6月19日の夜は中津に宿泊。もっとも、駅前のホテルではなく2キロほど耶馬渓方面に位置する「汽車ポッポ食堂と民宿」が宿泊先である。名前からして「いかにも」という感じだが。
道沿いに、蒸気機関車、気動車が並ぶのが見える。こちらが宿泊先。
先の記事でも触れたが、かつて中津からは耶馬渓鉄道(後の大分交通耶馬渓線)が出ていた。廃線後、そこで活躍していた車両を引き取り、この地に保存することとなった。列車に泊まる、食事をするというのも面白い体験で、駅から離れているが今回レンタカー利用ということで利用することにした(一応、中津駅からバスの便もある)。
道路際に置かれている車両は食堂として使われているが、敷地内には、車両3両の内装を改造して豪華な客室にした「別邸」が2020年に開業している。ネットで見たが、客室はリゾートホテルを思わせる造りになっている。宿泊料もそれなりにかかる。
その一方「民宿」ということで和室、洋室を別棟で構えている。今回私が宿泊するのは列車の「別邸」ではなく、「民宿」の和室のほう。だから上に書いた「列車に泊まる」というのは正確ではないが。
レストランの受付に行って宿泊する旨を告げ、別棟を案内してもらう。宿泊は「にちりん」の間。他の部屋も列車の愛称がついており、そこは鉄道ファンの心をくすぐる。
「にちりん」の間は6畳の和室にトイレ、洗面台が別についている。合宿や工事現場の出張などでも使えそうな感じの部屋。実際、そうして滞在する客もいるのだろう。ビジネスホテルとは違った落ち着きを感じ、畳の上にゴロンとできるのもいい。特急「にちりん」というよりお座敷列車のようである。
入浴は1階の大浴場を使う。こちらは24時間入浴可能だ。夕食は食堂の夜の部の開店に合わせて18時からと、時間はまだあるので先に入浴とする。温泉ではないが、他に入浴客もおらずまずはのんびりする。
そして夕食の時間となりレストランへ。今回2食付きのプランとしており、席も用意されある程度の配膳もすんでいる。素泊まり4400円、2食付き6600円。定食のほかに一品料理の注文もできる。もし定食が物足りなければ単品を注文しよう。
ここはやはりということで、生ビールの大ジョッキを注文。サッポロビール日田工場直送という。中津ということで定食に唐揚げもついており、まずは美味しくいただく(正確にいうと、唐揚げは後から出て来たので大ジョッキはお代わり後のもの)。
他にも造り、茶碗蒸し、天ぷら、牛肉の陶板焼きなどが並ぶ。夕食の定食が2000円とのことだが、結構ボリュームがあった。居酒屋ではこの値段で済まないだろう。一品料理の追加の必要はなかった。
さて、私が食事を取っているのは耶馬渓鉄道の客車の中である。内装をリニューアルして食堂車っぽくした感じ。明治時代に製造されたハニフ22という形式である。明治の客車でちょっとした空想鉄道の気分を味わえる。左右に気動車、そして蒸気機関車が停まっているのを見ると、どこかの駅のホームにいるかのようだ。
もう1両の気動車キハ602もお座敷風に改造されていて、別の家族連れが楽しんでいた。こういうところでは夕食・朝食とも同じ席が用意されるのだが、せっかくなので気動車、客車の両方を楽しむということで夕食と朝食で入れ替えても面白いと思う。
レストラン内には耶馬渓鉄道の写真、かつての備品が飾られている。さらにはジオラマもあり、耶馬渓のセットの中を模型列車が走る。こうしたものを目当てに、食事だけという客も多いようだ。
今回はレストランだけだったが、機会とお金があれば気動車を客室にリニューアルした「別邸」にも泊まってみたい。また、各地にはかつてのブルートレイン車両を改造した「列車ホテル」もあり、そうしたものもいずれ体験したいところだ。
部屋に戻る。Wi-Fiの設備はあるが、持参のパソコンで試したがあまり接続がよろしくなく、部屋でのブログ執筆(この時は、前週の西国四十九薬師めぐりの滋賀行きの記事が溜まっていたので少しでも前に進めようと)を目論んでいたが結局断念。まあ、「汽車ポッポ」に文句をいうことでもない。
その代わりに面白かったのが地上波テレビ。番組の内容はさておき、中津というところの立地条件の面白さを感じた。
中津市は大分県だが、山国川を隔てた向こうは福岡県である。かつては豊前国の一部で、現在も日豊線の小倉からの普通列車も中津行きが目立つ。そうした立地条件のためか、大分・福岡両県のテレビが映る。さらに、周防灘を隔てた対岸の山口のテレビも一部見ることができる。
例えばNHKは大分、福岡(北九州かな?)に加えて山口も映っていて、ローカル枠では九州、そして(見慣れた)中国地方のニュース・天気予報が流れる。また民放も各系列がある中(山口、大分両県は放送局が少ないが)、テレビ朝日系列が福岡(九州朝日放送)、大分(大分朝日放送)、山口(山口朝日放送)の3局映る。土曜の夜なので番組じたいはいずれも同じものだが、CMは各地域オリジナルで、各県のローカル企業が番組を彩る。
地元の人たちの中では、大分、福岡、果ては山口、どれにチャンネルを合わせている人が多いのかな?
番組じたいは真剣に見ることはなかったが、こうしたザッピングで翌朝の早朝枠も含めてチャンネルの多様性を楽しむことができた。ある意味、中津で一番の発見だったともいえる・・。
さて翌日6月20日、早朝から上記のザッピングの続きのようなことをするうちに食事の時間。朝食は宿泊者のみということで、よりゆったりできる。御膳形式だがおかずが豊富にあり、ご飯も進む。
この日の行程は、12時までに宇佐駅前のトヨタレンタカーにクルマを返却した後、バスで竹田津港に移動、周防灘フェリーで徳山に渡りそのまま広島に戻るというもの。午前中を使って今度は中津から宇佐まで折り返すが、その時間でどこに行くか・・・。