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横浜の神奈川近代文学館で”神奈川と作家たち/第三部 太宰治、三島由紀夫から現代まで”展が開かれている。没後40年記念として三島由紀夫特別コーナーも設けられている。そういえば、命日は明日、11月25日である。鎌倉文学館でも川端・三島展をみてきたばかりで本ブログでも紹介しているので、ダブルところも多いので簡単にしたい。”金閣寺”の200冊限定本のひとつが展示されていたが、本人が”成金趣味の金ぴか本”といったように、三方金色のはでな装幀であった。古本市場では相当な値がつくだろう(笑)。三島は演劇、映像にも関心をもち、実際台本なども書いた。”黒とかげ”とか”春の雪”などのポスター、パンフなどの展示もあった。
三島は、神奈川ゆかりの作家とはいっても、たいした”ゆかり”はなく、横浜や鎌倉を作品の舞台にしたとか、箱根に新婚旅行に行ったくらいである(笑)。太宰治もそうで、戦前、鎌倉で心中事件を起こしたり、”斜陽”のモデルになった太田静子が住む小田原の下曽我に滞在した程度である。その斜陽や人間失格、、未完の”グッドバイ”の原稿が展示されている。
鎌倉ゆかりの作家としては、明月谷に住んでいて、現在、浄智寺に眠っている澁澤龍彦がいる。これも鎌倉文学館で彼だけの展覧会があって、このブログでも紹介しているので詳しいことはそちらでどうぞ。イタリアのサンジャミニアーノでの彼の写真があった。ぼくも行ったことがある。飛行機がきらいで、これが初めての海外旅行だったらしい。船は好きだったのだろうか、”高丘親王航海記”の著作がある(笑)。自宅の書斎とサロンの写真があったが、彼の著作から抜け出たような華やかなものだった。瀟洒な家だったらしい。柳美里も、横浜育ちだが、現在、鎌倉に住んでいる。芥川賞受賞作”家族シネマ”等の作品や”ゴールドラッシュ”の原稿が展示されていた。
ぼくは川崎が第二の故郷だから、その地にゆかりのある作家には関心がある。庄野潤三も川崎北部の生田ですごし、当時はまだ住宅地として開発されておらず、多摩丘陵の静かな山の上で暮らしていたらしい。その頃の、”丘の明り”、”さくらんぼジャム”、”野菜讃歌”などの作品も展示してあったが、読んでみようと思う。島田雅彦も川崎で育ち、今も川崎のどこかで住んでいるようだ。芥川賞候補に5、6回なり、落選ばかりしていたが、最近、芥川賞の審査員になったというから面白い。ぼくの高校の後輩でもあるので、以前から関心をもっていた。ぼくと、同様、とてもイケメンです(爆)。
そのほか、石原慎太郎(逗子)、五木寛之(横浜)、村上龍(箱根の別荘)、開高健(茅ヶ崎)、山本周五郎(横浜)、安部公房(箱根の山荘)、坂口安吾(小田原)、大岡昇平(大磯、鎌倉)、島尾敏雄(横浜、茅ヶ崎)と、ぼくも若いときによく読んだ、錚々たる作家たちが名を連ねている。
ちょっとミーハー的な感想になってしまったが、美術展と違って、文学展は、ぼくは、いつも、そういう見方になってしまう(汗)。それはそれで楽しいものだ。
文学館前の芸亭(うんてい)の桜が、余り紅くはなっていなかったが、さくら紅葉になっていた。
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