気ままに

大船での気ままな生活日誌

フランスの浮世絵師 アンリ・リヴィエール

2009-09-30 11:44:39 | Weblog


先日、江戸博で大正新版画展をみてきたばかりで、ふーん、新版画もなかなかいいじゃん、と思い、またフランスの”SHINーHANGA”を観に行ってしまいました。神奈川県立近代美術館/葉山の”アンリ・リヴィエール”展です。ぼくにとっては初めて聞く画家の名前でしたが、ときどき見かけていたポスターの彼の絵が、好ましく思い、ぜひ一度訪ねたいと思っていたのです。

ポスターの絵とは、この絵です。”海の夜”自然の様相シリーズの一枚です。

実物も良かったです。そして、この”自然の様相シリーズ”がいくつも展示されてあり、どれもこれも気に入りました。絵ハガキもいくつかあったのでおみせしますね。このシリーズは第二部”ブルターニュ自然の風景”の中にあります。

これは自然の様相”日没”です。

そして、自然の様相”山”です。

そして、”黄昏”。絵ハガキがなかったのでおみせできません。これは北斎の富嶽三十六景、東海道程ヶ谷の松並木によく似た並木を遠景にした、農村風景のいい絵でしたよ。この絵の隣りに北斎の絵が並んでいましたので、北斎の影響がよく分かりました。

これも北斎の”富嶽三十六景/常州牛堀”の構図を参考にした”トレブルのいわし漁船の出帆”


アンリ・リヴィエールはパリのモンマルトルで生まれ、育ち、ジャポニズムの影響をもろに受け、ゴッホが浮世絵を模写したりして明るい色彩を油彩画で表現したのに対し、彼は木版画そのもので、フランスの風景を描いていったのです。

自分でも、800点もの浮世絵を蒐集し、とくに北斎や広重のものが多かったようです。北斎の富嶽三十六景を模範にして、エッフェル塔三十六景を描いているほどですから、浮世絵おたくぶりは半端ではありません。そのひとつをおみせしますね。”エッフェル塔三十六景/建設中のエッフェル塔、トロカデロからの眺め”この絵は”第三部、世紀末パリ”に展示されています。近代化が進む、パリの都市風景をみることができます。この絵の中の雪が降りしきるさまも、広重の風情ですね。


第五部の近代日本絵画とリヴィエールも興味深かったです。珍しい、富本憲吉の木版画”雲”をみることができました。素人目にはあまり、上手とは思えませんでした(爆)。富本は同時代にフランスに留学し、彼の絵を直接みているのです。日本に紹介されたのは、1901年の白馬会展だったそうです。直接の影響はないにしろ、当時の画家たちの目に触れ、それなりの影響はあったはずです。ここで展示されていた、深水の風景画もなかなか良かったです、近江八景シリーズ。これまで美人画ばかりに目が奪われていましたが、風景画もいいですね。吉田博の”瀬戸内海集、帆船シリーズ、そして、江戸博でみた、川瀬巴水の数点、そして木虫(みずむしではありません)とか。楽しめました。

行ってよかった、展覧会でした。リヴィエールも好きになりました。誰でも好きになってしまう、最近(笑)。
。。。

美術館の庭園に出て、葉山一色海岸を見下ろすと、あの北斎の保土ヶ谷(現在表記で)の松並木そっくりな松が。


そして、浜辺に降りて、第二部に展示されていたアンリ・リヴィエール の”海、波の研究シリーズ”を思い出し、波の研究をしてみた(汗)。




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