平塚市美術館で開催の”上村松園と鏑木清方展”。初日(7月21日)に行ってきました。やはりここで開催された、昨秋の”伊東深水展”も初日入場。三大美人画家の展覧会を1年内に次々と開催する美術館もえらいが、いずれも、初日入場を果たした吾輩もえらい。えへん、えへん
その日、ちょっと寄り道をして、美術館に到着したのが午後2時前。それがちょうどよかった。草薙奈津子館長の講演会が始まるところだったのだ。運もよかった、あとわずかの席だった。松園と清方の作風の変遷など専門的な説明のほか、展覧会を開く裏話とか、面白い話が盛りだくさんで、そのあと、作品を鑑賞する上で、とても参考になった。
清方も松園も、ぼくにとっては、お馴染みさんで、とくに清方は、地元の鎌倉に、鏑木清方記念美術館があるので、展示替えごとに寄っている。一方、松園は京都の方だから(笑)、そうもいかないが、山種美術館の”松園展”は必ず観ているし、序の舞、焔などの名作も芸大美術館やトーハクなどで何度かみている。
東西両横綱ともいうべき清方、松園の二人展は、20年ほど前、富山で開かれて以来のことらしい。清方45件、松園30件の豪華な展示となっている。会場に入ると、まず、松園の初期作品がずらり。そして、ほぼ年代順に展示され、中ほどに、”花がたみ”と”楊貴妃”が現れる。清楚な理想美の女性が売り物の松園さんには珍しい異色作。前者は謡曲に取材した狂気を帯びた妖艶な女性で、後者はおっぱいが透けてみえる楊貴妃。これに”焔”が加われば、大満足だが(爆)。
”昭和10年代からの松園は、それまでの「姉様あそび風」から造形的な絵画性を取り入れた画面になってくる”という草薙先生のお話を思い浮かべながら、後半を観る。”晩秋”などを観て、なるほどと思う。簾も女性も美しい”夕暮”。眉毛をそった美人”青眉”。これぞ、松園美人といった作品がつづく。
清方作品は、鎌倉からのものが多く、やあ、平塚の親戚に遊びにきてるんだね、といった感じでみて回る。これも鎌倉のものだが、”築地明石町”の下絵をみつけた。切手にもなった、清方の代表作だが、本絵は数十年、どの展覧会にも出てこないそうだ。どうしたのだろう、と先生も不思議がっていた。当分下絵でがまんするしかない。”朝涼(あさすず)”も何度もみている。これは、清方の会場芸術か卓上芸術かの悩みか、はたまた恋の悩みか(笑)、数年つづいていた悩みの吹っ切れた作品とのこと。ほお、そういわれれば、たしかに涼やかだ(笑)。その悩みを抜け出す前の作品が、”春の夜のうらみ”。何かをうらんでいたのだろうか。両作品ははす向かいに展示されている。
横浜美術館でみて、気に入っていた”遊女”が屏風の中で寝転んでいた。清方作品の女性にはどれもほのかなお色気があるが、妖艶というほどのお色気となると、福富コレクションだ。今回はお出ましがなく、ちょっぴり残念。
”今私がしきりと描きたいものは、昭和半ばまでの市人のおだやかな暮らし、それは、もう二度とめぐってこないようにさえ思われる”清方の言葉だが、そんな風情の絵がぼくは大好き。これも鎌倉のもので、何度も観ているが、画巻”朝夕安居”もそう。夕涼みしたり、美女の行水など、何気ない風景が、何ともなつかしい気持ちにさせてくれる。鰯売りの少年とおかみさんを描いた”鰯”(国立近代美術館)もよかった。
市制80周年記念の展覧会ということだが、それに相応しい松園・清方展であった。
ちらしは、ふたつ折りで、展示品の写真も多く載せている。加えて、いろいろな解説図もあり、まるで、ミニ図録のようだ。以下、いくつか、紹介しておこう。
・・・・・
ちらし表紙。左:松園の”花見” 右:清方の”朝涼”
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裏表紙。上左から順に、松園のふり袖、夕暮れ、長夜。(右中が)つれずれ。
中左から順に、清方の襟おしろい、教かい。下左から寮の春雨、春の夜のうらみ
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松園と清方は何に学び、どの部分を引用しているか。
松園の花がたみ/応挙の小野小町図
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清方の権八小紫/歌川豊国の権八小紫
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・・・
松園
娘
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晩秋
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楊貴妃
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清方
鰯
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朝夕安居(1)
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朝夕安居(2)
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遊女 (撮影可能な横浜美術館で撮ったもの)
