MAKIKYUが先月月潟を訪問した際には、新潟交通電車線が廃線となった後、沿線の公共輸送を行っている新潟交通グループの路線バスを利用したのですが、現在旧電車線沿線の路線バスは、新潟交通観光バス潟東営業所が大半を担っています。
新潟市内中心部から月潟へ向かう際には、旧電車線末期残存区間の代替路線とも言える味方線(新潟駅~月潟・他に月潟へ向かわずに末端で分岐し、潟東営業所へ向かう便などもあります)を利用して訪問したものでした。
味方線の路線バスは新潟駅や古町から乗り換えなしの直通で月潟まで行ける上に、およそ1時間10分と結構な時間の乗車になるにも関わらず、上限運賃が630円となっている為に、かつての電車線末期における東関屋~月潟間の片道運賃(700円)よりも安くなっており、当然ながら冷暖房を完備した車両が用いられています。
おまけにバスカード(買物カードの設定もあり)等を利用すれば、実質価格は更に安くなりますので、鉄道からバスへ代替になると、運賃面の上昇などで利便性が低下する事例が多い中、道路混雑時における定時性確保が難しくなる事を除けば、交通機関としての利便性は向上している事は評価できる事です。
ちなみにMAKIKYUが味方線で乗車したバスは、新潟交通バスカードの標準絵柄にも使用され、新潟交通では一世代前の典型的な車両とも言え、平成4年式のいすゞキュービックの前後扉車(U-LV324L)で、もう既に大都市圏の排ガス規制区域では乗車が叶わなくなっている古参車でした。
新潟交通グループの路線車としても、新潟市内中心部では首都圏などに引けを取らない新型車両がゴロゴロ走っており、AT標準装備となった三菱ふそう製のニューエアロスター最新モデルも散見する程ですので、古参キュービックの前後扉車がやって来るのを期待していましたので、期待通りの車両に当たったのは喜ばしい限りでした。
(写真は新潟市内の別路線で運行している、新潟交通本体の類似車両です)
潟東営業所管内は新潟交通観光バス管轄と言う事も影響してか、新潟市内に乗り入れる路線を持たない営業所程ではないものの、新潟市内中心部にある営業所に比べると、比較的古参車の稼動が多い様で、新潟市内中心部で古参車を狙う際にも注目と言えます。
ただ中には車内にLCDモニターによる運賃表示器を装備した、新しいエルガなども混入しており、すれ違うバスの中にはエルガも散見する状況で、味方線では特に低床スロープ板付きバス限定ダイヤもなさそうですので、どんなバスに当たるかはその時の運次第といった所です。
味方線のバスは始発の新潟駅から乗車すると、新潟のシンボルとも言える万代橋を通り、中心部の市街地から郊外の住宅地、そして途中で狭い道に入って田園風景が広がる区間も走るなど、車窓は変化に富んでおり、現在は市町村合併で同一市内(旧月潟村が新潟市南区と言うのは、個人的には少々違和感があるのですが…)のみを走る路線ながらも、1時間以上の乗車でも飽きないと感じたものです。
終点の月潟は旧月潟駅から徒歩で2~3分程の所にあり、月潟図書館駐車場の一角に到着するのですが、ここでバスを下車して旧月潟駅と、その保存車両を見学(興味のある方は、前回記事をご覧下さい)した後は、そのまま新潟市内中心部へ引き返すのも…という事で、電車線が全線健在だった頃のルートを辿り、路線バスで燕を目指したものでしたが、燕方面へは白根(健生病院)~燕駅間で新潟交通グループによる路線バスが運行しており、こちらも潟東営業所管轄となっています。
新潟交通の後を追うように廃線となった同じ新潟県内の蒲原鉄道では、代替で走らせた路線バスすら廃止→コミュニティバス化、それも
区間によっては運行時間帯がかなり限られてしまい、登録制の乗合デマンドタクシーで補う有様で、こうなると余所者が公共交通機関
を利用して廃線後の面影を求めるのはお手上げ状態になっています。
これに比べ新潟交通電車線の廃線区間は、路線バスが運行しているだけまだ良いとも言えるのですが、白根~燕間で月潟を経由する路線(これも月潟停留所には入らず、月潟中という少し離れた停留所を利用する事になります)は1日2往復しか運行しておらず、おまけに休日全面運休という、「幻の路線バス」と言っても過言ではない状況になっています。
MAKIKYUが月潟を訪問した際にも、この路線は丁度良い時間の便がなく、利用したくても…という状況でしたが、白根~燕間ではこの路線の他にも茨曽根(Ibarasone)経由の系統(茨曽根線)も存在しています。
