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【art】「メトロポリタン美術館展」@国立新美術館

2022-05-01 21:42:52 | art

【art】「メトロポリタン美術館展」@国立新美術館

 

 

ニューヨークにあるメトロポリタン美術館所蔵の作品65点、そのうち46点が日本初公開という今年最大の目玉と言える企画展。これは見たいと思っていたのだけど、決定打としては鑑賞コンプリートを目指しているフェルメール作品が来日していること! 

 

在宅勤務や残業でなかなか予定が立てられなかったのだけど、半ば強引に行って来た! "西洋絵画の500年"と銘打っているだけあって、とても見応えのある素晴らしい企画展だった。

 

メトロポリタン美術館は行ったことあるのだけど、今回来日している作品で見たものはあったのかな? 覚えてない😅 広いから数時間の滞在ではとても見切れないしね。

 

いつもは感想をツイートしておき、それに追記する形で記事にしていたのだけど、バタバタしていてツイートもままならず💦 なので、心に残った作品のみ記載しておく。

 

 

ヨハネス・フェルメール「信仰と寓意」

 

まずはお目当てのヨハネス・フェルメール(Wikipedia)の「信仰と寓意」 これは文字通り宗教画で、この女性が"信仰"の擬人化なのだそう。この女性が地球儀を踏んでいるのはカトリック教会の世界統治を表しているとのこと。当時オランダはプロテスタントの国で、表向きはカトリックを禁止していたけれど、フェルメールは結婚を機にカトリック信者になっていたらしい。

 

とても宗教的メッセージにあふれた作品で、床のリンゴはアダムとイブの原罪、蛇を踏みつぶしているのは教会の「隅の親石」で、十字架が置かれたテーブルは「聖餐式」を表しているのだそう。

 

たしかフェルメールはそもそも宗教画家を目指していて、初期の作品は宗教モチーフのものが多かったはず。この作品は最晩年の作品だそうだけれど、最終的には宗教画に戻ったというのが興味深かった。

 

とはいえ、窓こそカーテンで覆われているけれど、窓際の女性を覗き見ているような構図はフェルメールっぽいなと思った。女性が見上げているガラス玉?が何なのか説明がなく分からなかったのだけど、このガラス玉に写り込んだ部屋の内部が描かれていて、その細かい描写に感動したけれど、どうやらこれはカラヴァッジョの影響らしい?🤔

 

自身がキリスト教徒ではないので、寓意について説明されてもピンと来ないこともあり、宗教画はあまり好みではない。なのでフェルメール作品とはいえども感動は薄めではあるけれど、やはり見れて良かったと思う。

 

ぶらぶら美術・博物館より

 

バロックは王侯貴族のため、信者獲得、市民が好む絵画など。明暗のコントラスト。劇的表現。カトリック教会と王侯貴族はオランダにはない。市民がパトロン。

 

メトロポリタン美術館はヨハネス・フェルメール作品を単館で最多の5点所有。アメリカは日本以上にフェルメールが好き。1/3がアメリカにある。一番良い作品が来日。大きい。「絵画芸術」と同じくらいの大きさ。数少ない大作・寓意作品。「信仰の寓意」の信仰とはカトリックの信仰。オランダはプロテスタントの国。1/3はカトリック。妻と義母はカトリック教徒。結婚を機に改宗。

 

女性=信仰の擬人化。女性が地球儀を踏んでいるのはカトリック教会が世界を統一していることの象徴。天井のガラス球はオランダの静物画にも描かれている。インテリア的なもの? 地球儀と対比=天国。それを女性が見ている。

 

背景の画中画。ヤコブ・ヨールダンス「キリスト磔刑」 床のリンゴ=アダムとイブの原罪。禁断の果実。石で蛇を押しつぶす=サタンや悪に勝利するキリスト教会。テーブルに十字架の磔刑像。聖杯・聖書かミサ典書は聖餐式を表している。聖餐式=ミサ=カトリック。カトリック信者。公の教室での活動は禁止。家の中の「隠れ教会」は容認。そのしつらえ?

 

フェルメールっぽくない? 寓話過ぎ? 注文主はカトリック? カーテンが気になる。奥行きを出すために良く用いる。旧約聖書の絵? 光点・光を表す点。聖杯・女性の髪にもあり。オランダならでわの絵画。

 

 

エル・グレコ「羊飼いの礼拝」

 

あのギリシャ人という意味のエル・グレコ(Wikipedia) ルネサンス後期の画家なのかな? 前述したとおり宗教画は苦手だし、グレコのボヨボヨした線というか、ゆらゆらした人物、そして暗めの色使いはあまり好きでなかった。でも、今作でかなり再認識した感覚。幼子イエスに光が当たる構図もそうだけれど、頭上のキューピッドの立体感が凄かった!