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その日、ちょっと寄り道をして、美術館に到着したのが午後2時前。それがちょうどよかった。草薙奈津子館長の講演会が始まるところだったのだ。運もよかった、あとわずかの席だった。松園と清方の作風の変遷など専門的な説明のほか、展覧会を開く裏話とか、面白い話が盛りだくさんで、そのあと、作品を鑑賞する上で、とても参考になった。
清方も松園も、ぼくにとっては、お馴染みさんで、とくに清方は、地元の鎌倉に、鏑木清方記念美術館があるので、展示替えごとに寄っている。一方、松園は京都の方だから(笑)、そうもいかないが、山種美術館の”松園展”は必ず観ているし、序の舞、焔などの名作も芸大美術館やトーハクなどで何度かみている。
東西両横綱ともいうべき清方、松園の二人展は、20年ほど前、富山で開かれて以来のことらしい。清方45件、松園30件の豪華な展示となっている。会場に入ると、まず、松園の初期作品がずらり。そして、ほぼ年代順に展示され、中ほどに、”花がたみ”と”楊貴妃”が現れる。清楚な理想美の女性が売り物の松園さんには珍しい異色作。前者は謡曲に取材した狂気を帯びた妖艶な女性で、後者はおっぱいが透けてみえる楊貴妃。これに”焔”が加われば、大満足だが(爆)。
”昭和10年代からの松園は、それまでの「姉様あそび風」から造形的な絵画性を取り入れた画面になってくる”という草薙先生のお話を思い浮かべながら、後半を観る。”晩秋”などを観て、なるほどと思う。簾も女性も美しい”夕暮”。眉毛をそった美人”青眉”。これぞ、松園美人といった作品がつづく。
清方作品は、鎌倉からのものが多く、やあ、平塚の親戚に遊びにきてるんだね、といった感じでみて回る。これも鎌倉のものだが、”築地明石町”の下絵をみつけた。切手にもなった、清方の代表作だが、本絵は数十年、どの展覧会にも出てこないそうだ。どうしたのだろう、と先生も不思議がっていた。当分下絵でがまんするしかない。”朝涼(あさすず)”も何度もみている。これは、清方の会場芸術か卓上芸術かの悩みか、はたまた恋の悩みか(笑)、数年つづいていた悩みの吹っ切れた作品とのこと。ほお、そういわれれば、たしかに涼やかだ(笑)。その悩みを抜け出す前の作品が、”春の夜のうらみ”。何かをうらんでいたのだろうか。両作品ははす向かいに展示されている。
横浜美術館でみて、気に入っていた”遊女”が屏風の中で寝転んでいた。清方作品の女性にはどれもほのかなお色気があるが、妖艶というほどのお色気となると、福富コレクションだ。今回はお出ましがなく、ちょっぴり残念。
”今私がしきりと描きたいものは、昭和半ばまでの市人のおだやかな暮らし、それは、もう二度とめぐってこないようにさえ思われる”清方の言葉だが、そんな風情の絵がぼくは大好き。これも鎌倉のもので、何度も観ているが、画巻”朝夕安居”もそう。夕涼みしたり、美女の行水など、何気ない風景が、何ともなつかしい気持ちにさせてくれる。鰯売りの少年とおかみさんを描いた”鰯”(国立近代美術館)もよかった。
市制80周年記念の展覧会ということだが、それに相応しい松園・清方展であった。
ちらしは、ふたつ折りで、展示品の写真も多く載せている。加えて、いろいろな解説図もあり、まるで、ミニ図録のようだ。以下、いくつか、紹介しておこう。
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ちらし表紙。左:松園の”花見” 右:清方の”朝涼”
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裏表紙。上左から順に、松園のふり袖、夕暮れ、長夜。(右中が)つれずれ。
中左から順に、清方の襟おしろい、教かい。下左から寮の春雨、春の夜のうらみ
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松園と清方は何に学び、どの部分を引用しているか。
松園の花がたみ/応挙の小野小町図
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清方の権八小紫/歌川豊国の権八小紫
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松園
娘
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晩秋
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楊貴妃
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清方
鰯
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朝夕安居(1)
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朝夕安居(2)
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遊女 (撮影可能な横浜美術館で撮ったもの)
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