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富士急行5000系電車「トーマスランド号」~1編成しか存在しない希少な自社発注車

2010-05-09 | 鉄道[甲信越]

一昨日MAKIKYUは山梨県内へ出向き、富士急行線に乗車する機会があったのですが、その際には5000系と呼ばれる電車にも初めて乗車する機会がありましたので、取り上げたいと思います。


5000系は1975年に2両1編成が製造され、製造当初から冷房装置を装備するなど、この年代の地方私鉄にしてはハイレベルな車両と言う事もあって、翌年には鉄道友の会ローレル賞も受賞しています。

しかしながら5000系の導入以降、富士急は鉄道線老朽車の代替は専ら他社からの中古車で賄っている状況ですので、今では富士急行線で稼動する車両の中で唯一の自社オリジナル車両になっています。

1編成しか存在しないという点でも希少な存在として知られていますが、国鉄~JR直通運転を行う路線らしく、当時の国鉄近郊型車両に似た雰囲気を持ちながらも、走行音などは現在も富士急行線に乗り入れて来る旧国鉄近郊型電車などとは大きく異なります。


屋根上にある冷房装置も、大手私鉄で良く見かける様な分散型が4台搭載されているなど、私鉄の電車らしい雰囲気を併せ持っているのも大きな特徴と言えます。

装いも近年は沿線の富士急関連施設である富士急ハイランドのアトラクションに関連して、きかんしゃトーマスのデザインを施し、他の一般車両と併結出来ない事を逆手に取ったかの如く、「トーマスランド」号として特定の運用に限定して活躍(富士急行HPにも時刻掲載あり)しています。


経年で内装の劣化などが進んだ事もあるのか、この対策も兼ねてか外観だけに留まらず、近年では車内も側面や天井がトーマス関連で埋め尽くされた強烈なモノに変化しています。


シートカバーやドアのステッカーには「きかんしゃトーマス」に関連したキャラが登場し、車内窓下にはきかんしゃトーマスに関連したクイズなども出ているなど、やり過ぎと感じる方も居られるかと思いますが、富士急ハイランド内の「トーマスランド」まで辿り着かなくても、富士急行線に乗った途端に「きかんしゃトーマス」の世界に入り込み、トーマス目当ての乗客が退屈しない仕掛けが施されている辺りはユニークなものです。

富士急では近年、リバイバル塗装車を次々と登場させている事などを見ていると、この車両こそ登場当時の装いに戻し、沢山走っている元京王車のどれかをトーマスランド号にした方が…とも感じてしまったものです。

しかしながら5000系は2ドア車でボックスシート主体の座席配列ですので、ボックス席の大きさこそやや小ぶりで1.5人掛け強と感じてしまい、空いている時の居住性は元京王車の転換式クロスシートに比べると…と感じてしまう面もあり、座席配置の関係などで元京王車に比べ、前面展望の点でも難ありという状況です。


ただボックス席が多数存在する座席配置は、家族連れなどのグループ客には最適と感じたもので、座席配置に加えて子連れで座るには丁度良い大きさの座席も「トーマスランド」号抜擢の一因であるとするならば、なかなかの英断かもしれません。

また一般車両の中では、大勢を占める元京王車に比べて車齢は新しいものの、元京王車は富士急移籍時に新車と見間違うほどの手入れが施されていますので、元京王車に比べると客室設備はやや見劣りする事は否めないのですが、ドアチャイムやLCDモニターによる次駅などの案内表示装置、自動放送装置などが設置されているのも大きな特徴です。


ドアチャイムやLCDモニター、自動放送装置などの装備は元京王車には見られないものですので、元京王車よりも進んだ部分も見受けられるのは面白い点ですが、これらの装備が元京王車にも今後進むのかも気になる所です。

MAKIKYUが乗車した感想としては、座席や内装などの車内設備面は普通列車の主力を占める元京王車、それも転換式クロスシートを装備した多数派の1200系電車に比べると難ありと言わざるを得ないのですが、この車両でしか見られない数々の特徴は興味深く、「トーマスランド」号として限定運用される列車を狙い、一度乗車して見る価値は充分にあると感じたものでした。

今後も「トーマスランド」号として活躍を続けるのか、それとも導入後暫くは大きな動きがないであろうと予測していた元京王車の一部編成の如く、突如大きな変貌を遂げるのかは未知数ですが、富士急行で現在唯一残存する自社発注のオリジナル車両として、他鉄道からの移籍車両群と共に活躍を続ける事に期待したいと感じたものです。

「MAKIKYUのページ」をご覧の皆様も興味がありましたら、是非一度5000系「トーマスランド」号に乗車してみては如何でしょうか?