'07.02.16 Tと『ブラザーズ・オブ・ザ・ヘッド』@シネマライズ
これ気になってた。「1975年イギリス。結合性双生児(シャム双生児)のトムとバリーはロックバンドのギターとヴォーカルとしてデビューする。彼らはその音楽性と特異性とで人気を得るが・・・」という話。この映画が変わっているのはドキュメンタリーとして描いていること。これが良く出来ていて、知らないで見ると実話だと思うかも。実際Tはそう思っていたし、知ってて見ても錯覚したほど。
ドキュメンタリーを見るのは好きだけど、主題となっている人や出来事やモノに興味がないと、かなり面白く作っていないと退屈してしまう。そもそもドキュメンタリーを見るというのは対象に興味があるからだし・・・。ドキュメンタリー映画として撮っているので関係者へのインタビュー映像なども出てくるけどそれが本物っぽくて良く出来ている。
双子のトムとバリーは社会から隔離されて育った。バリーは人から愛されないことでイラ立ちいつも攻撃的。それがヴォーカルとしてパンキッシュな魅力となった。トムは繊細で冷静なタイプだけど怒りを秘めていた。それは多分本人も意識していないもの。2人の若者のその怒りのエネルギーが妖しい魅力となって人々の心を捉えていく。もちろん残酷ではあるけどフリークスへの興味であることも彼らには分かっている。でもフリークスでなくても一般人がミュージシャンや芸能人を見る目はどうせ見世物感覚だろうという皮肉もある気もする。
いくら兄弟とはいえ生まれてからずっと文字通り一緒というのはどんな気持ちなのだろう。知り合いの双子によるともう1人自分と同じ(ような)人間がいるのもいいものだと言っていたけど、それはもちろん彼ら2人が別の人間でお互い自由だから。お風呂に入る時も、眠る時も、恋人と愛し合う時も2人は離れることが出来ないのだ・・・。2人を取材していたローラがトムに恋して、愛し合う2人の横で眠るバリー。体の一部は共有しているのだからバリーにも興奮はあるだろう。これは残酷。でも愛し合う2人が肉体的に愛し合えないのも辛いことではある。
トムとバリーは次第に離れたいと望むようになる。バリーがローラを陥れたとされるあの手紙も、根底には離れたいというバリーの願いもあったのだろう。でも、その反対に離れたくない気持ちもどこかにあったように思うのは、想像力がたくまし過ぎるかな? いつも一緒にいる存在をうっとおしく思う時もあるけど、いなくなってしまったら無性に寂しく、恋しく思う。その感じは誰でも経験したことがあると思う。ましてトムとバリーは体の一部を共有しているのだから・・・。
音楽的にも私好み。1975年といえばTHE CLASHもSex PistolsもTHE JAMもまだデビューしていない。曲調もそうだけどバリーのがなる歌い方はそのままパンク。彼らがパンクムーブメントの先駆けでもあったような描き方でROCK映画としても面白い。パブのライヴシーンもいい。ホントのライヴ映像みたい。音も大きくてかっこよかった。THE BANG BANGってバンド名はいかがなものかと思ったけど(笑)
トムとバリーは当時のROCKの人たちや若者たち同様DRUGにおぼれていく。そして悲劇へと向かっていく。あまりに重く悲しい運命。ドキュメンタリー映画のインタビューとして過去の話しとして描かれているので冷静に見れた。普通に2人の苦悩の話をずっと見せられていたら重過ぎるかも。2人が不幸のスパイラルに落ち込んでいく映像の合間に、現代の関係者が淡々と語る映像が入る。それで一瞬緊張が抜ける感じで、感情移入し過ぎないで見られた。その比重もいいと思う。医師へのインタビューなども入ったりして2人の存在がリアルになって、ドキュメンタリーとしても良い出来になっている。かえってそれで2人の悲劇が浮き彫りになる。
『ブラザーズ・オブ・ザ・ヘッド』というのはバリーの頭の中の腫瘍(胎児)のこと? それとも悪い夢を見させるという空想上の存在のこと? それともお互いの存在のことなのか?
