こんばんわ。
先日、上野公園の紅葉狩りに行ったときに、東京都美術館で”ノスタルジア/記憶の中の景色”展が開かれていた。ポスターの風景画に惹かれて入った。
1.街と風景、2.子ども、3.道という三つのテーマでぼくの知らない8人の画家の作品が並んでいる。順に見て行ったが、”道”の最終コーナーで、はて、どこかで見たような画風だな、と思わせる作品が5点ほど続いた。画家の名は入江一子。はて、これも覚えがある名前。
そうだ、あのヒマラヤの青いケシを描いた101歳の女流画家だと思いつくのにそう時間はかからなかった。ぼくのブログ記事を検索すると、2017年に、NHK日曜美術館”青いケシを描く、洋画家・入江一子 101歳のアトリエ”を紹介している。ヒマラヤの青いケシ(ポピー)といえば、掘文子ばかりと思っていたが、入江一子 も76歳のときにチベットの高山に登り、ブルーポピーを描いた。
掘文子も旅好きだったが、入江一子も、50歳を過ぎてからシルクロードの旅で30か国以上、巡っている。今回の5点のうち4点がシルクロードの旅の見聞をモチーフに描いたものである。一度、入江の作品展を見てみたいと思っていたが、はからずも、上野紅葉巡りの中で実現した。こんなうれしいことはない。以下、彼女の作品をここに記録しておこう。
入江一子 緑陰 雲南少数民族 (1999)
入江一子 トルファン祭の日(1981)
入江一子 イスタンブールの朝焼け(1975)
この朝焼けの絵に通じる入江の文章。満州の赤い夕陽からイスタンブールの真っ赤な朝焼けまでの道のり。
入江一子 シルクロードを行く カブールのバザール(1974)
入江一子 洗濯(韓国)(1940)
入江一子は、2021年(105歳没)にお亡くなりになっていた。
今回は入江一子の作品のみの紹介でしたが、こんな長大な作品も印象に残った。玉虫良次が5年をかけて描き続けた連作《epoch》10点を全体を横に連結させた約16メートルの大作パノラマ。
以下、公式サイトから抜粋。
本展では、懐かしい風景、そしてノスタルジアについて考えたいと思います。「ノスタルジア」とは、もともとギリシャ語の「ノストス(家に帰ること)」と「アルゴス(痛み)」の合成語で、故郷へと帰りたいが、けっして戻れない心の痛みのことを意味します。元々は望郷の思い、いわゆるホームシックと同じような意味でしたが、現代では二度と戻ることができない過去(子ども時代など)の記憶を、現在の風景や情景に重ね合わせて味わう、切なくも複雑な感情のことをいいます。
このノスタルジアを強く感じさせる風景、人のいる情景、幻想絵画などを描いてきた個性的な8名の作家たちを紹介します。日常の街の風景を愛しむように描いている阿部達也と南澤愛美。子どもたちのいる光にあふれた情景を描き出す芝康弘と宮いつき。幻想も含めて、それぞれ独特の「記憶のなかの景色」を表現している入江一子、玉虫良次、近藤オリガ、そして久野和洋。彼らは、それぞれの異なった道を歩みながら、どこか時空を超えたような、普遍的な原風景(人の心の奥底にある原初の風景)を探し求めているように思えます。本展では、彼らの作品を鑑賞することを通して、あらためて、ノスタルジアという複雑な感情が持っている意味と可能性を探っていきます。
上野紅葉散歩のおかげで入江一子の絵に出会え、うれしい一日となりました。
では、おやすみなさい。
いい夢を。
十三夜の月。ちょうど明後日の十五夜が満月。今月も11月に引き続き、旧暦と新暦の日付が一致している。
まさにラビスラズリの輝きのようです。
一歩足を踏み込んだら、魔力に翻弄され未知の世界へと翔けれそう・・・
画家の魅力なのでしょうか?
底光が視えてきますね。
撮影された方も、魂を鷲掴みされたよう。
お連れ下さってのこと、感謝申します。
ありがとうございました。