録画しといた『マイヤーリング』見た!「うたかたの恋」のテレビ映画。オードリー・ヘプバーンの初々しさがいい!オードリーの演技ちょっと苦手だけど、この作品には合ってると思う!75分と短いのでアッサリしてるけど、逆にそれがよかったかも?生放送されたらしいけど、スゴイね!
昨年デジタルリマスター版が公開されて話題になった作品。見たかったのだけど、見逃してた・・・ WOWOWで放送されたので録画しておいた。ちょっぴり温めちゃったけど、見てみたー
ネタバレありです!結末にも触れています!
「父親との確執に悩むオーストリア・ハンガリー帝国の皇太子ルドルフ。その孤独感から女性との噂が絶えなかった。スペインから妃を迎えるも不仲。そんな中、16歳の無垢な男爵令嬢マリー・ヴェッツェラと出会う・・・」という感じで、これは実際に起きた"マイヤーリング事件"を題材にした小説を原作とした、テレビ映画。これはなかなか良かった。
まずは元ネタとなった"マイヤーリング事件"のことから書いておこうかな。1889年1月30日オーストリア・ハンガリー帝国のマイヤーリングで、皇太子ルドルフ(Wikipedia)と、その愛人と噂されていた男爵令嬢マリー・フォン・ヴェッツェラ(
Wikipedia)が謎の死を遂げた事件。フランツ・ヨーゼフ1世と、あのエリーザベト皇妃との間に生まれたルドルフは、幼い頃から両親と引き離され、厳格な祖母ゾフィーのもとで育てられた。教育係のレオポルド・ゴンドレクールは体罰などを用いた軍事教練まがいのスパルタ式教育を実施。この教育により、ルドルフは暴力的で神経過敏かつ虚弱体質の、恐怖心の強い子供となった。見かねたエリーザベトが親権を取り戻し、7歳から教育を受けたヨーゼフ・ラトゥール・フォン・トゥルンベルクは、その頃オーストリア・ハンガリー帝国の思想基盤であった自由主義思想を持っていたため、ルドルフも影響を受けた。要するに自由主義の暴力的で、神経過敏な虚弱体質の皇太子が出来上がってしまったということで、やっぱり子供の頃にどんな教育を受けるか、愛情を知らずに育つことの不幸ってあるなと思う・・・ 虚弱体質など持って生まれた性質もあるとは思うけれど、その後の人格形成に大きく影響を与えてしまうからねぇ・・・ 父親のフランツ・ヨーゼフ1世はとにかく多忙で、また自由奔放な母エリーザベトはハンガリーを愛し、ほぼオーストリアに居ない状態。2人には2人の立場があるし、そうしなければ自身が保てない部分もあったとは思うけれど、より孤独を深めてしまったルドルフは、数多くの女性と浮名を流したらしい。その多くが娼婦だったようだけれど、中でも一番のお気に入りだったのは高級娼婦だったミッツィ・カスパルで、実はルドルフは彼女と心中したかったのではないかとも言われている。また、最後の皇后ツィタが1983年3月11日に63年の亡命生活を終えてウィーンに戻った後に、タブロイド紙「クローネン・ツァイトゥング」に、2人は情死ではなく暗殺されたのだと告白したらしい。ただし、この件は第一次世界大戦勃発によりうやむやになったままなのだそう。うーん・・・ 解明して欲しいような、欲しくないような・・・
このマイヤーリング事件を元に1930年、フランスの作家クロード・アネが「うたかたの恋」(Wikipedia)という小説を書いた。この小説は何本か映画化されてきたけれど、一番有名なのはカトリーヌ・ドヌーブ主演作品かな? ただし、こちらはミシェル・アーノルドという方の「親王(原題:L'Archiduc)」も原作としているそうだけれど・・・ 自身はドヌーブ主演も含めて未見。マイヤーリング事件自体は知っていたけど、小説も未読なので、今作で初めて詳細を知ったという感じ。tweetにもチラリと書いているけれど、今作は1957年2月4日に、アメリカNBCテレビの「プロデューサーズ・ショーケース」の内の1本として生放送されたのだそう! 