 

ぶらぶら美術・博物館より

 

ルネサンス後マニエリスムが流行。人体表現や色彩、遠近法などを極端に表現した。

 

ギリシャ正教のイコン画。宮廷画家を目指しスペインへ渡る。人物がグニャグニャ。当時では相当変わっている。宮廷画家になれるわけがない💦 20世紀に再評価。明暗のコントラスト=バロック絵画の先取り。イエスから発光しているよう。筆致が粗い今の感覚だとカッコイイ!

 

ディエゴ・ベラスケス「男性の肖像」

 

マネに「画家の中の画家」と言われたベラスケス(Wikipedia)ビッグネームばかりなので、ベラスケスといえども1作のみ。このシンプルな背景に描かれた男性の存在感がスゴイ。やはり上手い。

 

とはいえ、1920年の修復で本来の筆致が覆われてしまい、長年ベラスケス公房の作品とされてきたのだそう。2009年にワニスと加筆を取り除くことで本来の筆致が現れ、本人の作品と認定されたのだそう。いつも思うのだけどヨーロッパの修復って雑というかさ~💦 何故加筆してしまうのよ! 本人の筆致がよみがえって良かった。

 

ぶらぶら美術・博物館より

 

ベラスケスは筆が早くて正確。以前は自画像と考えられたり、本人ではなく工房作と考えられた。現存は「男性」で本人の真筆とされている。単色の背景。ニュートラル。近代絵画を先取り。印象派マネへ。

 

レンブラント・ファン・レイン「フローラ」

 

美化せずそのままの肖像画を描くことで有名なレンブラント(Wikipedia) 今作は肖像画っぽく見えるけど実は古代ローマの女神フローラを描いているのだそう。ルネサンス期の画家が多く描いた題材で、春・花・豊穣の女神。その辺りは帽子の花飾りや右手に掴んだ花などに表されているのかと思うけれど、古代ローマの女神の服装ではないね😅

 

この女性のモデルは妻のサスキアではないかと言われていたそうだけれど、この作品が描かれた時には既に亡くなっていたので違うらしい。ティツィアーノの影響が見られると説明に書かれていたけれど、個人的にはレンブラントの人物像の中では好きな作品となった。

 

ぶらぶら美術・博物館より

 

フランドル派:オランダはプロテスタントの国。偶像禁止。主役は市民。金持ちの市民がパトロン。

 

オランダの多くの画家がカラバッジョの明暗を学んで持ち帰った後で既に根付いていた。フローラは古代の人物だが当時のオランダの衣装を着ている。ティツィアーノの「フローラ」の影響? 当時オランダに合ったのではないか? 妻サスキアが亡くなってから10年後の作品。サスキアを亡くしてから人生が転落。①「夜警」でやり過ぎて人気下降 ②女性関係で問題を起こす ③住宅ローンを支払えず でも! 没落してからの方が作品が良い。野心がなくなったから?

 

エドガー・ドガ「踊り子たち、ピンクと緑」

 

当ブログのタイトルはドガ(Wikipedia)の「etoile」からもらった。ドガの描くバレエダンサーが大好きだったのだけど、実は彼女たちにはとても悲しい背景がある。彼女たちにはパトロンがついているのだけれど、要するにそれは愛人ということ。画面の中央右寄りにシルクハット男性が影のように描かれているけれど、おそらくこの人物は彼女たちのうちの誰かのパトロンなのでしょう。

 

ドガは印象派の画家で、印象派といえば浮世絵からの影響が有名だけれど、この作品にもクローズアップや唐突な切断など浮世絵の影響が見られるとのこと。腰に手を当てるポーズはバレエダンサーがよくする印象ではあるけれど、このポーズを描くというのも「北斎漫画」の中の力士のポーズの影響かもしれない🤔

 

バルトロメ・エステバン・ムリーリョ「聖母子」

 

ムリーリョ(Wikipedia)の作品って見たことあったかな? 名前は知っていたけどあまり意識したことなかった。しかしこの聖母子の美しさ! 西洋画の子どもって例えイエスであってもかわいくないことが多いのだけど、このイエスのかわいさ! そして聖母マリアの慈愛あふれる美しさ。これは本当に穏やかな豊かな気持ちになった。

 

ジョルジュ・ド・ラ・トゥール「女占い師」

 

今回のお目当ての1つラ・トゥール(Wikipedia)の「女占い師」17世紀ロレーヌ公国で、ルイ13世付きの画家。ラ・トゥールというと暗い室内で1点灯りが灯っているような、闇と光の作品の印象が強かったので、今作のようなイメージはなかったのだけど、そもそもは"昼の絵"と"夜の絵"とを描いていたのだそう。

 

