・*・ etoile ・*・

🎬映画 🎨美術展 ⛸フィギュアスケート 🎵ミュージカル 🐈猫

【cinema / DVD】『シャンボンの背中』

2014-01-10 00:00:00 | cinema / DVD
『シャンボンの背中』鑑賞
録画しといた『シャンボンの背中』見た!W座の安西水丸氏&小山薫堂氏がカンヌ映画祭で買付た作品。お2人も言ってたけど、あらすじ書いたら数行で終わっちゃう話。でも、独特の余韻があって良かった!大人な話。音楽がキーになってるのもいい!ステファンヌ・ブリゼ監督作品だったのねー #映画 Posted at 11:31 PM



ネタバレありです!

「フランスの田舎町。美しい妻と息子3人暮らしの大工のジャンは、代理教師として赴任してきたシャンボン先生に惹かれてく・・・」という話で、予想通り2人は恋に落ちる。tweetにもあるとおり、結末までのあらすじを書いたとしても5行くらいで終ってしまう感じ。フランス版『恋におちて』と呼ばれているのだそう。『恋におちて』は昔見た覚えがあるけどほとんど覚えていない・・・ ロバート・デ・ニーロとメリル・ストリープだよね?ゥ──σ(・´ω・`;)──ン

tweetにもあるとおり、WOWOWのW座という枠での放送。W座については以前も書いた気がするけれど、安西水丸氏と小山薫堂氏が、映画の始まる前に招待状と称した紹介トークと、本編放送後にそれぞれの感想を述べるトークがある放送枠。この枠の特別企画で2013年のカンヌ映画祭でお2人が映画を1本買い付けて来た。それがこの『シャンボンの背中』 ちなみに安西水丸氏はこの作品4回見たそうで、独特の余韻がお気に入りとのこと。同枠では全国のミニシアターと連動した「旅するW座」という企画があり、W座で放送予定もしくは放送済みの作品を、ミニシアターで上映するというもので、本作は2013年10月~12月の期間に、6つの劇場で上映されたのだそう。

エリク・オルデという方の原作があるようだけれど、日本で出版されているのかは不明。どうやらWikipedaの記載には誤りがあるようで、一部もしくは全部削除する方向らしいので、この情報も違っているのかも?(笑) 原題は『Mademoiselle Chambon』で、『シャンボンの背中』とタイトルをつけたのもW座のお2人。映画を見てみるとなるほど!って感じで、いいタイトルだと思う。

前述したけどホントに中年男が息子の学校の先生を好きになり、不倫の関係になるってだけの話で、過去いろいろなパターンやアレンジでさんざん見てきた。でも、あまりセリフもなく行間を読むという感じで、しかも淡々とした語り口なので、余白のようなものを感じる作品で、飽きることなくじっくりと見ることができた。最終的に2人は肉体関係を持つのだけど、それまではお互いの気持ちを抑えようとしている。どちらかが、少し積極的な行動に出れば、どちらかが抑えるというような感じ。シャンボン先生は独身だけれど、ジャンにはもちろん家庭があるわけで、その辺りの2人の配慮が大人な作品にしていると思う。

ジャンとシャンボン先生が知り合い、お互いを知って行く感じが、日常の中の出来事として描かれているのがとっても自然。ジャンの妻は美しく、家計のために仕事もしていて、家事もきちんとこなし、夫と息子を愛している。何も申し分のない妻がいるのに、どうしようもなくシャンボン先生に惹かれてしまう。その過程が、劇的な出来事があるわけでもなく、日常の流れとして描かれているのが良かった。ジャンの妻の描写にしても、特別説明的な描写があったわけでもないけれど、何気ない会話とか、機能的でセンス良くまとめられたキッチンの映像で見せる感じ。そういう映画が好きなので、この辺りは良かった。

大工という仕事柄から考えるとジャンは無骨な男性のように思うけれど、シャンボン先生に頼まれた子供たちに仕事の話をし、質疑応答に答えるという授業での対応を見ると、真面目で思慮深く繊細な人のよう。シャンボン先生もそんなジャンの人柄を知ったから、自室の窓枠について相談したのだろうし・・・ ジャンの妻のケガがきっかけで、息子の送迎をするようになってシャンボン先生と出会い、別の父親がするはずだった授業の代わりを頼まれたわけで、そのことから気心が知れて、壊れた窓枠のことを相談するのは自然だし、ジャンが見てみましょうという流れも自然。だから、女性教師の家に入るという事実もそんなに禁断感はない。でも、やっぱりそこに2人きりになって大丈夫?と見ている側に思わせるのが上手い。やっぱり禁断感はあるし(笑)

