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気ままに

大船での気ままな生活日誌

安倍公房展  神奈川近代文学館

2024-12-01 22:03:07 | Weblog

こんばんわ。

展覧会の記事はいつも遅れてしまう。神奈川近代文学館(かなぶん)の安倍公房展のことを書こうとしているが、あれは港のみえる丘公園の薔薇や秋明菊を見に行った日だから、ちょうどひと月も前になる。

カナブンもけちんぼでいつも会場の写真は撮らせない。でも、一枚だけOKのがあって、公房の箱根の仕事場を再現した展示だけである。これだけでも公房の一面を知ることが出来る。骸骨のオブジェが面白い、公房らしい。

蔵書は山のようにあっただろうが、机の上には辞典類だけ。国語辞典のほか、科学辞典(2冊)、西洋史辞典もある。また、これら分厚い辞典に混じって”自給自足の本”がはさまっているのが面白い。その頃、書き始めた作品に関連があるのだろうか。

ワープロを使い始めた最初の作家とのこと。文豪だけあって、NECの”文豪”を使っている(笑)。電子カレンダーもあり、最新機器を使用していたようだ。

安倍公房はぼくらの時代の著名作家で、日本人ノーベル文学賞の第一候補と云われていた。次々と話題作を出していたから、ぼくも数冊は買っていて、しばらく本棚にあったはず。60歳の定年退職のとき引っ越してマンションに移るということで、7割くらいの蔵書は捨ててきた。3冊ともその捨て組に入っている。一つは”箱男”、あとは何だったか忘れていたが、安倍公房の奥さん(真知さん)の展示コーナーがあり、それを見て思い出した。真知さんは女子美を出た画家で、公房の作家デビュー当時から、その装幀、挿絵を手がけたほか、多くの安部作品の舞台美術を担当している。そのコーナーでは真知さんが装幀した公房の作品がずらりと並んでいた。本の表紙を見て、あと二つは、”燃え尽きた地図”と”榎本武揚”とすぐわかった。

”燃え尽きた地図”は”砂の女”、”他人の顔”と共に”失踪三部作”といわれたもので、内容は忘れていたが、Wikiによると、突然失踪したサラリーマンを捜索する探偵が、男の足取りを追って奇妙な事件に遭遇するうち、やがて探偵自身が記憶を見失って失踪する物語(笑)。”榎本武揚”は公房異色の歴史小説で、ぼくも歴史小説が好きで司馬遼太郎ならほとんど読んでいるが、公房が武揚をどう書くか知りたくて買ったのかもしれない。忘れているので、今度、図書館で探して再読してみよう。ついでに”箱男”は、ダンボール箱を頭から腰まですっぽりとかぶり、覗き窓から外の世界を見つめて都市を彷徨う「箱男」の記録の物語。

映画化された作品もいくつもあり、砂の女、他人の顔、燃え尽きた地図など、ポスターやスチール写真などの展示があった。舞台でも多く上演されているが、ぼくは映画も舞台も見た覚えがない。

2022年にここカナブンでドナルドキーン展が開かれた。そこで、安倍公房のコロンビア大名誉博士号授与式時のキーンとの写真があった。安倍の”砂の女”の英語版が刊行されるに当たり、ニューヨークに滞在していた安倍がコロンビア大のキーンを訪ねたのが初めての出会いだったようだ。3年後、大江健三郎を介して再会し、以後、親密な関係がつづき、キーンによる安倍作品の英訳本も多い。

だらだらと自分がらみのことを書いてきたが、本展の要約にはなっていない。そこで、公式サイトの紹介で締めさせてもらいます。

今年生誕100年を迎えた安部公房(1924-1993)。その創作活動は、学生時代の詩作から出発し、『壁』『砂の女』などの小説や「友達」などの戯曲、写真、さらに演劇グループ・安部公房スタジオによる総合芸術の追究と多岐にわたりました。自明のはずの名前や身体、居場所が損なわれることで自己が揺らぐさまや、従来の規範が突如として転倒する世界を描いた独特の作品は、いまも国境を越え多くの読者を得ています。本展は初公開・初展示を含む約500点の資料により、時代の先端をとらえ続けた表現者・安部公房の全貌に迫るとともに、21世紀の今日において安部作品のテーマが持つ意味を問い直します(公式サイト)。


今朝の富士山

では、おやすみなさい。

いい夢を。


円覚寺の紅葉が見頃になっています

コメント (6)
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