
毎年、今頃、瑞泉寺で”写真供養感謝祭”が開催されている。不要になった写真を、お坊さんの読経のもと、お焚き上げしていただけるのだ。去年は、亡くなった母が所持していたアルバムの中から、大事なものだけを残し、ここで写真供養していただいた。
今年は、自分たちの関連の写真を持参した。ワイフが、半年がかりで(ときどきだが)、アルバムの整理を行い、ダイジェスト版だけにして、あとは整理することにしたのだ。結婚以来のアルバムだから、相当な量になる。ふたりで、それぞれリックを担いで、瑞泉寺に向かった。
11時開始に少し遅れただけだったが、すでに大勢の方がみえていて、整理券を渡され、結局、30分待ちになってしまった。

10組ずつ呼ばれ、お焚き上げの鉢の回りから、写真を入れ、燃やしてもらう。みなさんが放り込む、結婚式の写真やら海外旅行の写真や愛犬の写真なども、次々と炎の中で燃えつきていった。お年寄りが多かったが、若い人も結構いた。
写真は、ゴミ出しするには忍びないし、焚火で燃やすのも、マンション住まいでは不可能なので、こういうお寺の、行事はとてもありがたいことだ。ぼくらや友人たちの過去のしるしが、昇天していくのは、さびしいことだが、自分自身がいつどうなるかの年齢になってきたのだから、仕方のないことだ。
ぼくもワイフも、両親を見送ったし、もう自分たちのことを考えるだけでよくなった。写真のみならず、いろいろなことを整理していかなければならないと思っている。

写真供養感謝祭を終え、石段をのぼり、本堂の境内に入った。10日程前、真盛りだった、秋明菊が、もうおわりに近くなっていた。その代わり、梅の木の回りの、水仙が少しだけ、背を高くしていた。

吉野秀雄の歌碑をしみじみとみた。
