
昨日125cc1次側遠心クラッチを1機完成させたんだけど、
カブに乗ってる方はかなり気になるみたいなのか、かなりお問い合わせがありまして。
ただ、またまた申し訳ないんだけど返信出来ず申し訳ないです。
まぁブログ書いてる暇あったら返信しろと言われればそれまでなんだけど。
今日は次の依頼のエンジンであるSPD100改123ccビッグバルブ仕様の製作。
まずクランクの芯出しなんだけどクラッチ側はこんなに長いから芯が狂うと大変な事になるんだが、
ジェネレーター側はいつものようにキッチリと芯を出し、
クラッチ側に芯の狂いを出さないと、こんなに長いクランクは大変なのだ。
とは言ってもこの先端で0.02ミリだから合格ライン。
先端でこれ以上芯を出したかったらシャフト曲げるしかないね。
それを芯出しとは言わないけど。

このエンジンは50ミリから一気に56ミリまでボアアップするから先ずはケースのボーリングをして、
ベアリングを打ち込んでから組んでいく。
ちなみにSPDのキックスピンドルはBタイプの常時噛み合い式で、
ミッションは4速のクロスミッションだから出足が少しモッサリ気味だが、
他のギア間で回転のドロップが無いから結果乗りやすい。
それと4速ロータリーミッションだから4速から走行中にNに入らないよう固定レバーが付いている。
ちなみに組み付けにはケースのクランクベアリング部分をチンチンに熱しておかないと、
クランクがスッと入らないから気を付けよう。
逆にクランクのベアリングが共回りする事は無いって事だが。

一気にクラッチ側を完成させたんだけど、
このエンジンのクラッチ側は組むのが本当に大変。
遠心クラッチと2次側クラッチは同時に入れないと入らないし、
オイル受けも一緒に入れないといけないし、
さらに遠心クラッチが邪魔しててもクラッチスプリングとリフタープレートを入れなきゃならないから、
2次側遠心クラッチってホントめんどくさいのだ。

上から見るとこんな感じで2次側クラッチを避けるように遠心クラッチが付いているから、
クラッチカバーは張り出す形となってしまう。
ちなみに遠心クラッチの外側の部品、プライマリドライブギアCOMPというんだが、
この中にはワンウェイクラッチが入っていてバラすと大変な事になる。
私も忘れてうっかりバラしてしまい中のスプリングを飛ばして、
見つからず結局は山ちゃんに泣きついて部品を分けてもらったからねぇ。
でも部品はタイカブの100EXと同じくだから純正で買えるんだが。
2次側遠心クラッチの利点はやはり1次側と比べてクラッチ容量がデカい事にある。
そもそもカブ100EXやTIGER125などの東南アジアで使われている車体には、
4〜5人乗るとかが普通だからパワーもさる事ながらクラッチ容量も無いと話にならないんかねぇ。
ただ本当に気を付けてもらいたいのが、クラッチ容量が桁違いに多いから、
例えば4人乗りで間違って4速に入れたままエンジン全開にしちゃったパターン。
車体はビクともしないのに大容量クラッチが一気に繋がったら、
もうどうなるかは分かるよね。
クラッチの付け根のミッションがもげたり、
遠心クラッチも一気に繋がると遠心のクラッチウェイトのピンが偏摩耗したり、
クランクもビッグエンドが直ぐ痛んでエンジンが早くオシャカになる。
私も何年か前にTIGER125の2次側遠心クラッチを修理してえらい目に合い、
それをちゃんと記事にして書いていたから知ってはいるんだが、
パワーがある分だけそのパワーで自分を痛めてしまう要素満載なエンジンだから、
使う人はちゃんと分かってて使って欲しいね。
もしこれと同じエンジンを欲しかったら今現在ヤフオクでSPD100が出品中だから何とか作れるけど、
もう生産中止の絶版エンジンだからエンジンを欲しい方は急いだ方が良いし、
123ccのGPXヘッドを搭載したエンジンをフルオーバーホールして作っていくと、
今なら込み込み10万くらい頂かないともう合わないくらいだから、
もう作る事はないかもしれないから非常に残念。
いくら好きでもかつて沖縄にあったSPEEDインダストリーズを我が南信州で復活させる勇気は私は無いから、
もう流通する事は無いと思うけど、
なぜか私の周りにはSPD100を持ってる人が多いんだよなぁ。
だからSPD100の所有者さんは大事に使ってね。
今じゃこのエンジンを使ってるなんてちょっとしたステータスだ。