おはようございます。
長年、行方不明であった鏑木清方の名作、築地明石町が44年振りに発見されたというニュースがあったのは今年の6月24日。この幻の名作を東京国立近代美術館が購入し、11月1日から特別公開するというので楽しみにしていた。初日に行く予定にしていたが、用が入り、二日目の10時過ぎに会場に入った。係の人が初日に比べると、今日は空いていますとのこと、この日で正解だった。ゆっくりと鑑賞できた。
東近美は同作品と、あわせて3部作となる「新富町」と「浜町河岸」も新収蔵し、本展でも並べて展示している。ほかに、当館所蔵の清方作品もすべて出展され、近来にない充実した鏑木清方展となっている。
では、はじめに築地明石町。いつも鎌倉の清方記念館の複製の小型版でみていたせいか、実物は思いのほか大きい。縦約174センチ、横74センチ。昭和2年(49歳)作。明治期に、外国人居留地があった築地明石町を舞台に立ち姿の美しい婦人を描いた清方の代表作。西洋風の巻き髪の婦人が秋風に思わず羽織の袖をかき合わせる。水色のペンキで塗られた柵は洋館を想像させる。初秋の朝顔。帆船のマスト。
モデルの方の写真と再現された小紋柄の着物も展示されている。
つづいて、新富町。ここは花街だった。芸者さんの袖口から見える襦袢は紅葉と菊の模様なので、秋雨だろう。うしろの新富座の絵看板は仮名手本忠臣蔵とのこと。
そして、浜町河岸。稽古帰りの町娘が描かれる。付近に藤間流の大家が住んでいた。隅田川、火の見やぐら、右に新大橋。
以上の三部作は、季節が、上から順に、初秋、秋、初冬。また、女性も夫人、年増の芸者、若い娘と女性三態を描いている。
ほかに十数点。写真撮影は禁止なので、絵葉書から、重文の”三遊亭円朝像”。父親の関係で清方は子供時代から可愛がってもらっていた。
墨田河舟遊び これは別室で展示されていて、撮影が可能だった。
ほかに、明治風俗十二か月、目黒の栢莚莚、晩涼、弥生の節句、初冬の花、端午の節句、鰯、女歌舞伎の下絵、弟子の深水による清方先生寿像。
とても素晴らしい展覧会でした。
それでは、みなさん、今日も一日、お元気で!