だからこそ、ジャンが窓枠工事に来た時の禁断感といったら! もちろんジャンはちゃんと職人として仕事しに来ているわけだし、先生は依頼主として距離を置いているのだけど、この禁断感も手伝って2人お互いが気になってしまう感じがいい。作業の邪魔になるのと、気まずいのとで、先生は寝室で読書するけど眠ってしまう。作業が終ったことを告げに行くと、ドアの隙間から先生が眠る姿が見える。あられもない姿で寝ているわけではないけど、素足が色っぽい。どうしてそういう話になったのか忘れてしまったけど、先生がヴァイオリンを弾くことに気づいたジャンが、テレビで聞いて気になっている曲を弾いて欲しいと頼む。上手くないので恥ずかしいと言う先生に、だったら背中を向けて弾けばいいと言うジャン。ジャンの熱意に押されて背中を向けて弾く先生。W座のお2人が邦題をつけたのはこのシーンからだと思う。先生が背中を向けてヴァイオリンを弾くだけなのにとっても官能的なシーン。でも、この日は何も起きない。

後日、街で偶然会った2人。挨拶を交わしただけで別れるけれど、ジャンは先生のいる店へ。あの時の曲のCDになっていますか?と聞いたのはもちろん先生と話すきっかけ。シャンボン先生もそれが分かっているから、よかったらお貸ししますって言う。この流れは一見自然だけど、お互い恋に発展するパターンに則ってる。その辺りが上手い。だってCD貸すってことは、また先生の家に行くってことだから( ̄ー ̄)ニヤリ で、オススメCDをいろいろ見せてくれる先生。CD自体が目的じゃないけど、よく分からないながらも興味のあるふりをするジャン。と書くとコメディっぽいけど、そうではない。こういう感じ分かるなと思う。音楽を聴きながら気持ちが盛り上がる2人。でもキスだけ。

ジャンは妻から妊娠を聞かされる。ジャンは別に妻のことが嫌いになったわけではない。家族のことも愛している。前述したとおり良い奥さん。彼女に不満があるわけじゃないけど、夫婦の関係が"日常"になってしまっているってことなのでしょう。つまり、新鮮味がない・・・ 自分に落ち度がないのに、新鮮味がないから恋に落ちたよって言われたら、ふざけるなと思うけれど、映画としてはいいと思う。そういうこともあるよねと・・・

シャンボン先生は代理教師。正教師が産休などで休む間だけクラスを受け持つ。赴任地はフランス全土。任期はだいたい1年。母親との電話シーンでの情報によると、優秀な姉がおり最近検事になったらしい。母親はこの姉が自慢な様子。それは当然のことだし、この母親はシャンボン先生のことも愛していて、心配しているようだから、出来の悪い妹を疎ましく思っているということではない感じ。それでも先生が姉に対して劣等感を抱くのも分かる。そして、そいういう部分が代理教師という生活をさせているのかなとも思う。代理教師としての任期は終ったけれど、教師の空きが出たから、是非後任にと懇願される。だから、教師として優秀なのだと思うけれど、どこか根を下ろしてしまうことに不安を感じているというか・・・

ジャンから「あなたのことを思っている」という手紙を受け取った先生は、ジャンの仕事場を訪ねる。そりゃ、あんな手紙もらって自分もジャンのことが好きならば行動を起こすでしょう。でも、ジャンは何故か妻が妊娠したことを告げる。ジャンの誠実さってことなのでしょうけれど、この辺りがラストシーンに繋がるのかなとも思う。その一言で全てを察し、後任の話も断ってパリに戻る決心をするシャンボン先生。謝りたいと訪ねてくるジャンに1度は居留守を使うものの、待ち伏せされて家に入れてしまう。この時も特に何もないけれど、何故かジャンは父親の誕生日パーティーでヴァイオリンを弾いて欲しいと頼む。「それって、いい考えかしら?」と言いながら、先生は応じた様子。

父親のパーティーは親戚一同が会し、とても楽しいものになった。準備が楽だからビュッフェにしたいと申し出た妻に、足の悪い父親を立たせておくのかと激怒したジャン。もちろん、座る場所は用意すると言っても、誕生日パーティーを開くのがイヤなら止めるとキレまくる。ここ、なんでそんなに怒ったんだろ? 確かに妻は言葉足らずだったと思うけれど、家に人を呼ぶのって大変なんだよね。20人分の料理なんて大したことないだろうって言うけど、大変ですよ!! じゃあ作ってみろよと言ってやりたい!(笑) 嫁という立場で、家に親戚を呼ぶってことが、どれだけ気を使うかってことが男の人には分からないのかな?ヤレヤレ┐(´д`)┌ 自分、嫁にも行ってないけど分かるけどなぁ(笑) まぁ、当日は女性たちが頑張って盛大なパーティーになったわけで、そういう場所にやってきた先生は浮世離れとまではいかないけれど生活感のない感じで、ジャンが憧れのようなものを抱くのは分かる気がする。ジャンの思いに気づく妻・・・ ここで先生が演奏したのがエルガーの「愛の挨拶」これ好き!