2人の育った岬の家の暗い荒涼とした感じも良かったし、ライヴ映像も、彼らを追った取材映像みたいのも全部本物っぽくてよかった。重かったけど良かった。
『ブラザーズ・オブ・ザ・ヘッド』

ドキュメンタリーを見るのは好きだけど、主題となっている人や出来事やモノに興味がないと、かなり面白く作っていないと退屈してしまう。そもそもドキュメンタリーを見るというのは対象に興味があるからだし・・・。ドキュメンタリー映画として撮っているので関係者へのインタビュー映像なども出てくるけどそれが本物っぽくて良く出来ている。
双子のトムとバリーは社会から隔離されて育った。バリーは人から愛されないことでイラ立ちいつも攻撃的。それがヴォーカルとしてパンキッシュな魅力となった。トムは繊細で冷静なタイプだけど怒りを秘めていた。それは多分本人も意識していないもの。2人の若者のその怒りのエネルギーが妖しい魅力となって人々の心を捉えていく。もちろん残酷ではあるけどフリークスへの興味であることも彼らには分かっている。でもフリークスでなくても一般人がミュージシャンや芸能人を見る目はどうせ見世物感覚だろうという皮肉もある気もする。
いくら兄弟とはいえ生まれてからずっと文字通り一緒というのはどんな気持ちなのだろう。知り合いの双子によるともう1人自分と同じ(ような)人間がいるのもいいものだと言っていたけど、それはもちろん彼ら2人が別の人間でお互い自由だから。お風呂に入る時も、眠る時も、恋人と愛し合う時も2人は離れることが出来ないのだ・・・。2人を取材していたローラがトムに恋して、愛し合う2人の横で眠るバリー。体の一部は共有しているのだからバリーにも興奮はあるだろう。これは残酷。でも愛し合う2人が肉体的に愛し合えないのも辛いことではある。
トムとバリーは次第に離れたいと望むようになる。バリーがローラを陥れたとされるあの手紙も、根底には離れたいというバリーの願いもあったのだろう。でも、その反対に離れたくない気持ちもどこかにあったように思うのは、想像力がたくまし過ぎるかな? いつも一緒にいる存在をうっとおしく思う時もあるけど、いなくなってしまったら無性に寂しく、恋しく思う。その感じは誰でも経験したことがあると思う。ましてトムとバリーは体の一部を共有しているのだから・・・。
音楽的にも私好み。1975年といえばTHE CLASHもSex PistolsもTHE JAMもまだデビューしていない。曲調もそうだけどバリーのがなる歌い方はそのままパンク。彼らがパンクムーブメントの先駆けでもあったような描き方でROCK映画としても面白い。パブのライヴシーンもいい。ホントのライヴ映像みたい。音も大きくてかっこよかった。THE BANG BANGってバンド名はいかがなものかと思ったけど(笑)
トムとバリーは当時のROCKの人たちや若者たち同様DRUGにおぼれていく。そして悲劇へと向かっていく。あまりに重く悲しい運命。ドキュメンタリー映画のインタビューとして過去の話しとして描かれているので冷静に見れた。普通に2人の苦悩の話をずっと見せられていたら重過ぎるかも。2人が不幸のスパイラルに落ち込んでいく映像の合間に、現代の関係者が淡々と語る映像が入る。それで一瞬緊張が抜ける感じで、感情移入し過ぎないで見られた。その比重もいいと思う。医師へのインタビューなども入ったりして2人の存在がリアルになって、ドキュメンタリーとしても良い出来になっている。かえってそれで2人の悲劇が浮き彫りになる。
『ブラザーズ・オブ・ザ・ヘッド』というのはバリーの頭の中の腫瘍(胎児)のこと? それとも悪い夢を見させるという空想上の存在のこと? それともお互いの存在のことなのか?
2人の育った岬の家の暗い荒涼とした感じも良かったし、ライヴ映像も、彼らを追った取材映像みたいのも全部本物っぽくてよかった。重かったけど良かった。
