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【art】「高畑勲展」鑑賞@国立近代美術館

2019-10-07 01:12:34 | art

【art】「高畑勲展」鑑賞@国立近代美術館

 

 

国立近代美術館で開催中の「高畑勲展」に行ってきた。正直に言うと最近のジブリ作品はあまり好きではないし、特別高畑勲ファンでもないのだけど、「アルプスの少女ハイジ」と「赤毛のアン」の製作過程が見たくてチケット購入。ぶらぶら美術・博物館の放送(記事はコチラ)を参考に見に行ってきた。

 

今回の企画展が開催された経緯については、ぶらぶら美術・博物館の記事に詳しく書いたけれど、サラリと触れておく😌 そもそもは高畑勲が存命のうちに立ち上がった企画で、ご本人とも相談して影響を受けたものや好きなものを展示し、高畑勲の世界を構築しているものをひも解くものにするつもりだったけれど、亡くなってしまったのでメモリアル的な展示になったとのこと。

 

例によって感想をTweetしておいたので、追記する形で感想記事として残しておく。ただ、前述したとおり特別ファンというわけではないので、全然詳しくない。なので、あくまで個人的にこう感じたという感想です。ご本人や登場するアニメーターなどについては、可能な限りWikipediaのリンクを貼っておくので、詳しくはそちらを参照していただきたい。

 

 

 

 

 

国立美術館の展示スペースはL字が横に寝たような形をしている。Lの下の一辺からさらにちょこんと垂直に伸びたように展示スペースがあり、最後はショップにつながる。ちょっと迷路っぽい。大きく4つの章に分けて高畑勲がアニメーションの世界に目覚め、デジタルと手描きの融合という新たな挑戦を果たすまで、そのアニメーション監督としての流れを見ていく展示。

 

序章として、年表と原点となった『やぶにらみの暴君』(現タイトル『王と鳥』Wikipedia)の展示。年表展示スペースにドラえもんの企画段階に参加したことがあったと記載されていてビックリ! 『王と鳥』はちょっと見てみたいと思った。


初期の頃の「安寿と厨子王丸」(Wikipedia)や「狼少年ケン」(Wikipedia)などの作画が、とても昔っぽくて好き。安寿だったかな? お姫様のキャラデザインは女優の佐久間良子がモデルになっていて興味深かった。たしかにそういう作画。たしか佐久間良子は他のアニメ映画のモデルにもなってなかったかな? この作品のことだったかな?🤔

 

かなり大きなスペースで東映動画が社運を賭けたという『太陽の王子 ホルスの大冒険』(Wikipedia)のコーナーがある。キャラデザインなどがすでにジブリっぽい。この段階で宮崎駿(Wikipedia)はヒロインの名前にシータを提案したり、飛行石を思わせる石を企画書に登場させたりしている。これについては、ぶらぶら美術・博物館で見ていたのでしっかり確認してきた! 確かに書いてました!


Tweetにもあるとおり、1点か2点ご本人が描いた絵コンテもあったけれど、基本高畑勲は絵は描かない。なので、展示されているセル画などは宮崎駿を始めとしたアニメーターによるもの。そういう意味ではアニメーターさんがスゴイってことでは?と思ってしまうけれど、彼らの力を最大限に引き出したということで、それはやっぱりスゴイと思う。



分かりやすい例としてTweetしておいた「赤毛のアン」のアンの顔のデザインについて。高畑勲は近藤喜文(Wikipedia)に"風がわりで目立つ顔立ちで、感じやすくしかも骨相から言えば、将来魅力的で知的な美人になる顔"と注文したのだそう。で、結果生まれたのが上のキャラデザイン。しっかりジブリ的なデザインも残しつつ、赤毛のアンを表現していると思う。それを引き出したのはスゴイし、応えた方も素晴らしい。

 

そういう意味で、どのアニメーターの方々もスゴイと思ったけれど、やはり宮崎駿は天才だなと思った。ぶらぶら美術・博物館でも紹介されていたように、高畑勲はレイアウトシステムという、絵コンテでは描ききれない背景や場面設定などアニメの設計図を一枚のイラストにし、それをシーンごとに作るという手法を考え出したのだけど、そのイラストを描いていたのは宮崎駿で、1人で1日50枚以上を描いていたという事実だけでもビックリだけど、前述の『太陽の王子 ホルスの大冒険』で宮崎駿が出した企画書の枚数が他の人とは桁違い! 何十枚もびっちりと鉛筆書きで書き込まれている。それだけの案が出て来るというのもスゴイけれど、その熱量がスゴイ! そういう意味でやっぱり天才だなと思った😌

 

 

そもそも行きたいと思った理由が「アルプスの少女ハイジ」(Wikipedia)と「赤毛のアン」(Wikipedia)を見たいと思ったから。ポスターは「かぐや姫の物語」バージョンの方がメインだけど、「アルプスの少女ハイジ」のハイジとペーターが木を運んでるバージョンもあるんだよね。「赤毛のアン」についてはロケハンのことは紹介されていなかったように思うけれど、「アルプスの少女ハイジ」では、マイエンフェルトやフランクフルトにロケハンに行っていて、ハイジの小屋のモデルになった小屋の前で写真を撮る姿や、フランクフルトの川岸でタバコを吸う姿などの写真が展示されている。

 

このロケハンをもとに井岡雅宏(Wikipedia)が描いた背景画が展示されているのだけど、これが本当に素晴らしい。色鮮やな緑は今まさに描かれたようなみずみずしさ。リアルでありながらアニメ的。今見返して見ても背景がリアルだなと思うけれど、なにぶん昔のアニメなのでカメラの性能もよくなかったのでしょう。ここまで鮮やかだとは思わなかった。実物は本当にスゴイ!

