昨日の中日新聞に下記の事が載っていました。
差別発言に屈するな 時代を開くのは障害者だ <わけあり記者がいく>
2023年6月30日

これは調整期間ゆえの試練なのか。パーキンソン病の治療で開頭手術を昨秋受け、脳内に入れた電極からの刺激を調整中の「わけあり記者」こと私、三浦耕喜(53)。今ふたたび「嵐」の中にいて、脳内の狂った神経にもてあそばれていた。
基本的には、昨年7月13日の当欄で報告したことと重なるが、私を痛めつける相手の技は、さらに洗練された。手術で穴をあけた場所に、高速回転しているような針を突き立てる。狂った神経が偽情報を送ることによる幻覚だとは分かっていても、頭蓋に響く振動もリアルだ。
横たわる私の両肩には雲のようなものが控え、肩から胸を押さえつけている。そして、生暖かい息を首筋から耳に吹き込みかける。気味が悪くて全身に鳥肌が立つ。
作戦も巧妙だ。相手は大量の唾液を出し、閉じた口腔こうくう内の水位を上げる。
のどの粘膜にも刺すような攻撃。口を開けたり唾液をのみこんだりはできない。鼻呼吸をしている間も、水位がじわじわと上昇している。このまま水位が鼻の穴を越したら息はできない。恐怖に身が震える。
「ぎりぎり」のところで水は止まった。しかし、少しでも水面を揺らせば、水分は息とともに肺に入る。身じろぎできない。細々と息をつなぐほかない。これで眠れるだろうか? 眠れても、気絶と呼ぶ方が正確かもしれない。
ベッドから跳ね起きて逃げる手もあるが、嵐の時間帯はだいたい深夜。
ドーパミンも枯渇し、筋肉に力が入りにくく、成功はおぼつかない。
成功しても、1日で最初の薬を飲むまでに2時間ほど。
その薬が効き始めるのに1時間前後。
ベッドにずっと腰を掛けてもいられない。結局、嵐の渦中に落ちていくのだった。
遺憾ながら、ここで「相手」と書いたのは、すべて「自分自身」だ。自分が自分を痛めつけている。「狂った」ゆえんである。
…という戦いに日々引き出されながらも、いち障害者たる私は、明日を信じて生きている。
障害の程度や事情は百人百様だが、生きることに懸命なのは皆、同じだ。
だが、そんな思いの底が抜けるような発言が、名古屋城天守閣の木造復元に伴うバリアフリー化を巡ってあった。市民討論会でエレベーターの設置を尋ねる障害者に、ある出席者が「どこまでずうずうしいのか」と一蹴した。

名古屋市役所前で抗議の声を上げる障害者や家族、関係者ら=今月13日
これは、明らかに意見の内容ではなく、意見した障害者の人格に踏み込み、傷つけている。
個人攻撃と言うほかない。その国の文明度は、障害者をどう扱うかに表れる。発言はわが国の品位を損なう。
発言者には、親など身近に車いすの方はいらっしゃらないのだろうか。
ご自身も生老病死の理に従い、やがてハンディを負う。
その時も「ずうずうしく」しないよう、望む場所にも行かず家にこもるのだろうか。
無論、財政を巡る論議は必要だ。だが、それは礼節をただし、相手への敬意をわきまえ、感情でなく、理性に訴えるものでなくてはならない。
この発言に拍手を送った人たちも考えていただきたい。同席した市長の鈍さも落胆を禁じ得ない。
やはり、ここはハンディを負う者の出番だ。
「ずうずうしい」というなら、ずぶとくいきたい。
公民権運動など人間の尊厳を求める戦いは、粘り強い闘争を積み重ね、世の中を変えていったのだ。障害者はずぶとく、どんどん街に出るのだ。
だからハンディのある人よ、嘆く必要はない。ガンジーやキング牧師、マンデラ大統領など、人類史の暗闇に火を灯ともした偉大な人々は、あなた方の列にいる。
ひるんではならない。あなた方には、時代を開く使命があるのだから。
みうら・こうき 1970年、岐阜県生まれ。92年、中日新聞社入社。政治部、ベルリン特派員などを経て現在、編集委員。42歳のとき過労で休職し、その後、両親が要介護に。自らもパーキンソン病を発病した。事情を抱えながら働く「わけあり人材」を自称。
パーキンソン病 脳内の神経伝達物質ドーパミンを作る細胞が壊れ、手足の震えや体のこわばりが起きる。多くが50代以上で発症し、国内の患者数は約16万人。厚生労働省の指定難病で、根治療法はなく、ドーパミンを補う服薬が治療の中心。服薬は長期にわたり、経済的負担も大きい。
以上です。
>だが、そんな思いの底が抜けるような発言が、名古屋城天守閣の木造復元に伴うバリアフリー化を巡ってあった。市民討論会でエレベーターの設置を尋ねる障害者に、ある出席者が「どこまでずうずうしいのか」と一蹴した。
この発言者、河村市長の回し者?
障害者は、名古屋城の天守閣を見る事は許されないのか。
河村市長は名古屋城天守閣の木造復元に、異常にこだわりを持たれている。
名古屋城の天守閣に上がるのに、エレベーターは必要ないと思われているように思えて仕方ない。
今の世の中、障害者の対応を常に頭に置いている。
電車を乗る際、障害者用にエレベーターは設置されている。
常識と言っていいと思います。
名古屋城の木造復元された天守閣に、障害者も上がってみたいと思うのは当たり前だ。
河村さんの議員報酬600万円は立派ですが、障害者にもやさしい施策を行なって頂きたい。
君たちがいて僕がいた 舟木一夫さんの歌唱です