MAKIKYUは先月に引き続き、今月も関西方面へ出向く機会があったのですが、数日前に関西方面へ出向いた際には、神戸市内やその周辺地域を走る神戸電鉄(神鉄)にも久々に乗車する機会がありました。
神鉄は都市近郊鉄道でありながらも、険しい勾配や曲線が続き、登山電車の様な雰囲気を持つ鉄道としても知られ、趣味的には非常に面白い鉄道である反面、特殊な環境も影響して運賃がやや割高(それでも首都圏の辺境・北総監獄(千葉ニュータウン)を走る「開発を止めた某鉄道」(元○○開発鉄道)などに比べれば、遥かに良心的な運賃設定ですが…)である上に、所要時間の短縮が難しい事などもあり、他交通機関との競合などによって近年輸送量の落ち込みが激しい事でも知られています。
そのため比較的高頻度で運転される都市近郊鉄道でありながらも、近年では一部の支線区に限らず、全線全列車でワンマン運転を行うといった異例の施策も行われています。
この様な厳しい経営環境にありながらも、徐々に設備改良などを行うと共に、車両も近年になって6000系と呼ばれる新形式を登場させ、僅かに残存していた非冷房車を全廃に追い込むなどのサービス向上に努めていますが、6000系と呼ばれる新形式はまだ数が少なく、MAKIKYUも今まで乗車する機会は皆無と言う状況でした。
この6000系は第1編成が2008年に登場していますので、運行開始からはもう2年以上が経過しているのですが、暫くは1編成のみの活躍が続き、今年に入ってから1編成増備されただけですので、まだ4両2編成・8両という少数派となっています。
しかも三田(Sanda)方面や粟生(Ao)方面など、3両編成が限定充当される公園都市線以外の神鉄各区間・列車に運用されますので、日頃神鉄を利用する機会の乏しい余所者には捕まえ難い存在ですが、MAKIKYUが先日神鉄を利用した際には、鈴蘭台(Suzurandai)駅で20分も待たずに姿を現しましたので、なかなか捕まらないと思っていた6000系にあっさりと乗車できたのは意外な収穫でした。
今回MAKIKYUが乗車した6000系は、粟生線活性化キャラクターのステッカーを貼り付け、今年増備された最新の6003編成でしたが、この電車で鈴蘭台車両基地の脇を通った際には、もう1編成の6000系が車庫内で停車している姿を見かけた程ですので、1編成のみの活躍が続いていた頃に比べると捕まえ易くなったとはいえ、相変わらず捕まえ難い存在である事には変わりない様です。
ところでこの神鉄の最新形式・6000系ですが、外観は神鉄初のステンレス製車体を採用しているのが大きな特徴となっており、車体長18m級・3ドアの側面を見ると、窓割や窓枠形状、雨樋形状などが起因してか、どことなく同じメーカーが手がけた九州の大手私鉄で活躍している最新型車両(車体長は18mよりやや長いですが…)を連想させられたものです。
装いも赤いラインが入る辺りは神鉄らしい雰囲気ですが、神鉄ではアルミ合金製車体の無塗装車も存在しているものの、この車両を含めた各形式では見られない黒などのラインも用いており、従来車と異なる新形式である事を強調している様に感じられたものです。
行先表示も近年の最新型車両らしく、フルカラーLED表示が採用されており、車両のLED行先表示自体が今まで見られなかった神鉄では、これも目新しい点と言えますが、このフルカラーLEDによる行先表示は親会社の新型車などと同様に、表示内容を既存の字幕に近い雰囲気とした丸ゴシック自体によるものとなっており、独特な雰囲気が漂います。
車内に足を踏み入れると、木目の化粧板やオリーブグリーンの座席モケットなどは、親会社の各車両や比較的最近の神鉄車両では定番と言えるものですが、一昔前の定番だったアルミ製の跳上式日よけなどは姿を消しています。
そしてドア上には最新型車両では定番になりつつあるLCDモニターによる案内表示装置が設置されており、この辺りは今日の新形式らしい所ですが、このLCDモニターの表示も親会社の新形式と良く似たものとなっており、乗換案内の際に6000系を模したイラストが表示されたり、ドア開閉方向を示す案内が表示される際、車内の色彩をきちんと表現しているなど、結構細かい所にもこだわりが感じられます。
また最近では関西の通勤電車では定番だった蛍光灯グローブも、法改正の影響などもあって装備されない車両が増えつつありますが、6000系では親会社の最新形式の様な2重構造の天井こそ採用していないものの、余り見慣れない独特な形状のグローブを採用しているのも特徴で、車内は通勤電車にしてはかなりの高級感が漂っています。
近年首都圏ではJRをはじめ、私鉄各線などでも見るからに安物と言った雰囲気が漂う新型車両が増殖し、MAKIKYUはウンザリといった所ですが、関西でも遂に某大手私鉄でこの手の車両が走り始めている現状を踏まえると、経営状況も決して芳しいとは言い難い神鉄も、新形式車両に関しては随分な力作を放ったものと感心させられたものです。
他交通機関との競合で苦戦する現状などを踏まえると、少しでも良い設備の車両を走らせる事で、付加価値の向上を図り、神鉄を選んでもらおうという意味合いもあるのかもしれませんが、通勤型車両で安物車両が増殖する今日において、最新型車両では最高級の部類の属する車両がゴロゴロしている関西においても、6000系は他の大手私鉄などで活躍する最新型車両に劣らない力作車両と感じたものです。
ただ神戸電鉄ではつい最近まで非冷房車が活躍していた程ですので、現在でも古参車両などは陳腐感が否めないのも事実で、徐々に設備改良が進みながらも、まだまだ脆弱感が否めない軌道設備と共に、老朽車の取替えも今後の課題と言えますが、最新型の6000系はかなり出来栄えの良い車両と感じ、今後の6000系増備にも期待したいと感じたものでした。