再び、旅の話。
天城峠を越え、南伊豆(奥伊豆という言い方もあるが)をバスで移動。今日何本目かのバスであるが、いずれも乗客はまばらである。中には私が乗ったからかろうじて乗客ゼロを免れたという便も。たまに観光客がいたかと思えば、会話は中国語ばかり。今やこういう観光地のバスも中国人で持っているのかという気がする。バスはバスでも、日本人の乗るのは観光バスばかり・・・?
それはさておき、河津七滝のループ橋をくだり、河津七滝の観光駐車場へ。ここがバス停にもなっているのだ。これまでにも通ったことはあるが、下車するのは初めて。
文字通り姿形さまざまの七つの滝が続く河津七滝。これを全て見るには、ループ橋のかなり手前のバス停で降りて、崖を下れば遊歩道に出るのであるが、今日のところは下流にある滝を見ることにする。
まず向かったのが、バス停から歩くこと10分、初景滝である。ここが七滝の中でもっとも人気のあるスポットとか。観光バスの客も河津七滝の見学はこの初景滝というのがコースのようだ。段差がそうあるわけでもなく、小ぶりといえば小ぶりなのだが、その分「形」としては整っている。そしてその滝の前に座っているのが、「伊豆の踊り子」の学生と踊り子のツーショット。ちょうど、二人で滝の落ちる音に耳を済ませながら、しばし休んでいるといった風情だ。この像をバックに写真を撮る客で賑わう。
本当はこの先、天城峠のほうに戻る方向に3つの滝があるのだが、今日はそちらは省略して、ここに来る途中のカニ滝の横を過ぎ、出合滝へ。土産物屋や旅館の並ぶ通りから脇へ下ると、ちょうど二つの流れが出合うところで滝を造っているのがわかる。そして、その流れが七滝の最後、大滝になって流れ落ちる、その落ち際を見ることができる。水が透き通っており、清流を印象づける。滝を見ると「マイナスイオン、マイナスイオン」と条件反射のように口に出す人がいるが、この河津七滝であれば、その言葉も全然浮いていないな、と思う。
そして大滝を見るのだが、この大滝だけは特別な存在のようだ。見物への降り口が、ホテル「天城荘」の勢力下にあるようなのだ。大滝の下を囲むかのように、この「天城荘」の温泉施設がずらりと並んでいる。入浴料1000円プラスロッカー代200円。そのうえ、水着着用とのこと。午前中に天城温泉会館で立ち寄り湯をした時も1000円だったので、そうべらぼうに高いというわけではないのだが、水着着用となるとちょいと興味がそがれる(レンタルは500円)。
坂道を下る。途中、温泉の浴槽や温水プールを見る。カップルの姿が目立つ。そして、前方に大滝の姿が見えた・・・というところで、「天城荘ご利用以外の方はこの先立入禁止」の扉。この先が温泉ゾーンとなっているのだ。まあ、天城荘を利用すれば、大滝のスケールを間近で味わうことができるのだが、このホテルから見て「フリ」の客は途中で足止めである。しかし、いいのか?こういう景勝地の見物を、自分の施設を利用した人にしか楽しませないようにするとは・・・。ならば入浴すればいいのだろうが、何だか、いっぺんに興がさめた。
何だか中途半端な気持ちになり、結局バスを待って河津方面へ。途中、「踊り子温泉会館」というバス停に出会い、その名にひかれて、バス停前の温泉施設へ。本日2度目の入浴だ。ここも同じく1000円の入浴料であるが、地元の人たちやツーリング客で賑わっていた。温泉施設らしいといえば先の大滝の前の露天風呂より充実しているように思う。
ここまで来れば伊豆急行の河津駅は近い。1泊コースなら下田方面に向かい投宿するのだが、今日はこのまま東京に向けて帰る。やってきた普通列車は、昔東急で活躍していたステンレス車。しかし内装はこのように海側にボックス席、山側にロングシートという設計。ただ元々4扉の通勤電車だったので、ボックス席のシートの位置と、窓枠とが微妙にズレていたりする。
伊豆の海沿いに沿って走る。すれ違う車両もJRのワイドビュー踊り子であったり、伊豆急のエース・リゾート21型であったり、今も私が乗っている東急払い下げのような車両、はては、国鉄・JRの113系・115系の塗装を塗り替えたなんてのもある。熱海・伊東から南を普通列車で行くときには、何が当たるかが楽しみだ。
これにて、天城越えの日帰り旅行は終了に向かう。ただ、今回回れなかった東海岸、南海岸、石廊崎、西海岸、土肥金山・・・伊豆を楽しめるスポットはたくさんある。いずれ次のお楽しみということで・・・。