まつなる的雑文~光輝く明日に向かえ

まつなる兄さんのよしなしごと、旅歩き、野球、寺社巡りを書きます。頼りなく豊かなこの国に、何を賭け、何を夢見よう?

日高線へ

2009年09月27日 | 旅行記A・北海道

Dscn378621日。北海道旅行の最終日である。朝の地元局の番組では、この朝はこの秋でもっとも冷え込んだそうで、北海道の上川地方では氷点下を記録したところもあったと伝えられていた。関西ではまだ真夏日になっていることを思えば、日本の気候の多様性がうかがえる(写真は、ホテルの部屋の窓からの眺め)。

Dscn3799さて、これから日高線を目指すべく、朝は東室蘭からの始発列車となる6時26分発の苫小牧行きに乗車。乗車券は様似まで新たに買いなおした。うーん、最初からこうなるとわかっていれば、「周遊きっぷ」を作ったほうが安かったかな・・・?3両の気動車であるが、ワンマン列車のため無人駅での乗り降りは先頭車両のみ。休日の朝のこととでさほど混んでおらず、ボックス席でゆったりと進む。

前日は白老まで来たが、そこから苫小牧までは初乗車区間となる。白老からは28キロあまり、日本でもっとも長い「直線区間」を走ることになるが、ポツポツと住宅地があるかと思えば牧草地も広がるという、北海道らしい茫洋とした景色が広がる。

Dscn3802それが一転して王子製紙の巨大な工場が現れると、苫小牧に到着。北海道一といってもいい工業都市である。日高線の列車まで30分ほど時間があるが、改札口は出ずにそのまま日高線ホームに向かう。日高線のような人気ローカル線となると、ボックス席の窓側に陣取ろうというものなら最低でも20分前には並んでおく必要がある。このところ、ローカル線のほうが席取りに神経を使うことが多い。

Dscn3805やってきたのは、日高線オリジナル塗装の2両編成の気動車。しかし苫小牧で1両を切り離し、結局様似に向かうのは1両だけ。

Dscn3806早速、観光客やその筋の客たちで座席は満席になる。私も30分前に並んだ甲斐があって、進行右側の窓際の席を確保できた。

Dscn38138時03分に出発。しばらくは室蘭線と並走し、いつしか単線となる。茫洋とした原野の中に放り出された感じだ。隣の勇払まで営業キロで13キロあまり、時間にして12分の走り。原野があるかと思えばその向こうに大規模なプラントが見えるという、どこか日本離れした風景である。

Dscn3816勇払から次の浜厚真までも10キロほどある。こちらも原野の向こうに火力発電所、そして新日本海フェリーの船体を見る。敦賀・舞鶴から苫小牧を結ぶルートがあり、北海道へ渡るにあたって一時検討したルートであるが、苫小牧ではこういうところに降ろされるのかと思う。ちょっと、北の大地の玄関としては殺風景な感じがするかな。

Dscn3818「ししゃも打線」と名づけられた鵡川高校のある鵡川でしばらく停車。私と同じようにカメラを持ってホームに降りる人もいる。それにしても最近は画素数の多い携帯電話も出ており、こういった撮影でも携帯電話が活躍している。こういうのが「モブログ」でリアルタイムな旅の風景を発信することができるということで、ある意味うらやましい。

Dscn3829鵡川を過ぎるとここからより日高らしい車窓が広がる。競走馬を飼育する牧場も見えるようになった。その一方で太平洋も広がる。前日とは異なり薄く雲が広がってはいるが、すぐ波打ち際を走るところもあり、窓の外の豪快な景色にうなりっぱなしである。

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Dscn3867右手に海が見えるかと思えば、反対側には牧草地が広がり、馬の食事風景を見ることもある。

Dscn3880私を含め、他の乗客も右に左に首を動かしたり、カメラを構えたりと結構忙しい。風光明媚なローカル線として人気が高いのにはうなづける。

Dscn3854静内に到着。ここで17分ほど停車する。日高地方の中心部ということで下車する人も多く、また本格的な一息ということでほとんどの人が席を立つ。苫小牧から様似まで3時間あまりの道のりにあって、1時間半、ほぼ中間地点ということもある。

太平洋と競走馬を眺めていると、「日高昆布と馬肉で一杯やりたいな」という気持ちになっていた。静内駅の中には観光案内を兼ねた土産物コーナーもあり、馬をモチーフにしたグッズやら、土産物の菓子などが並ぶ。その中で日高昆布(だしをとるための本格的なものと、おしゃぶり昆布を買い求める)と一杯の「燃料」は手にすることができたが、馬肉のほうはさすがに置いていなかった。このあたりでは馬は競走馬としてあるのであり、食べるためのものではないということだろうか。

Dscn3879静内からも太平洋と牧草地が作り出す車窓が続き、乗っていて飽きない。なかなかしょっちゅうは訪れることのできない北海道に来た機会を利用して日高線を楽しむことができるのはよいのだが、これだけの線区なら、「乗りつぶし最後の路線」として、様似で「JR全線完乗」を飾るというのがイベント的にはよかったかな、とも思う。まあ、そういうのもタイミングというのか、路線との縁というのかな・・・。

駅の両側が牧場という荻伏を過ぎ、浦河に到着。日高「支庁」のある町で、今でもたまに聴くNHKラジオの「気象通報」で、風力、気圧、気温が紹介されるところである。この気象通報、北海道やその向こうの大陸の気象も伝えてくれるのだが、冬場に聴くのが面白い。東京や大阪といった環境の中で、「氷点下何度」の世界への想像を掻き立ててくれるものがある。

Dscn3892浦河を過ぎると、海岸で昆布を干す光景に出会う。線路端にシートや網が広げられ、その上に昆布の波が広がっている。こういう車窓を見ながらおしゃぶり昆布を味わうのもまた独特の味わい。

Dscn3901そろそろ線路が行き詰るような感じがして、11時19分、様似到着。座席定員の半分くらいが様似まで乗車してきた感じだ。ガランとした駅前広場はしばし記念写真コーナーと化す。

Dscn3904駅前には日通の営業所にバス乗り場。襟裳岬に向かうバスを待つ人が結構多い。私は折り返し組となる。ちょうど昼食時ということで何かないかと思い、駅前をぶらつく。コープがあったので(組合員ではないが)入り、食料を確保。これで帰路の3時間も安泰だ。

Dscn3954様似を後にし、帰りは車窓の巻き戻しを楽しんで15時19分、苫小牧着。当初のきっぷのルートではここから新千歳空港を目指すのだが、待ち時間が長いこともあるし、混雑が予想される空港に早く着いておきたいので、ここで列車の旅を終え、直行の連絡バスで空港に向かう。果たして手荷物検査場、保安検査場は混雑していたが、軽く早めの夕食を取るくらいの時間は取ることはでき、北の大地に別れを告げることになった。

Dscn397317時30分に出航した全日空の関空行き、19時35分には関空の滑走路に降り立った。往路、函館まで一日仕事で移動したことを思えば、あっとういう間の関西帰還ということになった。

さて、これでJRの乗りつぶしは、函館本線の深川~旭川間30.2kmを残すのみとなった。うーん、この区間ということであれば、最後は「最北の都市」で締めくくるということになるかな。酷寒の時期に行くのも面白いかもしれない。何とか九州新幹線の開通までには、一度「完乗」状態にしておきたいものである。これからの鉄道旅行が楽しみである・・・・。(終わり)

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