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苫小牧市予約運行型バス「樽前ハッピー号」~市営バス移譲路線もこの路線だけは…

2012-11-07 | バス[北海道]

先日「MAKIKYUのページ」では、苫小牧市内を走る道南バスの旧苫小牧市交通部(苫小牧市営バス)移譲路線に関する記事を取り上げましたが、現在苫小牧市内を走る市営バス移譲路線に関しては、大半の路線が民営移管後もほぼ市営バス時代の車両や運行形態を踏襲しています。

しかしながら市内西部の錦西営業所から、樽前山の麓にある北樽前までの区間を運行していた錦西樽前ガロー線(樽前線やガロー線と呼ばれる事もよくあります)だけは、道南バス移管時に従来通りの運行形態を踏襲せず、樽前ハッピー号と名付けられた予約運行型バスとして再出発しています。

先月MAKIKYUが苫小牧を訪問した際には、この樽前ハッピー号にも乗車する機会がありましたが、この路線は沿線人口も限られ、市営バス時代も運行本数が少ない路線だけあって、大半の区間で自由乗降区間が設定されるなど、閑散路線の典型とも言える状況だった様です。

そのため沿線にある樽前小学校(苫小牧市内で唯一学区外からの通学が認められている小学校で、学区外の市内各地からも児童がバスで通学します)の通学時間帯に当たる便などは、定時運行路線として運行するものの、それ以外の昼間時間帯などに運行する便は予約制として、基本的には前日昼までの電話による事前予約が存在しない場合は運休する予約運行型バスに改められています。

予約運行便も休日ダイヤでは、錦岡方(錦西営業所・錦岡駅・駒沢大学など)から定時運行便で北樽前まで向かい、折り返しの便ですぐに引き返す事も出来るのですが、平日ダイヤでは片道は予約制の便を利用しないと乗車が困難です。
(予約者が存在しない時は、定時運行便への運行車両を回送させるダイヤもありますので、このダイヤの回送区間だけでも定時運行化(回送区間から外れる停留所のみ予約制継続)にして頂ければ…と感じます)


この様な路線ですので、ふらりと訪れて乗ろうとしても、予約制の便に予約が入ってなければ運休と言う余所者泣かせの路線になっていますが、白樺の並木が続く道を走り、樽前山を望む車窓は北の大地・北海道ならではの雰囲気を存分に感じる事ができ、旧苫小牧市営バス路線の中で車窓景観の良さはトップクラスかと思います。


MAKIKYUが苫小牧を訪問したのは平日で、それも樽前ハッピー号の予約制運行便の電話予約もしていない状況でしたが、訪問日は北樽前方向へ向かう予約制運行便(折り返しは定時運行便)に予約が入っており、運行が確定していた事(結局予約者は現れずに、乗車予定停留場の発車予定時刻を超過し、乗客はMAKIKYUだけという状況だったのですが…)もあって、予約リストに乗客追加と言う形で対応して頂きましたので、当日でも錦西営業所に問い合わせれば、予約制運行便に乗車できる可能性もあります。
(この方法は事前に他乗客による予約が入っている場合のみ有効で運次第ですので、樽前ハッピー号に確実に乗車したい場合は、事前に予約を済ませておくか、休日ダイヤ運行日の定時運行便を狙うに越した事はありません)

この樽前ハッピー号は予約運行型バスへの変更と共に、苫小牧市の施設等で運行していた送迎バス類も統合した形態となっているために、定時運行便や予約制運行便で各施設等の停留場で乗降の予約が入っている場合には、施設内へ乗り入れる様に路線設定も改められ、運賃設定も市営バス時代より若干割安に設定されています。

樽前ハッピー号では各種ワンマン設定(合成音声による車内放送や、整理券発行機と連動した運賃表示)を行っていないため、停留所名放送は流れず、カード利用時(旧トマッピーカード・道南バスカードの双方が利用可能です)における運賃収受も、乗務員による手入力となっています。

車両面でも従前の樽前線で使用していた大型路線車(基本的には他路線と共通の路線車ですが、トップドア車が充当される事も多かった様です)では運行が困難になり、乗降客数も学区外の市内各地から通学する小学生(概ねマイクロバス1台の着席定員程度)を除くと、数が限られる事もあってか、中型車による運行となっています。

旧苫小牧市営バスではかつて中型車を保有し、樽前線でこの車両を走らせていた事もあった様ですが、晩年路線車は大型車のみになっていましたので、道南バス他所で用いていた中型車を錦西営業所に移籍させて樽前ハッピー号に充当しており、苫小牧市営バス移譲路線では今の所唯一、緑色の道南バス色のバスが走る路線にもなっています。

 
MAKIKYUが樽前ハッピー号に乗車した際には、日産ディーゼル製の中型トップドア車が充当され、平成12年式でホイールパーク式サイドブレーキやフィンガーコントロールシフトを装備しています。


座席も2人がけのハイバックシートがズラリと並び、自家用バスに近い雰囲気があり、結構ハイグレードな車両に感じられますが、これだけの車両で、この地にしては新しい部類に入る車両にも関わらず、未だに冷房を装備していない非冷房車というのは非常に大きな特徴です。

北海道各地の路線バスを利用しても、今日道南バス以外で非冷房車に当たる事は稀(道南バスでは既存路線・苫小牧市営バス移譲路線共に非冷房車はまだ数多く、北海道では鉄道も札幌圏以外の普通列車では非冷房車が当り前の様に走っているのですが…)ですので、こんな車両は日本中を探しても、道南バス以外には一体どれだけ存在するのかという代物で、夏場でも窓を開け放てば何とか暑さを凌ぐ事ができ、冷房が必要な時期が短い土地柄とは言えども…と感じます。


また樽前ハッピー号はこの車両以外にも、いすゞ製中型車が充当される事もある様で、MAKIKYUが錦西営業所に立ち寄った際には、車庫内に留め置きされていたものの、北海道から帰還する際に乗車した札幌~函館間のJR列車(特急スーパー北斗号・その後特急スーパー白鳥号~新幹線はやて号に乗継)で錦岡を過ぎて樽前山を望む区間で、この車両が走っている姿を目撃していますので、日によってはこちらに当たる事もある様です。
(このいすゞ車は冷房車の様ですが、夏場にはこちらを優先的に用いているのか否かも気になります)

樽前ハッピー号は苫小牧市内の中でも外れの地域を運行しており、遠方からの観光客が訪れるようなエリアでもない上に、運行ダイヤなども踏まえると、道外の人間が乗車する機会は非常に稀な路線かと思いますが、「MAKIKYUのページ」をご覧の皆様方も錦岡周辺を訪問する機会がありましたら、是非樽前ハッピー号への乗車を検討されては如何でしょうか?