【art】「芸術×力 ボストン美術館展」鑑賞 @東京都美術館
アメリカのボストン美術の作品を展示する企画展。実は2年前の2020年に開催予定だったけれど、コロナ禍で作品の来日が間に合わないということで中止に。残念に思っていたのだけど、今年あらためて開催された。
行きたいと思ったのは「吉備大臣入唐絵巻」が見たかったから。期せずして会期が延長されたことにより、四巻一気に見ることができるようになったらしい🙌 ということで、よろこんで行ってきた!
いつものように感想をツイートしておいたので追記する形で鑑賞記録として残しておく😌 あと「ぶらぶら美術・博物館」で取り上げられた時にメモしておいた内容も併記しておく。
#ボストン美術館展 お休みもらって朝イチの回で見てきた。
— maru 𖤣𖥧𖥣𖡡𖥧𖤣 (@maru_a_gogo) August 19, 2022
最初に2階に上がって #吉備大臣入唐絵巻 を鑑賞。
2人くらいしかいなくてじっくり見れた。
これホント楽しい✨
コミカルでまるでマンガ!
保存状態もよく素晴らしい‼️
これはホント見て良かった! pic.twitter.com/ZEYa8EaVDi
同じ東京都美術館で開催中の「フィン・ユールとデンマークの椅子展」も見る予定だったので、朝一の9時半からの回を予約。少し遅れて9時40分頃到着。
東京都美術館は地下1階が入口のロビー階となって、そこから2階までの3フロアー分が展示室となっている。順路としてはロビー階から登って行くのだけど、混んでいる時は目当ての作品を先に見てしまうことが多い。
今回は朝一の回ということで迷うことなく「吉備大臣入唐絵巻」から見ることに! 狙いどおり展示室には2人しかおらず、じっくり自分のペースで見ることができた。
「吉備大臣入唐絵巻」(Wikipedia)は2階展示室最初の展示。四巻が一気に見れるように逆コの字型に展示されている。壁には描かれている場面の説明や、一部拡大した部分の解説などがあり分かりやすい。
📺ぶらぶら美術・博物館より ✼••┈┈┈┈••✼••┈┈┈┈••✼✼••┈┈┈┈••✼••┈┈┈┈••✼✼••┈┈┈┈••✼••┈┈┈┈••✼
遣唐使として唐に渡った吉備真備(Wikipedia)を描いた絵巻。吉備真備は非常に優秀だったので神格化されており、超能力者的に描かれていて、フィクションの冒険ものとなっている。
第一巻
遣唐使として到着。高楼に幽閉されてしまう。急すぎる階段で高さを表現している。
第二巻
遣唐留学生として唐へ渡った阿倍仲麻呂(Wikipedia)は、唐で出世して帰れずに亡くなり赤鬼となってしまった。本当は吉備真備が2回目に唐に行った時も生きている。
真備の幽閉先に鬼の姿で会いにきたので、きちんと服を着て会いに来るように言ったため、高楼では服を着ているが顔は鬼のまま。
第三巻
真備に恥をかかせようと難読書「文選」から出題しようとしているらしいと聞き、鬼(阿倍仲麻呂)と試験問題をカンニングしに行こうとなり空を飛んで行き、廊下で盗み聞きをする。
使者が高楼にやって来ると「文選」の内容が紙に書き散らかしてある。使者はもう知っているのかと驚く。使者が「文選」を持って来ているので、日本の「文選」と比べたいから貸して欲しいと借りてしまう。
第四巻
名人と囲碁対決をするも決着がつかないため、真備が碁石を一つ飲んで勝利。この行為を怪しまれ下剤を飲まされるが、石が出ない術を使い便からは検出されなかった。大便を調べている😅
第四巻以降は?
真備は高楼内で術を使って月も太陽も出ないようにしてしまった。困った唐の人々は真備を日本に帰すことにする。
ギャグ漫画的な話。12世紀末日本は中国との関係に苦労していた。そのため痛快活劇を描いたのではないか。
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先に「ぶらぶら美術・博物館」を見た時のメモ書きを載せたのは、こちらを参考に鑑賞したからということと、あらすじ紹介にもなるかなと思ったので。この鑑賞ポイントを押さえていたので、とても楽しく見ることができた。
絵巻物は全て広げた状態で展示されるけれど、本来は手に取って左手で広げて右手で巻き取りながら鑑賞する物。なので自分のペースで進んで見ていくと、アニメーションのような感覚になって面白い。
あらすじからも分かるように荒唐無稽な話で、その発想が面白くて大好き。そして人々をコミカルに生き生きと描いた画力も素晴らしい。作者は不明らしいけれど、常盤光長(Wikipedia)の作風に似ているそうで、後白河法皇の周辺で作られたのではないかとのこと。
保存状態も良くとても素晴らしい! 鬼の阿倍仲麻呂と真備が飛んでるシーンと、のぞき見シーンのかわいさが最高✨ これは本当に見れてよかった!!
