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比田勝港を出港する国際航路~離島のはずれながらも多数の便が…

2014-02-21 | 船舶[海外関連]

先日「MAKIKYUのページ」では、長崎県・対馬の比田勝港を発着する九州郵船の「フェリーげんかい」に関して取り上げましたが、比田勝発着の旅客航路は「フェリーげんかい」だけでなく、近年ではこの他に国際航路も就航しています。

離島から海外への足が確保されているというだけでも異例かと思いますが、その中でも島の中心都市(厳原)からは随分離れた島のはずれから出航、それもほぼ毎日就航ともなると、日本中探しても比田勝以外には…という状況で、比田勝が異国に近い特異な立地である事を改めて実感させられます。


MAKIKYUが比田勝から乗船した航路も、「フェリーげんかい」ではなく国際航路の方で、ターミナルもやや離れて立地しており、国際ターミナルの方が町内各所やバス営業所から至近の所にあります。

国際航路は全て韓国・釜山行きの高速船、MAKIKYUの乗船日は日曜日で、週末の小旅行で海外を堪能した韓国人(1泊2日は当り前で、中には日帰りでの訪問者も居る様です)が多数帰還する事もあってか、福岡発の対馬寄港便1便を含め、4隻の高速船が夕方に続々と出航する状況でした。

これはとても離島の田舎町とは思えない光景で、出航時刻が近づくと、それまで静かだった比田勝港周辺も、大勢の団体ツアー客を乗せた観光バスが何台も集まり、これらのバスから多数の乗客が下車して高速船に乗り換え、そのため港のターミナル周辺は大勢の観光客で大賑わいとなり、とても離島とは思えない状況でした。

MAKIKYUが比田勝からの高速船に乗船した日の就航船舶は、大亜高速海運の「DREAM」1隻と、福岡~釜山航路で共同運航を行っている「BEETLE」「KOBEE」が計3隻、どれも旅客定員は200名程度かそれ以上あり、比田勝の街の規模などを踏まえると、これだけの数の高速船が運航される事自体が異例です。

まして複数の高速船が夕方の1時間程度の時間に集中して出航するという、日本中の離島を探しても他に類がない光景が展開され、近年対馬と韓国の交流が盛んになっている事を実感させられたものでした。
(人口300万人超の釜山広域市の規模を考えれば、ありえなくもない話なのですが、対馬では厳原~博多間ジェットフォイルでも、通常1日2往復程度ですので…)


何隻もの高速船が集まっているために、福岡発の寄港便を除いても国際ターミナル脇に使用船舶全てを係留出来ず、「BEETLE」は「フェリーげんかい」が発着する国内航路ターミナル近くに係留、他の船が出航してから国際ターミナルへ移動・入港する状況でした。


出入国手続きもターミナル内ではなく、その隣に位置する建物内で行われるのですが、元々静かな離島のはずれにあった街が、近年急速な勢いで国際旅客増大となっている事もあり、設備的には需要に追いつかない印象があり、出航時刻の20分位前になってようやく建物内に入り手続きと言う状況でした。

多数出航する国際航路の中で、最初に出航したのは「KOBEE」で、ジェットフォイルながらも操縦席が2階ではなく、更に上の3階部分に突き出たタイプが充当されていました。


MAKIKYUも以前未来高速「KOBEE」を利用した際には、このタイプにも当たった事があり、船内設備などは大差ないのですが、一般的なジェットフォイルに比べると、見た目のスマートさはやや劣る気がします。


その次には「DREAM」が出航、こちらは「BEETLE」「KOBEE」に比べ、比田勝航路の運航実績は長く、ジェットフォイルとは異なるタイプの高速船を用いているのも特徴です。

MAKIKYUは大亜高速海運自体も利用した事がありませんので、機会があればこちらも…と思ったのですが、福岡航路に関しては欠航が相次ぐなど、「BEETLE」などに比べると運航実績の安定性では…と感じる面があり、運航実績の安定性を考慮し、12月の比田勝発では利用を控えたものでした。

その後には福岡発の「KOBEE」が寄港、そして最後に「BEETLE」が出航となりますが、MAKIKYUが乗船したのは共同運航を行っている「BEETLE」「KOBEE」の中でもJR九州高速船の「BEETLE」運航便、充当されたのはビートル1世でしたが、12月の旅行では韓国帰りの博多行きもこの船でした。

JR全線踏破を狙っている方の中には、さすがにJRバス全線乗車までという方はなかなか居られないかと思いますが、JR系の旅客航路も対象に含めている方は結構居られるかと思います。

その中でも比田勝~釜山航路は国際航路と言うだけでなく、JRの鉄道や路線バスのネットワークからは大きく外れた路線ですので、航路を含むJR全線踏破を目指していて、この航路だけは…という方も結構居られるかと思います。

乗客も殆どが韓国人、使用船舶は同一でも日本人の利用客が多い福岡航路とは様相が異なると感じたもので、グリーン席が現在運用停止となっているのも、乗船時間が短い短距離航路では…と感じる所です。

比田勝~釜山は航行距離約70km、高速船だと出航から1時間もすれば釜山港の港内を航行している状況で、福岡~釜山航路でも日韓両国の近さを感じるものですが、比田勝航路ではそれ以上に日韓両国の近さを実感させられたものでした。

また比田勝~釜山航路では、国内側(比田勝)が初訪問の街である一方、海外側(大韓民国・釜山)は何度も足を運んでおり、異国の方が
見慣れた光景である上に、足を運び易い所と言うのも不思議に感じたものです。

比田勝は国内各地からはかなり足を運び難い事もあり、近年では日本各地→釜山→比田勝(或いはその逆)で足を運ぶ日本人もしばしば居る様で、国内各地を探しても対馬以外では海外経由は…と感じる所で、この点でも比田勝が極めて異国に近い特異な立地の「国境の町」である事を実感させられたものでした。


ちなみに比田勝~釜山航路は片道2桁km、乗船時間も短い短距離航路とはいえども、国際航路ですので乗船時は当然ながら旅券(パスポート)が必須で、出入国手続きの際には「HITAKATSU」の地名が入ったスタンプが押印されます。
(パスポート下部の旅券番号がパンチされた部分は、一部画像加工しています)

MAKIKYUの日本からの出国・日本への帰国履歴は、出国・帰国共に過半数が「HAKATA」で、他は「KOBE」「OSAKA」「KANMON」がありますが、「HITAKATSU」のスタンプ押印で日本のスタンプは5つ目、日本のスタンプバリエーションが久々に増えましたが、機会があればまだ利用していない港からの出国・帰国も…と思います。

ただMAKIKYUは関西や九州の在住ではなく、ずっと首都圏に身を置いているのですが、個人的には首都圏の標準軌大手私鉄が走る駅の近くから出国・帰国するのは勘弁願いたいと感じます。

MAKIKYUの周囲で海外へ足を運んだという話を聞くと、一部では「悪徳」とも呼ばれている列車をはじめとする首都圏標準軌大手私鉄が発着する、2箇所のどちらかを出国・帰国で利用したという話ばかりで、比田勝はともかく、博多などを利用した話を聞かないのは少々寂しい気もするのですが…