豆豆先生の研究室

ぼくの気ままなnostalgic journeyです。

小津安二郎監督作品サントラ盤

2011年06月15日 | 映画

 “小津安二郎監督作品 サウンドトラック・コレクション”(松竹映画サウンドメモリアル、1995年6月)という中古CDをアマゾンで買った。

 YOUTUBEで聴く小津映画音楽集の“秋刀魚の味”の音楽がよかったので。
 小津の映画のDVDをせっせと観ているときには、あまりバックに流れている音楽に注意が向かなかったのだが、ただ一つ、“一人息子”のオープニングとエンディングに流れていた“Old Black Joe”はなぜか印象に残った。映像とストーリーによく似あっていた。
 今回買ったCDの最初の曲が、これだった。 

 晩年の作品の音楽は、映画を見たときにはあまり印象に残らなかったのだが、買ったばかりのこのCDで音楽だけ聞いていても、映画のあれやこれやのシーンが思い浮かぶ。
 とくに“秋日和”や“秋刀魚の味”がいい。“晩春”“麦秋”“彼岸花”などもいいし、意外に“早春”もストーリーは好きになれなかったが、音楽はよかった。

 “秋刀魚の味”は、中村伸郎たちが中学校時代の教師(東野英治郎)に毒づくあたりが不愉快だったのだが、実は教え子たちにも老いが忍び寄っているのだという誰かの批評を読んでからは、あのシーンも許せるようになった。
 あの哀感を帯びたメインメロディーは、娘を嫁がせる父親(笠智衆)一人だけの気持ちではなく、笠智衆、中村伸郎、北竜二らに共通の哀感であり、それはまさに彼らの年代に達した(超えたかもしれない)ぼく自身の哀感でもある。

 小津の映画の中では、ぼくは笠智衆と同じで、“父ありき”が一番好きなのだが、最近は“秋刀魚の味”もよくなってきた。
 同じ言葉を繰り返したり、佐田啓二が、たびたび「~がネ」などと喋る台詞も鼻につくが、それでも“秋刀魚の味”とその音楽は悪くない。

 節電とやらで、東京の地下鉄の連絡路などの照明が薄暗くなって、その薄暗さが昭和30年代を思い起こさせてくれる。そんなせいかもしれないが、なぜか最近、妙に昭和30年代が懐かしい。

 そういえば、きょうは6月15日。樺美智子さんの命日だった。

 * “小津安二郎監督作品 サウンドトラック・コレクション”(松竹映画サウンドメモリアル、1995年6月)のジャケット。

 2011/6/15