作品保護のため室内が薄暗いのと、細かい部分まで描き込まれているので、単眼鏡がとても役立った。
#ボストン美術館展 ②
— maru 𖤣𖥧𖥣𖡡𖥧𖤣 (@maru_a_gogo) August 19, 2022
吉備大臣見た後LBに戻って最初から鑑賞。
今回は日本美術だけでなく紀元前エジプトのレリーフ、清朝皇帝の龍袍、ヴァンダイク、エルグレコなど多彩。
マージョリーメリーウェザーポストのブローチが素晴らしい✨
今回の目玉は何といっても「吉備大臣入唐絵巻」をはじめとした日本美術作品の里帰りだけど、日本美術のみというわけではなく、ツイートにもあるとおり、エジプトのレリーフからエル・グレコの作品まで多彩。
その中では、こちらも目玉作品である「マージョリー・メリウェザー・ポストのブローチ」が素晴らしかった。
大富豪マージョリー・メリウェザー・ポストがイギリスのジョージ5世とメアリー王妃に謁見するため購入したのだそう。実際には使われなかったけれど、身に着けた肖像画が残っているとのこと。
中央のエメラルドは60カラットあるそうで、インドで彫刻が施された。残念ながら光の加減で単眼鏡で見てもハッキリ見えなかった💦 エメラルドとダイヤをふんだんに使っているけれど、とても品が良くくどくない。これは素晴らしい。
#ボストン美術館展 ③
— maru 𖤣𖥧𖥣𖡡𖥧𖤣 (@maru_a_gogo) August 19, 2022
まさかの大日如来坐像もボストンに😳平安時代作の定朝様式だけど、どことなくインド風。#寛政内裏遷幸図屏風 江戸時代だけあって状態が良く、つい最近描かれたような美しさ
まさか仏像展示があるとは思っていなくてビックリ。海外特にアメリカには結構仏像が渡っている。何年か前にもオークションに運慶仏が出品されて話題になった。
大日如来は密教の最高仏。体内に納められていた書から長治2年(1105)の作と判明したのだそう。製作年からしても平安時代だけれど、輪郭も目鼻もどっしりと丸い造形は平安仏の特徴。
指などの欠けもなくところどころ金が残っていて保存状態もいい。背中が割とザラザラと粗い気がしたけど、これは光背があったせいかな?🤔 どことなくインドも感じさせるとても良い仏様だった。
#ボストン美術館展 ④
— maru 𖤣𖥧𖥣𖡡𖥧𖤣 (@maru_a_gogo) August 19, 2022
もう一つのお目当て #平治物語絵巻三条殿夜討巻 も素晴らしかった!
こちらは後白河法皇を拉致するシーンなので、かなり生々しい。
でも、牛車の車輪が回ってる描写とか完全にマンガ‼️
そして炎の表現が素晴らしい🔥
今回のもう一つの目玉作品「平治物語絵巻 三条殿夜討巻」 もちろん自分もお目当て。
📺ぶらぶら美術・博物館より ✼••┈┈┈┈••✼••┈┈┈┈••✼✼••┈┈┈┈••✼••┈┈┈┈••✼✼••┈┈┈┈••✼••┈┈┈┈••✼
「平治物語絵巻」(Wikipedia)巻物の形で現存しているのは静嘉堂文庫所蔵の「信西巻」(重文)、東京国立博物館所蔵の「六波羅行幸巻」(国宝)と、今回展示の「三条殿夜討巻」の三巻。
1159年の平治の乱を描いた絵巻物で、三条殿夜討は後白河法皇を拉致する場面が描かれている。貴族の乗る牛車に人や犬が轢かれていたり、車輪が回っている表現などが漫画的。
三条殿から後白河法皇(Wikipedia)を移した後、屋敷に火を放つ。炎の表現が素晴らしい。巻物なので絵を繰りながら見るためアニメ的な感覚が得られる。
合戦絵巻の中でも最高傑作と言える。
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他の二巻を見ていないので何とも言えないけれど、今作は後白河法皇を拉致するという題材なのでコミカルなものではない。でも、ぶらぶらで指摘があったように、車輪が回転している様子などまさに漫画的な手法で、まさか鎌倉時代に既に確立されていたとは思っていなくてビックリ!
