先日「MAKIKYUのページ」では、高山本線のJR西日本管轄区間で活躍するキハ120形気動車に関して取り上げましたが、現在同区間の普通列車はキハ120形の他に、富山~越中八尾間に関してはキハ58形の活躍も見られ、この車両にも乗車する機会がありましたので、今日取り上げたいと思います。
キハ58形は旧国鉄時代の気動車急行列車の主力で、JR化後もJR北海道を除いた各旅客鉄道会社に継承された車両ですので、比較的最近までありふれた存在と言っても良い車両でしたが、近年急行列車が次々と廃止されると共に、車両自体も老朽化が進んでいる事もあって急速に廃車が進み、その姿を見る機会が急速に減少しています。
そのため10年位前なら各地で見られたキハ58形も、今ではJR東海やJR四国では全廃となり、残るJR東日本、JR西日本、JR九州においても数少ない存在となっていますので、今や乗車機会自体が極めて限られる状況になっています。
また高山本線のJR西日本管轄区間を運行する普通列車は、一旦新鋭の軽快気動車・キハ120形に統一(「おわら風の盆」の臨時列車などを除く)されていたのですが、近年富山市の施策で増発が行われ、これによって車両不足が生じる状況となっています。
その不足を補う為に、他所で余剰となったキハ58形が転用される事となり、一旦新鋭気動車で統一されていた高山本線に返り咲くという皮肉な状況になっています。
ただキハ58形は片運転台車(2エンジンのキハ58・1エンジンのキハ28形共に)で、キハ120形に比べると機動性に難がある事や、老朽車である事も影響してか、ピンチヒッター的な使われ方をしています。
高山本線での活躍は午前中の富山~越中八尾(Ecchu-Yatsuo)間のみ、それも休日運休の列車のみに充当される有様ですので、今や希少な車両故に富山へ出向いた際には是非乗車を…と思っても、なかなか乗り難い存在である事は惜しい限りです。
(記事公開後に運用が変更となり、2010年初頭時点では夕方にも充当列車が存在しています)
とはいえ高山本線で活躍するキハ58形は、MAKIKYUが乗車した車両は出入口付近がロングシート化され、またワンマン改造なども施されており、優先席部分のJR西日本特有の座席モケットなどは今日を感じさせるものですが、ピンチヒッター的存在の車両でありながらも、ワンマン運転を行うどころか、その際の案内放送も音声合成化されていたのは少々意外に感じたものです。
JR西日本のワンマン放送は、やはり旧型気動車の活躍で知られる大糸線で未だにテープを用いており、高山本線はキハ120形でも割合遅くまでテープを用いていた方でしたので、高山本線のキハ58形の活躍は意外と長い可能性も…と感じたものです。
また今日を感じさせられる部分も見受けられる一方、MAKIKYUが乗車した車両の外観は国鉄急行色の美しい姿となっており、エンジンの換装も行われていない状況でしたので、バケット化などが行われていない昔ながらのボックス席に座れば、乗り心地は国鉄時代の急行列車そのものと言っても良い程です。
そのため原型に極めて近いこの車両は希少なもので、ラッシュ時間帯のピンチヒッター的存在に加え、かつての急行列車を再現したリバイバル列車への抜擢などにも最適と言えますが、老朽車故にいつまで走り続けるか気になるもので、高山本線でまだ暫く走り続ける事に期待したいと感じたものです。