・*・ etoile ・*・

🎬映画 🎨美術展 ⛸フィギュアスケート 🎵ミュージカル 🐈猫

【cinema】『ハンサム★スーツ』(試写会)

2008-10-27 01:19:16 | cinema
'08.10.20 『ハンサム★スーツ』(試写会)@ニッショーホール

バカ映画の予感がしてyaplog試写会に応募。当選した。

「定食屋を営む大木琢郎。料理の腕は良く、心優しい好青年。だけどブサイク。33年間女性にフラレてばかり。バイト募集に応募してきた寛子。美人で性格の良い寛子は琢郎にも優しく接してくれる。彼女に恋した琢郎は告白するもフラレてしまう。失意の琢郎は着るだけでハンサムになれるハンサム・スーツを手に入れるが・・・」という話。う~ん。これは・・・。試写会に招待していただいておきながら心苦しいのだけど、正直あまり・・・。ストーリー自体は王道でオチも想像がつくし、意外な事実も上映後「心にしまっておいてほしいこと」というチラシを頂いたけれど、すぐに分かってしまった。何より笑わせようとしているシーンが、ほとんど笑えなかった。もちろん笑えるところもあったのだけど、中条きよしが「すいませんハンサムで」と言ったり、温水洋一が出てくるところとか(笑) でも、それって2人のキャラというか、ぬっくんはある意味出オチだし。その辺りの事もふまえて書かれた脚本なのであれば、それはスゴイと言えるのでしょうが・・・。まぁ、笑っている人もいたので、私が合わないだけかもしれないけれど。

見てみたいと思った理由は、塚地がハンサム・スーツを着て谷原章介になるという発想がおもしろかったから。正確には"谷原章介"という人選が絶妙だなと思ったから。谷原章介って確かにハンサムであって、イケメンではない。なんとも昭和な香り。見ている側に「ハンサム・スーツを着たのに谷原章介なんだ(笑)」と思わせる感じはいいかなと。ってスゴイ失礼かな? その辺りの感じは生かされていて、無敵のハンサム光山杏仁はモデルとして大成功するけど、中身は琢郎なので三枚目キャラなことに説得力があるのは谷原章介だからだと思う。ホメればホメるほど落としてる気がする・・・。ごめんなさい

人は見た目で判断されてしまうのか?とか、見た目しか重要じゃないのか?ってことがテーマで、もちろんそんなことはないのは確か。でも琢郎が「ブサイクというだけで自分の中身なんか知ろうともしてもらえない」と言うのも、美人アルバイトの寛子が「自分の外見ばかり好きになって中身を見てもらえない」というのも、まぁ真理ではあると思う。"本当の自分"なんて自分だって良く分からないし、まして相手の事なんて知ろうと思わなければムリだし。しかも相手が見せてくれなければ、見れるものでもない。相手の事を知ろうと思うのは、その人の事が気になって知りたいと思うから。それには第一印象が大切になる。だけどそれはブサイクだからでも、美人だからでもないとは思うけれど・・・。

確かに生まれついての美醜というのはあるかもしれない。だけど、それも人の価値観だし、人間の価値はそれだけではない。個人的には「30過ぎたら自分の顔に責任を持て」という言葉が好き。自分の顔は自分が作り上げるということ。オリンピックのメダリスト達は全員が美男美女というわけではないけれど、皆いい顔をしている。それは切磋琢磨して自分を鍛え、目標を達成したから。それはフツーのOLにだって言えること。いい顔している人のことは気になるハズ。琢郎はいい顔していたからこそ、友人がたくさんいるのだけど、それには気づかない。女性にモテないのは、女性に対する時自信が持てないからかも。もちろん自分に自信なんてなかなか持てないし、1人よがりの自信満々な人なんて魅力的じゃないけれど。その辺りをもう少し掘り下げて欲しい気はするけれど、伝わってこないことはない。

琢郎は光山杏仁となって超売れっ子モデルになるけれど、杏仁でいる時のモテモテぶりや、琢郎の時のこてんぱんぶりは少しやり過ぎではあるし、そこで笑いを取ろうとしているのであれば、空回りしている感じもする。でも、琢郎が最後に"本当に大切なもの"に気づくためには、こういう対比は有効だとは思うけれど。琢郎が大切なものに気づく重要人物として、本江という人が出てくる。森三中の大島が演じている事でも分かるとおり容姿には恵まれていない。でも持ち前の明るさと、気立ての良さで店の常連客や琢郎の心を掴んでいく。"人は見た目じゃない"という事の象徴は琢郎よりもむしろ本江の方。本江はもう嫌味なくらいいい人(笑) でもイヤじゃないのは大島によるものかも。さすが脚本の鈴木おさむはダンナだけあって彼女の個性を生かしている。