さらに人物たちや牛車の装飾、轢かれている犬など細部まで一切手を抜かずに描き込まれていて、それが息をのむような臨場感を生んでいる。
そして、こちらも"ぶらぶらポイント"である炎の表現がホントに大迫力! 熱まで感じられるような表現力。これは素晴らしい
静嘉堂と東博の二巻も見てみたい😊
ツイートしていないけれど、ぶらぶらで紹介された作品についても記載しておく😌
📺ぶらぶら美術・博物館より ✼••┈┈┈┈••✼••┈┈┈┈••✼✼••┈┈┈┈••✼••┈┈┈┈••✼✼••┈┈┈┈••✼••┈┈┈┈••✼
「寛政内裏遷幸図屏風」(これはツイートしてました😅)
右隻
左隻
「寛政内裏遷幸図屏風」は1788年の天明の大火で御所が焼失。新御所が完成したため、仮御所から光格天皇(Wikipedia)が引っ越しする様子を描いている。
実際は2kmの距離で20分程度で行けるが、6時間かけて練り歩いた。町触で見物の仕方を連絡。15歳以上の男性は土間、女性は畳の上で見るようにとの指示。右隻ではそのように見物している人々が描かれている。
右隻の左下に描かれているのは三条大橋で、その上にいるのが鳳車で天皇が乗っている。
今作を描いた吉村周圭という絵師のことは知らなかったのだけど、とても美しい作品だった。江戸時代中期の作品なので痛みも少なく保存状態が良い。
「マクシミリアン1世の凱旋」
アルブレヒト・デューラー(Wikipedia)の版画作品。マクシミリアン1世(Wikipedia)の発注により作成。統治者としての力を誇示したい。
シリーズもので実現していれば全長54mの大作。プロジェクトが大き過ぎたことと、発注者の注文が多過ぎて完成しなかった。
マクシミリアン1世は版画を活用した最初の権力者。
木版画なので縦幅はそんなに大きくないのだけど、全長54mとなったらなかなかの迫力だと思う。実現していたらどんな感じで展示する予定だったのか不明だけど、ちょっと絵巻物に通じる物語性があって興味深かった。
「孔雀図」
増山雪斎(Wikipedia)の作品。伊藤若冲(Wikipedia)っぽい。沈南蘋(Wikipedia)という来日した新時代の絵師の画風を模した南蘋派の絵師で、若冲もルーツは同じ。
長島藩の五代藩主で狩野派に学んだのではないかと言われている。虫が大好きで写生時に殺してしまった虫を小箱に入れてとっておいた。弟子が寛永寺に虫塚を作り供養した。現在も虫塚は残っている。
今作はいわゆる吉祥画。木蓮が描かれているが蕾にはこれから花開くという意味で、吉祥画にふさわしい。
増山雪斎については全く知らなかったし、作品を見るのも初めてだと思う。確かに若冲に似ているけど、もっと静かというか、中国っぽい感じがする。とても美しい作品で、特に木蓮が大好きなので気に入った。寛永寺の虫塚見に行きたい。
#ボストン美術館展 ⑤
— maru 𖤣𖥧𖥣𖡡𖥧𖤣 (@maru_a_gogo) August 19, 2022
日時指定なのでそんなに混んでなくて自分のペースで見れた。
テーマ分けはあるけど、展示内容が多彩なので、空いているところからどんどん見ていける。
見応えのある企画展。
2年待ったかいがあった🤭
平日の朝一番の回で鑑賞。日時指定なので人数制限もあり、そんなに混んでいない。人気の作品も少し待てば見れた。あとは空いているところから見て行けばストレスなく見れる。
展示順序にはもちろん意味とか意図があると思うけれど、例えば一人の画家の初期から晩年までを見せるというような企画展ではないので、多少順序が違っても特に違和感はなかった。
とはいえ最初に見た「吉備大臣入唐絵巻」は、見始めた時には2人くらいしかいなかったのに、気がついたらどんどん人が並ぶようになっていたので、初回以降だとちょっと待つことになるかもしれない。
しつこいようだけれど「吉備大臣入唐絵巻」がお目当てだったので、もうそれさえ見れれば大満足だったのだけど、とにかく全ての保存状態が良く、素晴らしい作品ばかりで見応えあり! これはホントに2年間待ったかいがあった🤗
#ボストン美術館展 ⑥
— maru 𖤣𖥧𖥣𖡡𖥧𖤣 (@maru_a_gogo) August 19, 2022
お土産は吉備大臣ポストカードセット、大日如来のポストカード、バッジガチャ。
飛んでる真備&仲麻呂のポストカードが欲しかったけど単体はなし😭
ガチャも飛んでる2人が欲しかったけどナポレオン😭
飛んでる2人のファイヤーキング欲しかったけど貧乏なので諦め🥹 pic.twitter.com/v62P4kLpPO
企画展に行ったら必ず買うことにしているポストカード。吉備大臣は残念ながら1枚モノはなくてセットのみ。ガチャも飛んでる2人目当てでやってみたけどナポレオン😭
飛んでる2人のファイヤーキングのマグ欲しくて迷ったけど諦め💦💦
芸術×力 ボストン美術館展:2022年7月23日~10月2日 @東京都美術館