全体として75分あるけれど、本放送ではおそらくCMなどのインターバルが入ったらしく、途中で2回ほどタイトルと主演がオードリー・ヘプバーンであるというナレーションが入る。生放送だったため幻の作品と呼ばれていたのかな? 今作は、当時の録画方法である、ブラウン管の放送をフィルムで記録した映像のため、本放送はカラーだったけれど、モノクロとなっている。カラーの画像を見つけたけど、オードリーのドレスの色が想像と違っていてビックリ! しかし、いくらインターバルが2回入るとはいえ、ドラマを生放送ってスゴイね! まぁ、舞台も同じか(o´ェ`o)ゞ でも、舞台と違ってアップがあったり、カメラ目線などもあるわけだしね・・・
と、だいぶ前置きが長くなったのだけど、今作の感想を書きたいと思った理由が上記を備忘録として残しておきたかったからなので、しかたなし(o´ェ`o)ゞ 前述したとおり、今作はクロード・アネの「うたかたの恋」のテレビ映画化作品なので、実際の"マイヤーリング事件"とは異なる部分もあるだろうし、脚色されている部分も多々あるとは思う。でも、これはあくまで『マイヤーリング』というテレビ映画の感想なので、実際どうだったかは別として感想を書こうと思う。
映画は自身の結婚話に不満をもらすルドルフ皇太子の場面から始まる。今作の中でも皇太子が酒場に頻繁に現れたり、女性関係が奔放であったりというような描写はあるけれど、どちらかといえばそれが自由を求めるが故であり、ルドルフの美徳とまえでは言わないけれど、孤独感や真実の愛を求めているというような描かれ方をしている。父親であるフランツ・ヨーゼフ1世は、そんなルドルフの姿を憂い、厳しい態度をとってしまい、ルドルフはより孤独を深めていく。ルドルフは亡くなった時31歳だったので、やや子供っぽい印象ではあるけれど、皇太子という中途半端な位置で、偉大な父親に疎まれ、愛してもいない女性と結婚しなければならないのは、ちょっと気の毒。
ある日、街に出たルドルフは可憐な少女マリーと出会う。彼女の純真さに惹かれるも、その時には名前も聞かずに別れてしまう。ルドルフが好むと好まざると、ベルギー王レオポルド2世の次女ステファニーと結婚することになる。この妃との間にはエリーザベト王女が誕生しているそうだけれど、映画ではその辺りは描かれていなかったと思う。実際、夫婦仲は悪かったらしく、映画でもそのように描かれている。映画では、2人の結婚祝いの舞踏会でマリーと運命の再会を果たすことになる。この時までマリーは、あの日あった男性が皇太子だったとは気づいていなかった様子。ありがちな展開ではあるけれど、やっぱりこれは王道ラブストーリーで、悲劇なのだから出会いはドラマチックでなければね!
実際もそうだったようだけれど、2人の仲をとりもったのは、母エリーザベト皇妃の従姉ラリッシュ伯爵夫人。洋の東西を問わず、歴史モノの映画やドラマを見ていると、娘を権力者の愛人にして権力を得るというような話はよく出てくる。実際、大奥などはそういう場所だったし・・・ 女性としては複雑だけど、身分高く生まれたからといって、女性が自立して生きることの難しかった時代、婚姻には今とは違った側面があったのかもしれない。21世紀の現在だって、結婚したから幸せになれるというものではないと思うし。大恋愛の末に結ばれようが、政略結婚だろうが、その後幸せになるか、不幸になるかは本人次第。まぁ、結婚もしていないのにエラそうですが(o´ェ`o)ゞ 熱弁をふるっているうちに、言いたいことからちょっと逸れてしまった たしか、ラリッシュ夫人とお思われる人物が、娘がいたらルドルフに取り入るのにというようなことを言っていて、ルドルフがマリーに惹かれているのを見て、してやったり的な描写があったように思ったので・・・ 自分の家の娘でなくても、仲を取りもつだけでも、自分の地位が上がるということかな?
