中日新聞に、下記の詩が載っていました。
沖縄慰霊の日「平和の詩」全文
2023年6月24日
二十三日の沖縄全戦没者追悼式で那覇市にある私立つくば開成国際高三年平安名秋(へいあんなあき)さん(17)朗読の「平和の詩(し)」の全文は次の通り。
(原文のまま、県平和祈念資料館提供)
今、平和は問いかける
夏六月
溶けかけたアイスを手に走り出す
緑萌(も)ゆるこの島の昼下がり
礎に刻まれた「兄」に
まるであの日のように
そっと触れるおばぁの涙は
陽炎が登る摩文仁(まぶに)の丘に
ただ果てしなく広がっていく
その涙は体を包み込み
私を「あの日」へといざなう
限りないこの空は
何を覚えているのだろう
涙に満ちたおばぁの瞳は
何を語りかけているのだろう
七十八年前の
あの日
あの時
かけがえのない
たったひとつの命が
憎しみと悲しみの中で
散っていった
名も無き赤子の
微(かす)かな
微かな泣き声は
震える母の手によって
冷たく光の無いガマの中で
儚(はかな)く消えていった
幾多もの砲弾が
紺碧(こんぺき)の海を黒く染める鉄の嵐となって
この島に降り注いだ
戦争が起きる前
そこには日常があった
私達と同じように
原っぱを駆け回り
友達とおしゃべりをする
みんなで暖かいご飯を食べ
時には泣き
時には笑い
時には「ありがとう」を伝える
そんな今と変わらない日常
が
平和が
そこにはあった
平和は不確かで
脆く崩れやすい
いつもすぐそばにあるのに
いつのまにか消えていく
おばぁの涙は
摩文仁の丘に永遠(とわ)に灯(とも)る
平和の火は
今、私達に問いかける
平和とは何かを
私達に出来ることは何かを
私は過去から学び
そして未来へと語り継いでいきたい
おばぁの涙を
沖縄の想いを
かけがえのない人達を
決して失いたくはないから
今日も時は過ぎていく
いつもと変わらずに
先人達が紡いできた平和を
次は私達が紡いでいこう
そして世界に届けていきたい
平和を創り
守っていく
この沖縄の「チムグクル」
を
以上です。
「平和の詩」は、知りませんでした。
沖縄の「チムグクル」とは、
(沖縄の方言)で「心に宿る深い想い、真心」という意味だそうです。
>幾多もの砲弾が
紺碧(こんぺき)の海を黒く染める鉄の嵐となって
この島に降り注いだ
戦争が起きる前
そこには日常があった
私達と同じように
原っぱを駆け回り
友達とおしゃべりをする
みんなで暖かいご飯を食べ
時には泣き
時には笑い
時には「ありがとう」を伝える
そんな今と変わらない日常が
平和が
そこにはあった
戦争で、日常と平和がなくなってしまったのですね。
森山良子「あなたが好きで」(from 『Concert Tour2007-2008』)