俳優さんたちは全体的には可もなく不可もなくという感じ。正直、本上まなみの演技が気になったけれど、役柄的にも好きではなかったので仕方ないかも。谷原章介は頑張っていたと思う。この役すごく損だと思うし。今さらショーのクライマックスで大スピーチする年齢でもないと思うし(笑) キャラありきの気はするけれど、塚地は良かったと思う。

いろいろ書いてきたけれど、正直そんなに深々と考える映画ではないのだと思う。何度も書いているけれど「人は見た目?」というテーマはあるけれど、やりたかったのはコメディーなんだと思う。でも、それがあまり笑えなかったのが残念。でも、それはあくまで私の意見。お笑いが好きだから、笑いに関してはハードル高いので(笑) それにこれ結局は一周回って"見た目"ってことになってる気が・・・。まぁ、もういいか(笑) あまりいろい考えずに笑える作品が見たいという人にはいいかもしれない。

試写会前に"My Revolution"がイヤというほどかかっていたけど、テーマソングだったらしい(苦笑) エンドロール後におまけ映像もありです。


『ハンサム★スーツ』Official site


こんなのあった

ハンサム・スーツ(写真提供baru)

コメント (9)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【cinema】『行け行け! インド』

2008-10-27 01:07:00 | cinema
'08.10.19 『行け行け! インド』@TOHOシネマズ六本木ヒルズ

10/18から開催中の第21回東京国際映画祭アジア部門招待作品。baruからのお誘い。baruのお友達でインド映画大好きなKちゃんと3人で鑑賞。

「ホッケー・インド代表チーム主将だったカビール。彼のPKが外れ宿敵パキスタンに敗戦。試合後、相手選手と握手を交わしている写真が報道され、彼が八百長をしたのではないかと誤解され、ホッケー界から追放されてしまう。7年後、協会でさえお飾りと考え、勝利を期待されていない女子ホッケー・チームのコーチに就任するが・・・」という話で、これはスポ根もの。恋愛シーンはほとんど出てこない。なので歌わないし、踊らない。ストーリー展開もオチもほぼ読める王道。でも、そこはインド映画ゆえの大仰さや、インド独特の習慣などと相まって、とっても楽しめる作品になっていた。そもそも王道なのって悪いわけじゃないし、分かりやすくおもしろいからこそ王道なのだし。

とにかく、驚いたことには選手達は皆サリーなど着ていない。もちろん練習シーンや試合シーンではユニフォーム姿なのは当然だけど、世界大会のパーティーでイヤイヤ着たくらい。そして皆意外に露出が多くて細い。インド美人といえばムチムチ・ボディに色鮮やかなサリーをまとい、バッチリメイクをほどこした印象。まぁ、アイラインはほぼ皆バッチリだったけど(笑) それにしても、こちらがドキドキしてしまうほどのミニスカート姿でのプレー。まぁ、日本人や欧米人にとっては普通だけど。でも、それだけに禁断のものを見てしまったような気になって、ちょっと男子の気持ちが分かったりする(笑) よく分からないけれど、その辺りは少しゆるくなっているのかもしれない。

ストーリー的にはホントにお約束どおり。チームのためにあえて憎まれ役となる鬼コーチ。反発する選手。ただ1人コーチを理解し慕う選手(ただし恋愛はなし) 選手同士の軋轢。そして全てを乗り越えた先には・・・。問題自体もオチも想像通り。なのでこれはストーリーそのものよりも、これがインドの映画であることを楽しむべき。上映後、監督によるティーチ・インが行われた。通訳のミシェルさんの日本語が流暢すぎてビックリしたのは余談だけど、楽しかった。客席からの質問に丁寧に答えてくれた。日本人としてはあまり理解しにくいのだけど、インドには"州"という意識が強いらしく、選手達も"国"を代表する以前に"州"の代表として参加したという感覚らしい。選手達の軋轢もそんなところから来ている部分がある。冒頭コーチのカビールが相手選手と握手したシーンが問題となることも、これは相手がパキスタンである事が問題なのだそう。たしか、インドとパキスタンは元は同じ国だったはず。後に分裂し、両国の間のわだかまりは残されたまま。握手を求めてきた選手も、応じたカビールもスポーツマンとして立派な態度だと思うけれど、国のそういう事情がカビールを裏切り者としてしまう感じは怖い。ただ、これは褒めているのだけど、そんな悲劇的なシーンでさえインド・テイストだと重すぎず入ってくるのがいい。すごく悩んでいるのに、どこか「きっと大丈夫だろう」と思わせるインド人気質みたいな・・・。上手く言えないけど。