当然ながらこの恋は祝福されない。実際の2人はどうだったのかは不明。案外現実の方がおおらかだったりするかも? 映画では公の場に2人で登場する姿に、周囲も好奇の目を向けるし、フランツ・ヨーゼフ1世もマリーの挨拶を受け返事はするものの、顔を見ることはなく不快感を表す。マリーの母親は彼女をイタリアの親戚の元に送り込む手はずを整え、彼女を家に閉じ込めてしまう。皇太子ルドルフがローマ教皇レオ13世宛に、離婚を求める書簡を送る。これに対して教皇は不許可の書状をフランツ・ヨーゼフ1世に送ったため、父帝の知るところとなり激怒。追いつめられたルドルフは、マリーを連れてマイヤーリングへ向かう。身分高く生まれたものの、孤独な生い立ちで、望まない結婚生活は不幸、自由はなく父帝にも疎まれている現状では、マリーのような純真な女性にすがってしまう気持ちは分かる。ただまぁ、皇太子という立場を考えれば、何もかも自分の思い通りにならないということを受け入れられなかったことが、最大の悲劇なのかなとは思う。無自覚だとか、責任感がないとも言えるけれど・・・ 父帝は運命的な出会いで、愛する人を妻に迎えることができた。でも、彼女とほとんど一緒に過ごすことはできなかった。エリーザベト皇妃も皇帝を愛してはいたけれど、彼女は宮廷で決して幸せではなかった。彼女のことも自覚が足りないと思う部分もあるけれど、一人の人間として"不幸"と感じてしまったことを、公人としての"覚悟"に切り替えられない人がいることは責められないかも。もちろん、国民としてはそれでは困るけれど、自分がその立場だったらどうなのかと考えると、なかなか難しい問題ではある。
マイヤーリングの館で、供の者と食事を楽しんだ後、2人は寝室に引き上げる。実際の2人の間には、そういう関係が当然あったとは思うけれど、作品内ではそういう場面は描かれていない。全くないとも言っていなかったように思うけれど、オードリーのイメージからすると、マリーは清いままという感じもする。ベッドに寝かされたマリーは、これから起こることについて全く知らない様子。実際はどうだったのかは不明だけど、ここで描かれるマリーはあくまで純真で、純白という感じ。物語としてはそれでOKだと思う。銃声が2発響き映画は終わる。
前述したとおり生放送のドラマだそうなので、映像作品ではあるものの、あらかじめ録った場面の回想とか、場面切り替えを多用できるわけではないので、とってもアッサリした感じではある。でも、図らずもモノクロ作品として残ったこの映画には、その感じが合っているように思う。生々しくない感じ。実際は、オーストリア・ハンガリー帝国という大国の皇太子が、愛人と心中するという大スキャンダルであって、生々しさ満載で描くことも可能なのだけど、あくまで王子様と純真な娘の悲恋という、少女漫画的というか、おとぎ話的に描いているのは良かったと思う。くどいようだけれど、実際のマリー・フォン・ヴェッツェラと皇太子ルドルフの間にあったものが純愛だったのか、もっとドライな愛人関係だったのかは別として、2人の間に恋愛関係があったのは確かだし、彼女との結婚を望んだ皇太子ルドルフがローマ教皇離婚申請したことは事実らしいので、少なくともルドルフにはマリーと結婚する意志はあったということなのかも。まぁ、単純に不仲な皇太子妃と離婚したかっただけかもしれない。でも、小説や映画としてはこの感じでいいと思う!
主演のオードリー・ヘプバーンとルドルフ役メル・ファーラーは当時夫婦だった。皇太子ルドルフは当時31歳だったけど、メル・ファーラーは40歳。神経質で気難しそうな雰囲気は合っていたと思うけど、ちょっと老けている気も・・・ オードリー・ヘプバーンは28歳。いくら永遠の妖精といえども16歳には見えない 実はオードリーの演技は苦手・・・ 『ローマの休日』はピッタリ役にハマったけど、それ以外では"オードリー・ヘプバーン"役を求められることが多かったので、仕方がないとは言えるのだけど、ちょっと一本調子だし、特に泣く演技がいつもショックを受けた顔をした後、素早く首を横に向けるだけっていうのがちょっと
まぁ全ての作品を見ているわけではないので、あくまで見た作品での演技に限ってのことなのですが・・・ でも、この役は合ってたと思う。純真で純粋、そして可憐。
テレビ映画としてはセットも衣装も豪華だったと思う。何度も言うけどアッサリ風味ではあるけれど、このくらいで見るのはいいと思う。もちろん、ド悲恋ものにも出来る題材だと思うけれど、そうはしていない。もしかしたら、そうしようとしたのに、そうなっちゃったのかもしれないけれど・・・ でも、結果良かったように思う。オードリーにド悲恋は似合わないし。ホメてます!
そんなに重くない悲恋モノ見たいかたオススメ。オードリー・ヘプバーン好きな方是非!
カラー画像見つかったので貼っておく!
こんな色のドレスだとは思ってなかった! 意外に地味?