 

「母を訪ねて三千里」(Wikipedia)もロケハンしたんだったかな? マルコの部屋かな? とにかく小さな部屋を描いたセル画があって、そこに国旗が数枚描かれていたのだけど、中の1枚が日の丸だったような?🤔 勘違いかも😅 

 

 

第3章では『火垂るの墓』(Wikipedia)や「じゃりン子チエ」(Wikipedia)、『おもいひでぽろぽろ』(Wikipedia)などを紹介。トラウマになるくらい悲しい映画として有名な『火垂るの墓』は、自分はそこまで感情移入できなかったし、『おもいでぽろぽろ』は原作にはない大人パートが自分にはピンとこなかった。あくまで個人的な感想で好みなので、ダメというわけではない。

 

でも、『火垂るの墓』では戦時中の日本人の服装などを忠実に再現するために、保田道世(Wikipedia)が一から絵の具を作成するなど、こだわりを持って描かれたセル画は本当に力がある。『おもいでぽろぽろ』ぶらぶら美術・博物館で紹介されていたとおり小学生時代パートと、現代パートでは背景の描き方や色使いに変化がつけてあった。現代パートの背景の描き込みがスゴイ! 写真のようにリアルだけど、これはやっぱり写真ではなくて"絵"であり、アニメーション。その辺りはスゴイと思う。描いたのはアニメーターだけど、それを引き出すのが監督なので。


で、ここまでリアルにこだわっていた高畑勲が『ホーホケキョ となりの山田くん』で、デジタルで手描き感を表現するという世界初の手法に挑む。細部までは描かず余白を生かす。この作品は未見なので、この手法で描くことでどのような効果があったのかが分からないのだけど、作品の世界を描くには必要だったということなのかな? そして、この手法が最後の監督作品となった『かぐや姫の物語』につながる。


かぐや姫の物語』はテレビ放送で見たけど、全体的に白っぽい画面で、そこに筆で描いたような人物や背景。そしてカクカクというのとも違うのだけど、パラパラ漫画のようなスムーズではない動き。平安初期に描かれた「竹取物語」を描くうえで、この手法は必須だったのだろうなと思う。個人的には絵巻物を見ているような印象を受けた。特に感動したのがラストの如来来迎で、その美しさに涙が出た。それはこの手法ゆえだったと思う。円空仏のような親しみやすく美しい阿弥陀如来だった。


「竹取物語」についてはザックリとかぐや姫が月に帰るとしか知らなかったのだけど、この如来来迎というのは『かぐや姫の物語』のオリジナルなのかな? 原案、脚本も手掛けているので、となると高畑勲はその境地に達していたということなのかなと勝手に思った。そんなことを考えながら見ていたら、とっても感動してしまった。そういう意味で、とても素晴らしい展示だと思う。

 

 

第2章の「アルプスの少女ハイジ」の展示スペースでは、物語の舞台がジオラマで再現されている。撮影OKだったのでたくさん撮ってきた。 

 

麓の街からハイジの小屋まで 

 

ペーターと山羊とハイジの小屋 

 

ペーターと山羊とハイジの小屋 

 

ハイジの小屋 おんじとハイジ

 

 

鉄道走ってます!

 

麓の街

 

ペーターの小屋

 

ペーターと山羊たち

 

 

もみの木と朝顔を洗ってた切株

 

切株アップ

 

ハイジの小屋反対側

 

反対側からのハイジの小屋

 

このジオラマを見て自分の記憶の位置関係と同じと感じる人が続出だそうで、それはきちんとロケハンを行い、それをしっかりと映像の中に描き込んでいたから。スイスには行ったことがないけど、良く知っている風景の気がしているのは、ハイジを見ていたからなんだなと思ったりする。ホントに素晴らしい作品だった。

 

今のアニメを否定する気は全然ないけれど、子どもたちにはこういう作品を見て育ってほしいと思う。「アルプスの少女ハイジ」や「赤毛のアン」はやっぱり名作。少女時代のアンとか今見るとちょっとやっかいだったりするけど😅

 

 

展示スペースを出ると物販スペースになっていて、そこを抜けるとロビーに出る。ロビーにはハイジの小屋の内部が再現されていた。台所だね。ヨーゼフが寝ているのカワイイ😍 

 

 

 

 

 

 

物販スペースはかなり広くて、いろいろなグッズが売られていた。手ぬぐい愛好家としてはキャラクターがデザインされている手ぬぐい欲しかったのだけど、欲しかったデザインは売り切れていた😢 

 

 

ということで、「安寿と厨子王丸」のポストカードと、「パンダコパンダ」とゼブラSARASAのコラボボールペンを購入。「安寿と厨子王丸」は見たことないので、このキャラクターが何なのか不明なのだけど、かわいかったのでチョイス。ボールペンはインクの色も本体と同じキャメルイエロー。書きやすくてお気に入り😍

 

とっても見応えあって、17:30頃から見てたと思うけど、グッズ買って出てきたら20:00超えてた💦 そんなに見てたかしら? とても楽しかったので、猛烈にオススメしようと思ったら展示期間終了してしまったよ😭

 

🎨高畑勲展:2019年7月2日~10月6日 @国立近代美術館

高畑勲展|公式サイト


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