シャンボン先生を車で送るジャン。途中、先生に見せたいと言った景色が素敵。明日10時の電車でパリへ発つという先生。車を降りた彼女を見送るジャン。泣き出してしまう・・・ すると、先生がアパルトマンから出てくる・・・ とうとう、結ばれる2人。その熱に浮かされたのか家族を捨て一緒に行くというジャン。気持ちは分かるけどそこまでだったかな? と思ったりする・・・

翌朝、それぞれ駅へ向かうジャンと先生。発車時間が近づく。ホームへ向かう先生とジャン。ホームで待つ先生。ジャンの歩む速度が遅くなる・・・ ジャンが来るであろう方を見つめる先生。発車のベルが鳴る。先生のいるホームへ続く階段の下で立ち止まるジャン。ジャンは行けない。電車に乗り込む先生。家に戻り妻と何気ない会話を交わすジャン。シャンボン先生も素敵だけど、この奥さんを不幸にしちゃダメだと思う! 妻への愛に気づいたとか、シャンボン先生に対してそこまでの愛情が持てなかったとか、後から考えれば理由付けはできると思うけれど、そういうことじゃなくて、あの瞬間現実に戻ったってことじゃないのかな・・・ シャンボン先生という掴みどころのない女性に憧れていたっていうか・・・ 全てが幻想だったって言ってしまうと先生がかわいそう過ぎるけれど、ジャンが先生の本当の姿を見ていたとは思えないし・・・ 長々とこの映画の感想を書いてみようと思った理由は実はここで、この現実に戻った感じが良かったから。ドロドロした不倫の関係にすることもできるけれど、あくまで"恋"として終らせたことが良かった。お互い美しい思い出になる気がする。

tweetにも書いたけれどステファンヌ・ブリゼ監督作品。といっても最近『母の身終い』(感想はコチラ)を見ただけだけど(笑) 『母の身終い』は尊厳死という重いテーマと、母と息子というこれまた重いテーマを淡々とした語り口で描いた作品だった。この作品のテーマはそこまで重いものではないけど、やっぱり淡々とした語り口が余韻を残す。そこに、介護問題とか、夫婦間のことなどさりげなく盛り込んでいるのもいい。1つの場面をじっくり見せて、何気ない日常を描く感じも好き。2作品しか見ていないけれど、この監督の作品は好きなのかもしれない。

『母の身終い』で息子を演じていたヴァンサン・ランドンがジャン役。上手い役者さんだと思う。ジャンのシャンボン先生への憧れのようなものが、恋に変わる感じや、でも結局憧れだったんじゃないかと現実に戻る感じが、セリフにはないのにとっても伝わってくる。それはヴァンサン・ランドンの演技のおかげ。妻役のオーレ・アッティカも良かったと思う。この奥さんのことは、分かりやすく良くも悪くも描いてはいないけれど、いい奥さんだと思わせた。もちろん演出もあるけど、イヤミなく受け入れられた。シャンボン先生のサンドリーヌ・キヴェルランの儚げな美しさがいい。シャンボン先生って色気が前面に出てる人じゃダメ。控えめにしているのに、どこか官能的な感じがにじみ出ちゃう感じ。その感じがよかった。ヴァンサン・ランドンとサンドリーヌ・キヴェルランは元夫婦だそうだけれど、こういう役って演じにくくないのかな? その辺りはさすがプロだな。

シャンボン先生の地味ではあるけど、意外に胸の開いた服装が女性っぽくて好き。色合いで言ったらこの記事の色みたいな感じの服が多い。ワンピースとか女性らしい。ジャンの家のちょっとポップなカントリー調のキッチンとか、藤色の壁紙のベッドルームも好きだったし、シャンポン先生の白を貴重としたシンプルだけど女性らしい部屋も好きだった ステファンヌ・ブリゼ監督って、そういう部分もセンスが良い気がする。

これはDVDレンタルとかあるのかな? 現状はWOWOWに加入してないと見れないのかも?

大人な恋愛映画見たい方オススメ! ヴァンサン・ランドン&サンドリーヌ・キヴェルラン好きな方もオススメ! ステファンヌ・ブリゼ監督作品好きな方是非!

シャンボンの背中|映画|WOWOWオンライン

http://twitter.com/maru_a_gogo


コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 【nephews】甥っ子1号の年賀状 | トップ | 【cinema / DVD】『ある殺人... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

cinema / DVD」カテゴリの最新記事