占い師にカモにされる構図というのは、そもそもはカラヴァッジョが描いた作品を真似て多くの画家が描いたとのこと。中央の若者がカモにされているわけで、悲劇的な場面であるはずなのにちょっとコミカル。女占い師に気を取られていると、他の3人にいろいろ盗まれそうになっているけど、果たして彼らの盗みは成功するのか? もしくは若者はこのからくりに気づけるのか? ハラハラして楽しい。

 

ぶらぶら美術・博物館より

 

ジョルジュ・ラトゥールについてルイ13世が国王付き画家と呼んでいる。ラトゥールは20世紀に再発見された。夜の画家と呼ばれる。光のコントラスト。占い師がモチーフ。カラヴァッジョの「女占い師」と盗みを結び付けている。明暗の様式だけでなく、題材も影響を与えている。劇的瞬間を描く。演劇的。

 

 

 

他にもティツィアーノの「ヴィーナスとアドニス」とか、ルーベンスの「聖家族と聖フランチェスコ、聖アンナ、幼い洗礼者ヨハネ」とか、カラヴァッジョ「音楽家たち」、ブーシェ「ヴィーナスの化粧」、ターナー「ヴェネツィア、サンタ・マリア・デッラ・サルーテ聖堂の前廊から望む」、クールベ「水浴する若い女性」、ゴヤ「ホセ・コスタ・イ・ボネルス」などなど、もう素晴らしい作品ばかり!

 

ぶらぶら美術・博物館より

 

「音楽家たち」カラヴァッジョ。初期の作品。ヨーロッパに影響を与える。ミラノ出身でローマに出て来た。デル・モンテ枢機卿に見出される。デル・モンテ枢機卿は美少年好きで、音楽家などと同居していた。「音楽家たち」に描かれているのは実際にいた人物たち。右から2番目が本人。右端はクピド(キューピッド)で音楽と愛の寓話。キアロスクーロ明暗の対比。カラヴァッジョ様式。

 

「ガルダンヌ」ポール・セザンヌ。セザンヌは印象派設立メンバーながらポスト印象派の巨匠と呼ばれる。プッサンを称賛。ガルダンヌはセザンヌの生まれ故郷。南仏のエクス=アン=プロヴァンスの南。妻がオルタンスに家を持つ。1880年代中ごろに1年過ごす。坂が多く家が密集。屋根や家の方向一定のリズム描く。

 

"ガルダンヌからキュビズムが生まれた"とガルダンヌ人自負。立方体集合。10年前開催された「セザンヌ展」はパリとプロヴァンスという切り口。"パリの光とプロヴァンスの光は違う"と語る。プロヴァンスは影が濃くキューブっぽく見える。光の違いはたまたま? 見たままではなくセザンヌの感じた秩序に置き換えている。近代美術の父と呼ばれる。単なる自然の模倣をやめて絵を構築していく。

 

印象派とは違う。"自然に基づいてプッサンをやり直す" 目の前の自然を再構築する。"偉大な目"とモネはセザンヌを語る。

 

「睡蓮」クロード・モネ。今展唯一の20世紀の作品。抽象的。最晩年の抽象的な作品は生前ほとんど評価されていない。古臭い画家というイメージ。1950年代ポロックなど抽象表現主義が出てきて批評家たちが「睡蓮」に注目。MOMAが購入。本人は抽象画を意識していなかった。白内障の目で見た物を描いている。20世紀の作品が最後の展示。

 

ルネサンスから印象派後まで西洋画500年の流れがとても良く分かる企画展だった。順路はもちろんあって、その通りに進むと自然に流れが分かる仕組みになっているのだけど、上手く言えないけど抜け道的なものが設けてあって別の展示室に行ける。なので空いている作品や、見たい作品から見れるのも良かった。

 

 

 

土日などは混んでいるようで、会場入り口もアトラクション待ちのように、列を作る仕切りのようなものが設置されていたけど、この日(金曜日 18:40頃到着)は全く待ち時間なしで入れたし、会場内も混んでおらず自分のペースで見ることが出来てノンストレス! 夜間鑑賞オススメ✨

 

 

 

物販コーナーも充実。こちらも待ち時間なしで購入できた。図録の代わりに必ず買うポストカード。フェルメールは大判しかなかった。

 

全く知らなかったのだけどファットウィッチベーカリーとのコラボ商品があった! ブラウニー3個入りで1個がブーシェの「ヴィーナスの化粧」になっている。素敵~✨ 思わず買ってしまった。

 

重複するけれどとにかくビッグネームだらけ、そして素晴らしい作品ばかり! 気になっている人は絶対見に行く価値あり! 毎回書いているけど、見れる機会があるなら本物を見るべき! 

 

メトロポリタン美術館展:2022年2月9日~5月30日 @国立新美術館

メトロポリタン美術館展


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