新潟交通の電車線は、月潟付近で中之口川の西岸を走っており、月潟中を経由して白根~燕間を結ぶバスも中之口川の西岸を運行しているのですが、茨曽根線はこの中之口川の東岸を運行しており、月潟付近では旧電車線と川を挟んだ対岸を運行する格好になります。
茨曽根線も本数は少ないとはいえ、1日4往復(半数は休日運休)と月潟経由のバスに比べると運行本数は多く、丁度良い時間にも便がありましたので、この路線を利用して燕へ抜けたものでした。
旧月潟駅を訪問した後に茨曽根線に乗車する場合、中之口川沿いの電車線跡を整備したサイクリングロードを下流(白根・新潟市内中心部方向)に歩き、暫く進んだ所に萱場橋という小さな橋があります。
この橋を渡った対岸の道路に出ると、下流方向すぐの所に萱場(Kayaba)バス停が存在し、ここから茨曽根線の路線バスに乗車する事が出来ますが、このアクセス方法は月潟駅周辺などでも特に告知案内などは見当たらず、新潟に縁のない余所者がいきなり…というのは少々厳しい感があります。
MAKIKYUも新潟交通側にメールで問い合わせ、潟東営業所の方から返答を頂いたのですが、萱場バス停は白根方向にしかポールがなく、燕方向へ向かう際にはポールの反対側からの乗車(停留所ポールにも案内あり)となる上に、周囲も閑散としていて、如何にも田舎のバス停といった雰囲気です。
旧月潟駅~萱場バス停間はMAKIKYUの足で7~8分、少し余裕を見て10分程度といった所で、道も単純でまず迷う事はないかと思いますが、バスの本数は先述の通りかなり限られていますので、絶対に乗り遅れない様にするためには、萱場バス停のバス発車時刻15分前位に旧月潟駅を出発すると良いのでは…と感じたものでした。
(逆に燕方面から萱場バス停までバスに乗車し、その後旧月潟駅へ向かう場合は、到着間際に中之口川対岸に保存車両などの姿が見え、萱場橋からも可視可能な状況ですので、こちらもまず道に迷う事はないと思います)
そして萱場バス停でやって来たバスはいすゞ製の中型車、味方線で乗車したバスよりはやや新しい平成8年式でしたが、こちらも2段ステップの前後扉車で、このスタイルのバスは最近大都市圏では余り見かけなくなって来ていますし、近年の閑散路線ではマイクロバスで運転する路線・系統も数多くある事を踏まえると、この車両も個人的には充分当たりと感じたものでした。
乗り込んだバスは萱場バス停到着時点では無人状態、萱場ではMAKIKYUの他にもう一人の乗客が乗り込んだだけで、白根~燕間は2系統合わせても6往復しかないにも関わらず、かつて鉄道が走っていた政令指定都市の平野部でこの有様は…と感じてしまいましたが、その後途中の幾つかのバス停で少しずつ乗客を拾い、終着一つ手前の燕高校前では学生が大挙して乗り込み満席
になるなど、燕方の利用状況はまずまずと感じたものでした。
(燕~新飯田間は区間便も運行しているのが頷けるのですが、ダイヤ表を見ると新飯田~潟東営業所間を延々と回送する時間もあり、月潟周辺のバス運行本数が極めて少ない状況である事も踏まえると、これは全区間を実車で走らせて欲しいと感じたものです)
またこのバスは今時珍しく車内放送に音声合成装置ではなく、8トラックのテープを使用していたのも印象的で、MAKIKYUが今年乗車したバスでテープによる放送を行っているバスに当たったのは初めてでしたが、こんなバスでもバスカードに対応している辺りは、一応新潟都市圏のバスらしいと感じたものでした。
(新潟交通観光バスの地方にある営業所ではバスカードに対応していない営業所が大半で、当然ながら佐渡島を走る新潟交通佐渡もバスカード利用は不可です)
ちなみに萱場~燕間は約30分の乗車で520円でしたので、地方の路線バスではまあまあといった運賃設定ですが、新潟駅~月潟間の630円に比べるとやや割高感があり、また近年導入されたICカード「りゅーと」には対応していませんので要注意です。
(新潟駅~月潟間などの味方線は、新潟交通観光バス運行ながらも「りゅーと」で乗車する事も可能です)
月潟は現在は新潟市南区となり、自治体名だけを聞くと結構都会の様な印象を受ける割には、唯一の公共交通機関となっている路線バスの運行本数が限られ、特に月潟行き始発便が遅く、月潟発最終便が早いなど、余所者が公共交通で訪問するのは少々不便なエリアですが、「MAKIKYUのページ」をご覧の皆様方が旧月潟駅訪問などで月潟へ足を伸ばす機会がありましたら、是非この記事で取り上げた味方線や茨曽根線などの新潟交通観光バス利用を検討されては如何でしょうか?