事(福岡から韓国釜山までは200km強・ソウルでも500km強しか離れておらず、釜山までは高速船でおよそ3時間という近さ、また釜山から高速列車で約3時間のソウルでも、直線距離は東京の約半分です)も影響してか、外国からの観光客の利用なども想定して日本語に加え、英語と韓国語の放送案内などが行われる事も特徴となっています。
(余談ながら福岡では西鉄の一般路線バスでも、博多港国際旅客ターミナル(中央ふ頭)を発着する系統などでは、一部韓国語放送やハングルの表示などが用いられています)
車両は「ぐりーん」専用の車両が4台用意されていますが、この専用車両は「ぐりーん」運行に際して新造されたものではなく、既存の中型ワンステップ車両を改造したものとなっているのが特徴で、この専用車両の外観は、塗装を除くと西鉄で活躍する路線車と大差ないものになっています。
「ぐりーん」の表記ロゴなどが目立つ特徴的な外観を見ただけで、気付かれる方も居られるかと思いますが、この車両の内外のデザインはJR九州の鉄道車両や駅施設、ジェイアール九州バスやJR九州高速船「Beetle」などのJR九州グループをはじめ、福岡市営地下鉄七隈線のデザインなども手がけ、九州の公共交通機関(最近では九州以外に岡山などでも…)ではお馴染みの某デザイナーが手がけています。
そのため車内は一般の西鉄バスとは大きく異なり、木材などを多用した独特な内装に改装されている事も大きな特徴になっており、座席をはじめ、つり革やブラインドに至るまで、このデザイナーが最近手がけた鉄道車両や路線バスでよく見られる特徴的なものに変化しています。
挙句の果てには「ぐりーん」専用車の中でも一台だけは、非常に特徴的な緩やかに曲線を描くような配列のロングシート配列になった車両も存在している様ですが、MAKIKYUが乗車した際は、残念ながらこの車両には遭遇できませんでした。
また「ぐりーん」は一般路線バスとは異なる250円均一の運賃設定、それも九州では異例の「前乗り中降り・運賃前払い」となっているのも特徴で、バスカードやよかネットカードなどの磁気カード類、最近導入が進んでいるICカード乗車券「nimoca」にも対応していない上に、福岡都心フリーエリアの路線バスが乗り放題になる一日乗車券や各種定期乗車券などの類にも対応していません。
(追記:2010年に入ってから、nimocaなどのICカードにも対応しています)
現金乗車と専用一日乗車券「ぐりーんパス」(700円:「ぐりーん」の他に福岡都心フリーエリアの西鉄バスも利用可能ですので、「ぐりーん」への乗車が可能な代わりに、通常の一日乗車券より100円割高です)、それと「SUNQパス」(九州内の一般路線・高速バスの乗り放題乗車券)のみ通用となっている事も大きな特徴です。
この様に利用可能な乗車券類などが限られ、運行本数も平日30分毎・休日20分毎と通常の路線バスに比べると限られている中で、「ぐりーん」専用車両も中型ですので、収容力を懸念した事も影響しているのかもしれませんが、MAKIKYUが乗車した際は平日の昼時だった事もあって乗客数は指の数程で、特殊な運賃体系も災いしてか、意欲的な改装車両も、余り乗客の姿が見られなかった事は少々残念に感じたものです。
(追記:記事公開後運行形態の変更が行われ、平日は運行日が限定されています)
この事は平日だった事に加え、時間帯も影響しているのかもしれませんが、福岡市内では博多駅や天神地区などを100円で循環する系統をはじめ、西鉄の一般路線各系統は比較的多くの乗客で賑わっている印象がありますので、特殊な運賃体系が災いしているのかも…と感じてしまったものです。
もし休日でも空気を運ぶ様な状況になっているのであるとすれば、運賃の値下げ(一般路線と同額)や通用乗車券類の拡大(一日乗車券や市内フリー定期券でそのまま、或いは追加料金支払いで乗車可能に)などの施策も望まれる所です。
走り始めてからまだ日が浅いこの福岡シティループバス「ぐりーん」の今後が気になると共に、大改装された専用車両が有効に活用される事に期待したいと感じたものですが、「MAKIKYUのページ」をご覧の皆様も福岡を訪問される機会がありましたら、是非この観光巡回バス「ぐりーん」に乗車してみては如何でしょうか?