去年、神奈川近代文学館で、女性初の芥川賞作家、中里恒子生誕100年を記念した展覧会があった。そのとき、彼女の原作を映画化した、吉永小百合主演映画”時雨の記”が上映された。北鎌倉に住む、うつくしい未亡人が、彼女の結婚式のとき受付をしていた妻子ある男(渡哲也)に偶然出会い、恋愛関係に入る物語だが、その重要な場面に、紅葉のうつくしい、嵯峨野の常寂光寺が現れるのである。この寺には、藤原定家の時雨亭跡があるが、その未亡人は定家の歌集をいつも手元に置いている、という伏線が敷かれている。
まさに、紅葉のうつくしい時期に、ぼくはこの寺を訪れて、ふとその映画のことを思い出したのだった。残念ながら、うつくしい北鎌倉の未亡人は連れていなかったけれど(爆)。
本堂
鐘楼
多宝塔(重要文化財)
時雨亭跡はみつからなかったけど、うつくしい紅葉はあちこちに。
(つづく)