■ 午前中は、都内で行われた村田光平氏の講演を聴きに出かけた。
福島原発事故と日本の現状、福島第一原発4号機の使用済み燃料プールに潜む破局的な危険性、再稼働決定に対する世界からの声など、いろいろ。
広い視野からの日本や世界の現状を知ることができた。
夜は、NHK・TVのETV特集、「核燃料サイクルの50年…2兆円国策の迷走」▽核武装恐れた米国JS科技庁官僚▽高速増殖炉もんじゅ誤算と代償
を視聴。
日本の原発から出た使用済み燃料は1万5千トン。行き場のないまま原発敷地内などに保管されている。ゴミである使用済み燃料の処理方法が無いまま稼働を続ける原発は、トイレの無いマンションと揶揄(やゆ)される。この問題を一挙に解決する方策として模索されてきたのが「核燃料サイクル」だった。その夢のサイクルが、福島原発事故をうけて原子力行政が問い直される中、根本的に見直されようとしている。将来に向け、私たちはいまどのような選択をすべきなのか。それを考える前提として核燃料サイクル60年の足取りを知っておくことは必要だ。
日本では、原発開発が始まった当初から「核燃料サイクル」が目標にされた。使用済み燃料を再処理してプルトニウムを取り出し、再び燃料として利用する「核燃料サイクル」は、資源小国のエネルギー問題と、放射性廃棄物というやっかいなゴミ問題を一石二鳥で解決してくれる夢のプロジェクトとしてスタートした。サイクルの要となる高速増殖炉は、プルトニウムをウランと混ぜて燃やし、使用前よりも多くのプルトニウムを作り出すことができるというもの。これを確立することができれば、理論上、千年はエネルギー問題から解放されると期待されてきた。
この「核燃料サイクル」の計画からその後の経緯までの内幕を、赤裸々に記録した録音テープがある。日本の原子力政策を中枢で担い続けてきた、政・官・財・学の中心人物が、非公式で開いていた「島村原子力政策研究会」の会合を録音したテープだ。国家プロジェクトとして始まった核燃サイクルがさまざまなう余曲折の中で迷走していった過程が語られている。
日本の核燃サイクルは「トリウム」という軍事利用できない燃料を使ったものが研究された。しかし、実現を急ぐ政界の意向から英米から既成技術を輸入することに方針転換された。英米で開発されていたのはトリウムではなく「プルトニウム」を使った核燃サイクルだった。プルトニウムは核兵器の材料になる。1960年代に中国やインドでの核開発に脅威を感じたアメリカは、70年代に日本の核燃サイクルに待ったをかけてきた。この圧力は日本に「焦り」と「意地」を生じさせ、冷静な開発を困難なものとしていった。
計画開始から半世紀以上が経過した今、まだ核燃サイクルは実用化されていない。そして使用済み燃料の問題は依然として解決していない。「一石二鳥」どころか「二兎(にと)を追う者、一兎(いっと)も得ず」の状態になっている今、核燃サイクルという夢を追ったプロジェクトの経緯を検証し、問題の所在を明らかにする。 (NHK 番組案内から)
高レベル放射性廃棄物の処理、半減期24000年という猛毒プルトニウムのゴミが膨大な量がたまり、更にたまりつづけている。
毎時1500シーベルト(150万ミリシーベルト)と人がわずか20秒で死に至る放射線を放つ高レベル廃棄物、放射線レベルが十分に下がるまでには約10万年かかる、という。
これに関わる国策事業に、電力会社、原子力関連メーカー、国、学者が関わってきたが、膨大な国民の税金を投入し、いまだ目的を達していない。互いに責任をなすりあっていて、倫理感も責任感も感じられない。
福井県敦賀市のもんじゅにしろ、青森県の六ヶ所村再処理工場にしろ、金食い虫であり続け、世界を脅かす危険性があるにもかかわらず適切な方向性が打ち出されていない。
原発や再処理施設が事故を起こしたら、人間の力では制御不能な破局的な災害になる。
大飯再稼働を決定した野田政権には望むべくもないですが、国民の生命、安全を軽視する国策は早急に改め撤回してほしいですね。
<参考>
・2012.6.19 核燃料サイクル秘密会議「もんじゅに不利」のシナリオ隠蔽 (毎日新聞)
・2012.6.17 電気が足りる、足りないとの議論とは無関係に『原子力は使ってはいけない』という決意をしなければならない 小出裕章(大分合同新聞)
・2012.6.15 原発ゼロの電力受給・夏限定再稼動について・4号機使用済燃料プールは通常とどう違うか 小出裕章(ソコトコ)
・2012.6.15 緊急考察・・・大飯原発はなぜ再開されるのか?(2)(武田邦彦ブログ)
・2012.6.14 野田さんは国民の生活を守るためとか、いかにも国民に恩着せがましい理由をつけて(再稼動を)やろうとする 本当に異常な人たち 小出裕章(MBS)
・2012.6.14緊急考察・・・大飯原発はなぜ再開されるのか?(1)(武田邦彦ブログ)
・2012.6.13 政治の中枢にいる人達、あるいは経済を握っている人たちは、原子力から足を洗う気はさらさら無いということが少しずつまたわかってきている 小出裕章(MBS
・2012.6.12 大飯原発には活断層があるか(河野太郎ブログ)
・2012.6.6 4号機の場合、燃料集合体が破損している恐れ その場合は専用のキャスクを作り直さなければならない 小出裕章(現代ビジネス)
・2012.5.29 チェルノブイリはたった1基の事故 福島原発は4基同時に事故 日本だけで作業員を集められるのかどうか分かりません そんな状況で30年後40年後の廃炉など不可能 小出裕章(ゲンダイネット)
・2012.5.25 【4号機プール核燃料】セシウム137の量は広島原爆に換算すれば少なく見積もっても5000発分 やるべきことは使用済み燃料を安全なところに早く移すこと 小出裕章