女性はやはり少し差別的な扱いのよう。でも『オフサイド・ガールズ』のように法や宗教的な拘束力のものではないようだ。前にも書いたけれど、服装に制限があるわけでも、男性の試合を女性が見てはいけないという事もない。世界大会出場を賭けたとはいえ男子チームと試合もしている。おそらく以前はもっと厳しかったのだろうし、今でも地方によっては習慣として残っているところもあるのだろうとは思うけれど、少なくともこの映画ではそういう表面的なものは無くなっている。ただ、古い考え方に縛られた人達はやはり多いようで「女に何ができる」という差別となっている。とういうことは差別自体に明確な根拠があるわけではないらしい。昔からの固定観念が拭い去れていないという感じ。でも、アメリカだって結局は女性大統領の誕生は見送られた事を考えると、未だに「女に何ができる」と思っている人は多いのかも。まぁ、個人的には面と向かってそんな事を言われたら、腹立たしくも思うだろうけれど、出来ると主張するものもないし、あんまり頑張るのも疲れるし・・・。こんな考えの人がいるからダメなのかもしれないけど(笑) でも、州代表チームの主将やスター選手には、それなりのプライドがある。だから彼女達がコーチに素直になれない気持ちも分かる。

監督がこの映画を撮ろう思ったきっかけは、実際に世界大会で優勝した女子ホッケー・チームを扱った記事がとても小さかった事に違和感があったからだそう。ミッシェルさんの通訳によると「こんなに小さいのかよ!」と思ったとのこと(笑) 余談ですが。そこに疑問を持ったのは、映画の題材としておもしろいと思った側面もあるとは思うけれど、少なくとも監督は「女に何が出来る」とは思っていないのでしょう。だから、ケンカっ早かったり、プライドが高すぎたり、地方出身過ぎて言葉が通じなかったりと、個性的な選手達のおかげでなかなかまとまらないチームの、それらは1つ1つ解決していくのに、FWのプリティとコーマルの意地の張り合いだけは未解決。コーマルはまだ少女という感じで、明らかに年上のプリティが大人になって譲り、丸く収まるのだろうと思っていたら、意外にも・・・。それはプリティが譲れない理由が「女に何が出来ると思っているある男を見返したいから」というものだったから。ある男というのは男子クリケット・チームの副主将で彼女の婚約者。なので一見個人的な感情に思うけれど、これはチーム全体が闘ってきた偏見でもある。だからコーマルも譲ったのだろう。このシーンは感動的。

この映画が描きたいのは女性に対する偏見と、パキスタンとの微妙な関係ゆえスポーツマンシップでさえ歪めて捉えてしまう人々の偏見なのだろうと思う。偏見をなくすには結果を出す事が必要なのだということ。それは別にインド代表チームにいなくても、フツーのOLにも言えること。そんな視点もあったのかというような驚きはないものの、やっぱり王道ストーリーは感動するのだと思う。インド国内で大ヒットしたものの、海外ではインド・コミュニティーでしか上映されていないというこの作品。初めてインド系以外の人向けに上映されたのだそう。この映画祭以外で見られる機会があるのか不明だけれど、スポ根もののインド映画もなかなか良かった。ホッケー・シーンの迫力がすごくて映像もいい。インド的と思われる見所としては、

◆インドNo.1人気のシャー・ルク・カーン主演(ただし踊らず)
◆シャー・ルクが雨でびしょ濡れになりウルウル涙目に
◆マックで大乱闘するも全くお咎めなし(お別れランチがマックなのもツボ)
◆大乱闘後、シャー・ルクを先頭に行進、しかもスロー
◆スローを多用、そして大袈裟なアテレコ
◆バージョン違いで何度も大仰にかかる"Chakde! Indeia"(行け行け! インド)

あたりかと・・・。個人的にはシャー・ルクがかけてるティアドロップスが気になる!

というわけで、インド的要素を味わいつつ、ちょっぴり感動したりして楽しめた。歌って踊ってがないと・・・という人も楽しめると思う。歌って踊ってのシーンは、そもそもラブシーンが撮れないため、感情の高ぶりを歌い踊って表現していたはず。それを使わなくても表現できるようになったということもそうだろうし、恋愛はほとんどないし。でもインドらしい個性は出てた。

上映後のティーチ・インで丁寧に真剣に答えてくれたシミト・アミーン監督は穏やかなのに熱く燃えているタイプ。この映画もそんな映画だった。


東京国際映画祭『行け行け! インド』


シミト・アミーン監督(左)

ティーチ・イン中の監督

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする